透明人間のレビュー・感想・評価
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理解されにくい恐怖
透明人間の恐怖、といいますか、目に見えない恐怖を信じてもらえず、孤立してゆく恐怖が描かれているようでした。
主人公がDVの被害者ということで、周囲から見えない家庭内の暴力の恐怖、他人には見えず理解されにくい心の中に刻まれた恐怖、そういったものが、透明人間という存在に投影されているように感じます。
主人公の演技も、見えない何かに怯え神経をすり減らす様が伝わり、妄想か現実か分からない危うさ、切実な迫力がありました。
ラストは、恐怖の元凶に立ち向かい解放されて良かった、と思いましたが、現実的に考えると、この解決方しかなかったというのは苦さも残ります。
透明人間の光学迷彩的なところも、今風というかSFというか、昔ながらのイメージと違い、成る程という感じでした。
考え抜かれたエッセンス
素人なりの感覚で、例証や包括的なことを言ったりすることがある。
たとえばアメリカのホラー映画でもっともHotな新鋭はAとBとCの三人の監督です。とか。
Dは、もっとも嘱望されている映画監督のひとりである。とか。
そういった発言は、じぶんの僅かな映画体験と、僅かなニュースの切れ端が根拠である。
あんがい、知られているようなことしか言わないので、そう大きくハズすことはないが、素人の知る範囲内だから、正確性や網羅性はない。
むろん素人だし、原稿料が出ている映画情報じゃないので、それでもいい。
ただ、後になって、じぶんの言ったことの遺漏にけっこう気づく。
AとBとCと言ったけれど、E監督を取りこぼしていた──とか。
D監督を挙げたけれど、F監督のほうが、上だった──とか。
持っている情報の欠損や、たんなる思い込みに、あとになって気づくわけである。
ただ、それが素人が得る情報量の寡なさに由縁していると思う一方、アメリカの底知れなさに由縁してもいる、と思うことがある。
つくづくアメリカは一枚岩じゃない。
2015年にインシディアスの続き物を監督したリーワネルは、そのときは、俳優兼脚本家の監督業進出おつかれでした──くらいにしか思われなかったが、Upgrade(2018)で、頭角をあらわした。
俳優、ライター、撮影、スタントなど、アメリカは何らかの映画関係者が監督業へ回ったとき、かんぜんに化ける可能性が、非常に高い。
この層の厚みが、分るだろうか?
たとえば日本では、監督業でないひとが、監督へ回ったとき、それがいい映画になる可能性は約0パーセントである。そもそも彼/彼女がまっとうな映画監督になりえる根拠は何もない。
知らないことなので憶測だが、たぶん現場のノリ→「監督やってみない?」「え、いんですか?」という感じだろう。
ところが、アメリカ(ハリウッド)には、基本的に、映画をつくりたいと思っている人間が集まってくる。
彼/彼女は、ライターか俳優かカメラマンか、あるいはもっと下位の衣装や小道具や大道具のデパートメントの一員だったとしても、いずれ段階的に上って監督をやろうと思っている人間の集まりと言っていい。
だからアメリカは一枚岩じゃない。
ずっとソウシリーズ等の俳優兼ライターをやっていたリーワネルがUpgrade(2018)をつくれば、なるほどと思える。そして、そのたび、アメリカで嘱望される新鋭監督の地図は、書き換えられる。
そういう日進月歩の勢力図を、素人が補足できるわけがない。
戦後から無風状態の日本映画界とはわけが違うのである。
それでも素人は、旧弊をブラッシュアップした映画を見た感銘に寄せて、包括的なことが言いたくなってしまう。
かんたんに言えば「すげえ映画だな」と思ったついでに「リーワネルはもっとも期待される新進監督のひとりである」みたいな大上段発言をしてしまうことが、個人的には多い。
言い換えると、確信めいて大上段な発言ほど、その監督や映画に、感銘を受けた──わけである。
透明人間──これをモチーフに映像作品をつくりたい、と言ったら、どんなアイデアが集まるだろう?
日本映画の鬼才や重鎮ならば、女風呂に闖入させたい──と言いだすかもしれないが、そういうのは放っておいて、冗談抜きで、透明人間を完全にブラッシュアップさせようとしたら、どうなるだろう?
これはひとつの現実的な回答だと思う。
映画は、透明人間をモチーフにした映画というより、ドメスティックバイオレンスから逃げる女性を描いたサスペンス映画の肌感をしている。
最初の命題は透明人間をモチーフにして映画をつくる──だったわけである。
前述したとおり、おそらく男ならば、冗談を交えて、透明を利用して裸体を覗く──ことを考えるはずだ。
ところがこの映画は、女風呂に闖入もさせず、Hollow manにもせず、むしろDVからトラウマに怯える女性を具現し、フェミニズム的啓発へ進展させている。のである。
つまり透明人間から連想する、ありふれた発想とは逆のことをやって、女性が理不尽と戦う映画に仕上げている──わけである。
見えない敵をあいてに、どうやって戦うのか、その驚心動魄のサスペンスに加えてMeTooにさえ寄せる同時代性。じょうずで大人なモスが価値を上げ、個人的にラストは痛快だった。
このブラッシュアップの凄み。間違いなく頭のいいひとがつくっていて、それが伝わってきた。
こわい
期待してなかっただからだろうか、めちゃくちゃ怖かった。
最近見たホラー映画なら一番怖かったかもしれない。
セシリアを追い込んでいく演出が秀逸だった。
沈黙の部屋の中に誰かいるのでは?と思わせるシーンは息が詰まったな。
エイドリアンがセシリアにする嫌がらせも胸糞悪くてついついそこにいる!
と心の中で応援してしまった。
思った以上に人が死んでびっくり。
ラストシーンはもうそれしかないかな?と思わせるほど、
セシリアの気持ちから考えると納得。
誰も信じてくれないならそれしか方法はないだろう。
だって次はセシリアだけでなく子供の身にも危険は迫ってくるんだから。
すっごい面白かったけどやっぱB級感溢れているので☆4。
セシリアがもっと可愛かったらよかったんだけどな。
こういう映画がいい
スリリングな展開だけでなく、主人公が心底気の毒になったり、最後はざまあー!って思ったり
途中、あれ?これってひょっとして本当に主人公がおかしくなっちゃったんじゃないか?って思えるストーリーテリングも良かった
主演のエリザベスモスは、中盤は本当に精神異常者に見えたし、最後はべっぴんだし、役者ってすごいって思いました
「この手があったか!」と膝を打つ
アマプラレンタルで鑑賞。
評判は聞いていたから期待しながら観たけど、期待を上回る面白さに引き込まれた。
日本の(僕を含めた)特定の年齢層には「ちょっとエッチなコメディー」の題材として使われる事が多かったため、何が怖いのかいまいちピンと来なかった透明人間だけど、本作では徹底的に物語を被害者(主人公)の一人称視点で描くことで透明人間の怖さを浮き立たせているし、それが同時に男女間の今日的なテーマ性に直結しつつ、ジャンル映画として超一流の面白さにも繋がっているという見事な構成に、「その手があったか!」と思わず膝を打ってしまった。
ただまぁ、映画終盤では透明人間そのものより、主演のエリザベス・モスの顔芸の方が怖かったけどw
肩に力が入る作品
後半まで何も透明人間の正体は語られずストーリーが淡々と進んでいくが、一見退屈に見えてしまうシーンでも常に何者かに見られているような緊張感があり、誰かがいるように映し出す撮影技術は恐怖心を煽りシンプルに怖さを追求していると感じられました。
個人的にはラストシーンが好きで、冷静でいられる主人公の狂気的な怖さや、痛快感のある演技に痺れました。インビシブルとは違った楽しみ方ができる秀作。
現実とも妄想ともつかないヒロインの焦燥をじっくり見せる古典中の古典
天才科学者エイドリアンと海辺の邸宅に暮らすセシリアは実は異常なまでに自分を束縛するエイドリアンとの生活に疲弊し切っていた。そんな毎日に耐え切れなくなったセシリアはある夜睡眠薬でエイドリアンを眠らせた隙に逃亡。友人宅に身を寄せ静かに暮らしていたセシリアの元に届いたのはエイドリアンの訃報。絶望したエイドリアンは自殺し、莫大な遺産が遺したことを知らされるが、セシリアは彼の自殺に確信が持てない。そして彼女の身辺に奇妙な現象が忍び寄ってくる。
昨年公開のリー・ワネル監督脚本作品『アップグレード』は世間的にはさっぱり話題にならないB級SFアクションでしたが、オフビートな笑いとさりげなくエゲツナイグロ描写をばら撒きながら『600万ドルの男』へのオマージュを滲ませたドラマにほっこりしていたら最後のどんでん返しに軽快に足元を掬われるなかなかの痛快作。本作もベースにあるのはマッドサイエンティストに人生を翻弄される話ですが、『アップグレード』とは異なる展開でこちらの勝手な予想をシレッと裏切ってくれます。本作ではギャグ要素は皆無、ひたすらヒロインが姿の見えない相手に翻弄される様を冷たくスリリングに描写、全てがヒロインの被害妄想かも知れないと匂わせるような煽りもしっかり効いていてヒロインの孤独感を際立たせてからの畳み掛けるような終盤の展開には唸らされました。
古典中の古典を現実的なスリラーに仕立て上げたのはしっかりとしたSF考証とそして海辺に建つ邸宅のスタイリッシュな内装。正気なのか妄想に取り憑かれているのか判然としないヒロインを体現したエリザベス・モスの演技は『ガール・オン・ザ・トレイン』のエミリー・ブラントを彷彿とさせる怪演でした。
エンタメ映画として年末年始には最適
誰もが知る透明人間をモチーフに
エンタメに必要な、「こうなってほしい」と「こうなるか!?」
がどっちも気持ちいいほど詰め込まれた
正統派エンタメ映画。
特に、ココがダメ!なんてパートがほとんどなく
面白いように物語が進んでいく。
この映画のこの部分に感じた面白い感情だ!
が、10分ごとに訪れるような
いろんな映画の感情が沸き起こる「映画好き」には
楽しめるものだと思う。
が、新鮮味には欠けた。
悲しみのダークユニバース
透明人間なんて誰もが知るキャラクターに再びスポットを当てるなんて、かなりの賭けだったのではないか。元々本作は第1弾で中止となった「ダークユニバース」の関連作となるはずだった作品だ。正直手垢の付きまくったテーマ故、目新しい発見は無かったが、元凶とも言える「ザ・マミー」よりも質の高い作品ではないかと思う。
本作とどうしても比べてしまうのが、ポール・ヴァーホーベン監督の「インビジブル」だが、
SF色濃いめだったそれと比べて、ホラー色が強いのが注目ポイントだ。ブラムハウスプロダクション、リー・ワネル監督であればそれもそのはずか。
透明人間で怖がらせるのはよく考えれば難しいと思う。なぜなら恐怖の存在が見えないのだから。だが本作は「いない」と思っていても、「いる」様に演出するのが非常に上手い。
キャッチコピーの「姿は見えずとも、殺意は見える」がまさに当てはまる。
また、本作は透明になれる体を得たのではなく、技術としてその力を得ている。誰でも透明人間になれるという事だ。色々と考えさせてくれるではないか。
ラストは、今後の展開を勘ぐってしまう様な展開だった。あの主人公の薄い笑みは何だったのか。
続編が出た際は、しっかりと回収して欲しい。
被害者側からみる透明人間の怖さたるや…
のっけから緊張感が凄い。
そしてそれが最後まで続くので、息つく暇もない。
透明人間といえば昔「インビジブル」という映画化があったね。あれは透明になる側が主人公で、透明人間になってしまう苦悩から徐々に精神が壊れていってヒロインか誰かを襲い始めるんじゃなかったっけ。
え、もっと昔の映画をリブートさせてるって?それは知らん。
今回は被害者側からの物語。そしてサスペンス色に振り切ってる。
誰もいないシーンをじっと映す。
何もないんだけど、意味深に映すので、そこにきっといるのだろうという怖さ。
だけでなく、驚かせるシーンもきっちりある。
話の展開でもヒヤッとさせられるから、飽きさせない。
個人的には、妹のあのシーンと、脚立のあのシーンがまじでゾッとした。
それにしても、予告のとあるシーンが本編にない。
特典映像の未公開シーンを見たらそこにあったから気付いたけど、そういうのってアリなん?
怖さより気持ち悪さが勝った。
トムクルーズ主演の『ザ・マミー』から始まるダークユニバースの映画になる予定だった本作。独立して作られたということで気になっていたので観ました。
感想
ホラー映画と思って観ていましたが、サスペンス映画でした。見えない透明人間のエイドリアンの存在をどう証明するのか、セシリアがエイドリアンに追い詰められながら模索していくという内容でしたが、ホラー要素があまり感じられませんでした。怖くはなかったです。気持ちが悪い陰湿な場面は多々ありそういった要素は楽しめました。また、海外ホラー映画では定番と突然の出現で驚かせる展開は今回もあり、一度声を上げて驚いてしまいました。
見えない存在の攻撃をどう表現しているのだろうと、撮影方法が気になってしまいました。演出が素晴らしかったです。
内容についてですが、正直終盤の展開は読めませんでした。
そういった部分でサスペンス作品だなと感じました。
また、セシリアが透明人間と直接対決する場合は頑張れ!って応援してました。セシリア役の人の演技が自然で物語に入り込んで観れました。
不満点
かなり荒唐無稽でツッコミどころがあるように思いました。観客を振り回す見事な脚本の作品だったので、その部分が残念だなと思ってしまいました。
総評
面白いと心から思える近年稀な映画だった。予想以上に楽しめたので満足です。
シン・インビジブルマン
2017年のトムくん主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』を皮切りに、往年のユニバーサル・モンスターが“アベンジャーズ”する“ダーク・ユニバース”なるプロジェクトが始まる筈だったが、肝心のスタートでコケてしまい、モンスターたちは復活ならず…。
ところが! その中の一体が全くの別作品として完全リブート。
蘇ったのは、透明人間。
蘇らせたのは、低予算ながら良質ホラーを次々送り出すスタジオ、ブラムハウス!
それにしても、よくぞ古典ホラーを現代感覚のホラーに創り換えたと関心。
話は…
恋人である光科学の天才エイドリアンに“支配”されていたセシリアは、彼の豪邸から脱走。
程なくして、彼の兄からエイドリアンが自殺したと知らされ、やっと解放された…かに思えたが、
セシリアの周辺で怪奇な現象が。彼女は感じる。彼は生きている、と…。
『透明人間』と言えばの“見えない恐怖”も勿論だが、次の事が新しい。
独り訴えるセシリア。が、誰も彼女の事を信じない。
孤立。追い詰められ、精神的にも不安定に。正気を失っていく。強迫観念。
主演のエリザベス・モスはTVドラマシリーズで人気らしく個人的にはあまりご存知無かったが、その熱演は見事。ただ同情的なだけじゃない感じも滲み出している。
怖がらせから始まり、悪質な嫌がらせ、復讐、殺意…。
愛憎、狂気、異常なまでの執着心。
ホラーと言うより、サイコ・スリラー。
怪物的なものより、こちらの方が身近に潜んでいるものでよっぽど怖い。
見せ方も巧い。
少し離れた所や隙間から、“誰かに見られてる”ようなカメラアングル。
時々、何かが近付く。何かが近付く気配が。何かが見えたような…。
誰も居ない空白のスペース。でも“そこ”に、誰か居るような…。
そして突然、襲い掛かる…!
定番と言えば定番だが、それでもスリルは盛り上がる。唐突のショッキング・シーンはドキッとさえする。
やっぱホラーやスリラーって、こういうアイデア駆使した作品が面白いね。
数々のホラー/スリラーをプロデュースしてきたジェイソン・ブラム、彼の下で『ソウ』『インシディアス』などの脚本を手掛けてきたリー・ワネルの手腕が冴え、話も二転三転。
終盤明らかになる“透明人間”の正体も、これまでを覆すような斬新さ。
ネタバレチェック付けるので触れるが、
人が透明人間化するのではなく、光学迷彩スーツを着用。死を偽装してまでヒロインを徹底的に追い込んでいく。
光学迷彩スーツなんてSF的…と思いきや、まんざらそうでもないらしい。現実的に不可能じゃないとか。スゲー時代がやってきた…。
全く新しい話、設定、全く新しい透明人間像…。
こんなの『透明人間』じゃない!…との声も勿論あるだろう。
でも、H・G・ウェルズやジェームズ・ホエールがもし本作を見たら、この新しさを気に入ったと思う。
さながら、シン・インビジブルマン!
この古典モンスターにもまだまだそれほどの魅力がある。
また見えなくなるには早い、早い!
さて、次なる古典モンスターは?
勿論、ブラムハウスで!
昔ながらの怪物をどう怪演させようと試行錯誤は分かりますが、、
彼女に固執する富豪の天才科学者と束縛生活でノイローゼ気味な主人公女性の「透明人間」ネタを絡ませた物語。
大袈裟チックで主役2人以外の役立たず人間を気にしてしまうと映画に興味が持てなくなる。
「まずは気長に観てよ」作品です。
単純な退治ネタでは無くサイコサスペンス風に仕上げた所は褒めたい。
しかし、透明人間と言うキャラクターの面白さはいかに?と言われてしまうと「インビジブル」と言う別映画には勝てないかな?と思ってしまうし、もう少しスパイスが欲しかった所。
小道具も使って貰いたかったし。
主人公であるエリザベス・モスの情緒不安定さは素晴らしいが、「固執する程の女性か?」と言われてしまうとう〜ん😓
コロナ禍で無く、他の作品もいっぱいある中であればこの作品はどう映ったであろうか?
その事も踏まえて私的にこの評価。
普通のホラーより現実味のあるホラー
とってもおもしろかった!普段のホラー映画では悪魔だの妖怪だなのあまり現実味のないのをみますが、
これは実際に起こり得るかもしれないホラーであり
とても怖かったです。
現実にあるとおもうといつ死んでもおかしくないですねw
とても個人的ではありますがあのスーツ集合体でみれませんでした。集合体恐怖症の方は少し目を瞑ってw
ずっと怖くて面白かった
・透明人間っていう手垢のつきまくった題材だけど、描き方次第でとても面白くなるんだと反省した。全般、ドラマのフリ、オチを抑えててとても良かった。
・透明人間が常識になっている事を逆手にとった演出が見事で感心しつつビクビクしつつ驚きつつと、とても良かった。
・夫が妻に異常に執着していて怖かった。TENETみたいだなぁと思った。
・冒頭で夫を殺そうとしてるのかなぁって思ったら、逃げ出そうとしているっていうのが面白かった。家中に監視カメラあるし、センサー?もあるみたいだし、あれだけ警戒してまでしないと逃げられないのが夫の異常性が伝わってきて凄く良かった。
・タイトルで透明人間が出るって知っているから、いつ出る?今出てる?っていう見方をしてしまっているのが凄いなぁと思った。・
・警察のジェームズの奥さんはどうしたんだろうと思った。
・どうやって透明になるのかなぁって思ったら、タイツ中にカメラが搭載された百目みたいなデザインで滅茶苦茶気持ち悪かった。
・透明になった男が主人公の妹の首を切った後、包丁を握らせたシーンを見て、犯罪は完全に目視判断っていうのを痛感した。
・ラストでようやくシーが覚醒した表情がとても良かった。
・精神病院?に隔離された際、シーが自傷し始めた時に姿を現して、シーだけは傷つけないっていう所でなるほどって思った。ただ、前半の辻褄が合う反面、結構ぶん殴っていたようなっていう疑問も少しあった。むかついたのかな。
・ラストでシーが透明スーツを着てエイドリアンを自殺に見せかけて殺したけど、スーツのサイズはどうなっているんだろうってのと着方と使い方知ってたたのかなとかが少し気になった。
・ジアゼパムって何だろうって思った。睡眠薬?と。
泡沫の如く消えたシェアード・ユニバースの残滓は、大いなる可能性を秘めていた…!
1933年公開の映画『透明人間』を現代風にリブート。
恋人のDVに耐えきれず逃げ出した女性セシリア。彼女を襲う透明人間の恐怖を描いたサスペンス・ホラー。
原作は「SFの父」とも称されるイギリスの作家、H・G・ウェルズが1897年に発表した小説。
この原作も1933年版の映画も恥ずかしながら未鑑賞…💦
とはいえ、透明人間はもはや古典として誰でも知っている存在だと思うので、これらを観ていなくても本作の鑑賞にはなんら影響は無いのではないでしょうか。
勿論観ているに越したことはないと思うけど。
さてさて、この映画。元々「ダーク・ユニバース」というシェアード・ユニバースの一作として製作される予定でした。
米映画会社の老舗ユニバーサル・スタジオは1920〜1950年代にかけて怪奇映画を量産しており、それらは「ユニバーサル・モンスターズ」と総称されています。
皆さんご存知マーベル・スタジオが「MCU」というシェアード・ユニバースを作り上げ、それが歴史的な大ヒットとなった為、雨後の筍の如く映画界には様々なシェアード・ユニバースが誕生したわけですが、ユニバーサル・スタジオが満を持して発表したのが「ユニバーサル・モンスターズ」の世界を一つに繋げようと試みた「ダーク・ユニバース」だった訳です。
しか〜し!このユニバースの第1作『ザ・マミー』が興行的にも批評的にもコケてしまう…。
その結果、「ダーク・ユニバース」はなんとたった一作でその幕を下ろす事になってしまった…悲しすぎる😢
この『透明人間』も、元々はジョニー・デップが主人公として登場する予定で、メインビジュアルでもドヤ顔のジョニデが紹介されていましたが、全てなかったことに…。
とはいえ、企画だけは残滓のように残っており、まぁほとんど期待されていなかったのでしょう。700万ドルという低予算で本作は制作されました。
しかし!蓋を開けてみるとこれが大ヒット!!全世界で1億3000万ドル以上も稼いでしまう快挙を達成!🤩
製作費の3倍稼げば成功という映画業界ですが、この映画はなんと20倍近くも稼いでしまいました。スゴい!
この顛末だけみても、計画通りに物事が進まなくても腐らずに成し遂げれば良い結果が出ることもある、という教訓を学ぶことができますね😁
さてさて肝心の映画内容ですが…。
まず『透明人間』という直球ど真ん中なタイトルが素晴らしい!タイトルだけでどんな映画かほとんど分かってしまうという潔さ、大好きです😍
設定もなる程!非常に現代的にブラッシュアップされている!
王道ホラーでありながら、女性の人権問題も組み込んだ社会派な一作。虐げられる女性やリベンジ・ポルノに対する問題をストレートに描いております。
さらに、いつでもどこでもオマエを観ている…!という感じはジョージ・オーウェルの『1984年』を思い出す。
行き過ぎた監視社会へ警鐘を鳴らすというメッセージも感じました。
一昔前なら薬を飲んで透明になるところですが、本作では光学迷彩により透明になるというリアリティのある設定。
実は現代に透明人間はすでに存在しているのでは…?と思わせてくれます。
実際アメリカ軍辺りはこのくらいのスーツは秘密裏に開発してそう…🤔
個人的には薬を飲んで変身するというバカっぽい設定は結構好きなので、このリアル路線にはちょっとがっかり😞
本作の透明人間はスーツを着込んでいるので、フルチンじゃない…。
凄い怖いけど実はフルチンというバカっぽさも透明人間の魅力だと思うのでここにもちょっとガッカリ…😔
まぁ真面目な話、透明人間の全裸は性犯罪へのメタファーであると思うので、フルチンというのは結構重要だと思うんですよね〜。
特に本作はフェミニズムをテーマとして扱っているのだから、男性主権の象徴としての全裸を悪に持ってくるというのは効果的だと思うけどなぁ。
恐怖の演出もなかなか凝っています。
冒頭から説明のない脱走劇が始まる。「すでに透明人間の攻撃は始まっているのか?」というクエスチョンが頭をよぎる為、この脱走劇から観客は目が離せない。
その後この脱走劇の全容が説明される。
セシリアは恋人のDVに耐えきれず逃げ出したわけだ。
その後、恋人のアイドリアンは自殺したのだということが判明。
彼の莫大な財産がセシリアに転がり込む。
ほっと一安心かと思いきや、奇妙な感覚が彼女にまとわりついてくる…。
ここで彼女のキャラクター像に違和感を覚えた。
あんなに怯えていたのに、遺産が手に入ったあとはものすごく幸せそう。
なんか現金な性格だな、と思ったのですが、それもそのはず、この作品で徹底して描かれているものは人間のエゴ。
恋人を支配したいというエイドリアンのエゴの直後に、ムカつく恋人の遺産だが、金は手に入れたいというセシリアのエゴも描かれているわけです。
セシリアのエゴは最終的にエイドリアンを何がなんでもぶっ殺したいというものへ移っていくわけですね。
いや、しかしこの映画の恐怖描写は非常に上品。
見せない恐怖というツボを上手くついてくれます。
キッチンの映像が定点カメラで映しだされていると急にフライパンの火力が…🔥そして包丁が一本スッと姿を消す。
ここは上手かった。なんか絶対居るやん…!という恐怖を最大限に演出しています。
そして遂に姿を現す透明人間。ここも怖かったですね〜😱
白いペンキがベチャ!でうわぁ〜!
このペンキ、ちゃんとその前のシーンで同居人のジェームズが壁の塗り替えで使っている。このシーンに限らず、本作は全体的に伏線が周到。丁寧な作りだと感心します。
この後、セシリアはエイドリアンの家へ行きスーツを発見する。
このシーン、急に出て来たおじさんがセシリアをかなり遠くのお家まで乗せてくれており、このおじさん一体誰?と思ったのですが、とあるブログを見て納得。
Uberタクシーってやつなんですね。日本では馴染みがないからわからなかった。
他人の自家用車に乗るのって怖くないのかな?
この家でのシークエンス、不満がひとつ。
エイドリアンの飼い犬ゼウスがあまり活かし切れていない。🐶
もっとゼウスと透明人間のアクションとかがあると良かったかな。
もしくは、ゼウスのリアクションが普段と違う描写を入れて、それによって透明人間の正体がエイドリアンではないということに気付くシーンとかがあっても良かったかも。
もしくは、ゼウスを容赦なく殺して透明人間の残虐性をアピールするとか。飼い犬まで殺すとかヤベー奴じゃん!みたいな感情を抱かせて欲しかったな。
この後の中華料理店での殺人シーンから映画のトーンも変化。スラッシャー映画のような趣に…🔪🩸
ここは本当にビクッとした。まさかあんなにあっさりと、そして残酷に殺すとは…。
そこまでセシリアを追い詰めるのかよぅ…。やりすぎだよぅ…。と誰もが思ったはず。
本当に本作の透明人間の嫌がらせは半端ない。
セシリアの面接台無しにしたり、布団をめくったり、女の子殴ったり、勝手にメール送ったり…。
めちゃくちゃみみっちいけど、それが逆にストーカー的なリアリティがあって怖い。
みみっちい嫌がらせを続けていたと思ったら、急に殺人をドンっ!だからインパクトが半端なかった!
ここまでのホラー要素は良かったのですが、このあとはアクション映画っぽくなってしまい、恐怖感が薄れてしまった。
結局銃でバンバンするんかいっ!プレデターじゃねぇんだぞ。
最後までホラーをやり通して欲しかったなぁ…。
クライマックスは賛否が分かれるところではないだろうか。自分は蛇足に感じてしまった。
エイドリアンは本当に死んでいて、実はサイコパスだった兄が全ての真犯人だった…!で良いんじゃないの?
エイドリアンの死は偽装されたものだった…!って、一体どうやって偽装したのよ?
なかなか死を偽装するのって難しいと思うけど。
色々方法を考えることは出来るが、エイドリアンが生きているのならその方法は明示して欲しい。
まぁ真相が何なのかぼやかす終わり方は嫌いではない。
でも、エイドリアンが真犯人だとすると辻褄が合わんような気も…。
精神病院でセシリアを襲ったのと、ジェームズの家でシドニーを襲ったのは別人だったという説があるようです。
確かにジェームズの家では故障しているはずの光学迷彩が正常に作動しており、この別人説の有力な証拠となっています。
ジェームズの家で死んだのはトムだったのだから、病院にいたのはエイドリアン。
とすると、あの襲撃の後エイドリアンは家に帰り手足を紐で結んで隠し部屋に隠れなければならない。
…これ1人じゃ無理だわ🤷♂️
実はもう1人兄弟がいたりして😅
本当にエイドリアンは被害者だったという方が、物語的にはしっくりくる(それはそれで疑問点も多いが)。
しかし、セシリアは真実を解明することなく彼を殺害する。
セシリアにとってエイドリアンが犯人かどうかなんてもはやどうでもよかった。ただ彼の死を望んでいたのだ。
ここにホラー映画らしい後味の悪さと、人間のエゴを描くというテーマが顕れており、うーん上手い脚本だなぁと唸ってしまった。
ジェームズは警官という立場でありながらセシリアの殺人を見逃す。
ここ、単純に友達だから彼女を見逃したのかと思っていたんですが、とある方のブログを見てなる程!と思った。
彼の娘シドニーの学費はセシリアが受け取るエイドリアンの遺産から払われる約束だった。
つまり、セシリアによるエイドリアン殺しをジェームズが見逃したのは、彼女から学費をもらうためだったのだ…。
この観点には気が付かなかった〜…。確かにその通りだわ。
ジェームズも彼のエゴにより最終的な決断を下していたんですね!
いや〜、本当によく出来てるわ!🤩
ホラー映画でありながら2時間以上のランタイムなので、ちょっと間延びしていると感じるところもある。
特に前半1時間近くは透明人間が出てこないので、まだ本編始まらないのかよ…と退屈してしまった。
しかし、古臭い透明人間というキャラクターを現代風にアレンジして蘇らせたのは素直に凄いと思うし、ハラハラするホラー要素を存分に味わうことができる。
大味な作品の多いホラー映画だが、本作はまとまりの良い高級感あふれる作品となっている。
ホラー映画好きなら一見の価値あり!オススメ!
※どうしても気になるのはセシリアのお腹の赤ちゃん…👶
あの後どうなったのかな。
ヒロインがモンスターの子供を妊娠しているという展開、ホラー映画の大家クローネンバーグの『ザ・フライ』を思い出す。
まさか『ザ・フライ2』のように、お腹の赤ちゃんが成長し、透明人間になるという『透明人間2』を製作する予定が…!?
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