「入り込むのに時間がかかる」透明人間 Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
入り込むのに時間がかかる
犬を助けようとして警報を鳴らし、大事な薬を落とし、察しが悪い妹。
このオープニングでイライラして入り込めなかったの。
それで『彼は死んだ』って妹に告げられた後で、主人公宛に遺産相続の通知が届くんだよね。そこの住所に主人公がいるって知ってる人はいないんだから、おかしいと思えよっていう。一言触れるだけでノコノコ出てくからね。
遺産相続の場では察しが悪かった妹が俄然姉の味方で話すんだけど、オープニングでは、なんであんなに察し悪かったの? 朝の四時に迎えに来いって言われたら緊急事態だって解るよね。
そんなこんなで「なんだこの映画」と思って、なかなか入り込めなかったのね。
でも主人公が孤立してって、一人で戦うんだってなったあたりで、なんか入り込めてきた。
病院の戦いのシーンでは「チャンスはここしかない、逃すな」と思って応援したな。
ラストは「ここで心理戦要素入れてくるのか。すごい」とちょっと思ってると違う展開きて、「なるほど。このアイデアか」と唸ったりしたよ。
でもね、この作品、アイデアに惚れすぎてシナリオに無理出てるし、そのせいもあって人物描写が弱いの。
妹のキャラはブレブレなのね。局面毎に都合よく描かれてんの。主人公もさ、透明人間にやられて「きゃー」「ひゃー」って言ってるのに、病院のシーンでは「ワンダーウーマンか!?」ばりのヒロインさで闘うよね。
スーツを見つけたときも持ち帰ればいいのに、家に置いてきて「なんで?」って思うけど、ラストシーンで使いたいから、家に置いとく必要があるんだよね。
スーツ隠しといた場所も相手にばれないでしょ。あんなに隙のない相手が、家の中の隠し場所を見逃すわけないんだよ。
オープニングでのれなかったせいで、脚本の穴が目に付いちゃったけど、たぶんそこがなかったら、展開のアイデアすごいし「超面白い!」と思いながら観たろうな。