「普通に面白いよ」大怪獣のあとしまつ Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
普通に面白いよ
予告で面白い着眼点だなと興味を持ち
けっこう公開を楽しみにしていた作品で
観に行こうと思っていた前日
トレンドに「クソ映画」と挙がっており
何だろうと思ったら
この映画がやり玉に挙げられていました
「日本映画史上最低」
「令和のデビルマン」とかえらい
言われようでびっくり
チケットはもう買ってあり
やっちまたかと思いましたが
諦めて観に行くことにしました
でどうだったかというと
普通に面白かったです
役者がなにせ良いですし
少なくとも自分と同じように
プロットに興味を持った人はそう
裏切られ感はないんじゃないかな
パロディやギャグの差し込み方が
荒唐無稽すぎてシュールに
なっちゃってる
ところは割り切っちゃえますし
妙な不穏さを出して最後まで
観れちゃいました
炎上ステマですかね?
令和のデビルマン?
それは絶対にないです
人類の危機だっつーのに
私利私欲にまみれる滑稽な
人々を描くという点では
こないだNetflixと劇場で
公開してたアダム・マッケイ
監督の「ドント・ルック・アップ」
に似てる感じします
大怪獣に襲われた日本
「新たな生活様式」といった
最近のキーワードを使いつつ
自衛隊は国防軍として
首相直属の特務隊まで編成しても
全く歯が立たなかったのに
突然空から飛んできた光が直撃し
怪獣はまさかの絶命
危機は去ったと喜んでましたが
巨大な怪獣の死体をどうするか
という次なる問題に焦点を
当てた作品となっています
シン・ゴジラは現代社会が
ゴジラにどう戦うかという
リアリティを追及していましたが
これはパロディにしている
感じです
そう
ストーリー的には全然
シリアス路線でもいけるところ
あるんですがどこかしこ
パロディをぶっこんできます
怪獣風バン〇シー
AKI〇Aのミ〇コ様
でも特に取り上げることなく
スルーしていきます
日本国の首相西大立目は
この大怪獣の突然の死を
"Deus Ex Machina"
(デウス・エクス・マキナ)
「機械仕掛けの神」と呼びます
(この言葉はお話において終盤に
突然話を解決してしまう存在
という意味もある)
そして内閣を集めての閣僚会議を
開きますがそれぞれの大臣は
責任の押し付け合い
縦割りの各省庁の現実が
露呈します
観光資源にしようとか
言い出す大臣までいたり
C国とK国を足して2で割った
ような「隣国」は最初は怪獣を
倒せない日本を非難していたのに
死んだとわかると所有権を主張
(このへん風刺が効いてて笑った)
まず本当に死んでいるかどうか
安全かどうかの確認と
厄介払いのために
首相直属の特務部隊が
生存確認の任務を
押し付けられます
首相補佐の雨音
その妻で環境大臣秘書のユキノ
そして調査隊の隊長に
任命された特務部隊の帯刀
この3人はかつて特務部隊で
同じ部隊にいた仲で
少なからず因縁があるようです
怪獣は確かに死亡していましたが
浜辺に打ち上げられた
クジラの死体のように体内にガスが
たまり爆発の可能性が高く
そのガスのにおいは
「う〇ことゲ〇の中間」で
あるという報告がなされ
政府発表でとても言えないので
「銀杏のにおい」という表現に
されます
また健康被害は一応ないとの
発表がされました
それがわかると
国防軍がわが手柄にと専門家を
呼んで冷凍して抑え込もうと
しますが大きすぎるのと
日中に溶けてしまい大失敗
体内ガスで身体が破裂して
一帯がクサくなってしまいます
その後検討した結果ユキノの
提案でクサいもの→水に流す
という水洗トイレの原理で
一級河川で死んでる怪獣の上流の
使ってないダムを決壊させて
海まで流そうという作戦を
実行しようという話になります
また裏では環境大臣には
安全であると伝えたものの
実際は怪獣の体内に謎の菌糸が
あることを雨音は裏で密かに
情報をつかんでいました
なんにせよ再び体内のガスで
みるみる膨らんでいく怪獣の身体
これを解決しなければいけない
(ベントとか福島原発で用いた
言葉を使ったりします)
わけですが帯刀を訪ねて
ヒッピーみたいな焼き肉屋の
排煙装置を作っている
町工場のおっさん八見雲(やみくも)
がベントで気流を作って成層圏まで
臭気を飛ばそうというトンデモ
理論を提案してきます
この案は奇想天外すぎるので
一旦伏せられますが
まずダムをどうやって破砕するか
そこでユキノの兄で元特務部隊の
ブルースのいる採石場を訪ねます
ブルースは俺はもう関係ないと
相手にしません
帯刀はどうやらユキノとかつて
恋人同士だったようですが帯刀が
ある日突然失踪した事を
許せなかったようです
しかし怪獣の影響で馴染みの食堂も
閉めざるを得ないといった市民の
困った様子を見てブルースは
協力を決意
ダムにさっそく発破をかけますが
雨音に提供されたダムの構造図
には堤防部の二重壁が記されて
おらず失敗
ブルースは決壊を成し遂げるため
帯刀が止めますが特攻をかけます
その甲斐あってダムは決壊
ある程度怪獣は押し流せましたが
十分ではありませんでした
また近くまで潜り込んでいた
(なぜか染谷将太がやってる)
一般人の動画配信者がその洪水に
巻き込まれる中で怪獣の体液まみれ
になり気絶
その身体は厚生省が極秘に回収
していましたが体表からは
キノコがどっさり生えていました
(ある一部分に生えた別のキノコは
なぜかぼかしが入っていました)
怪獣が爆発を起こせば近隣の
住民はキノコまみれになって
しまいます
(キノコが生えるからどうだって
ワケじゃないんですけど)
ブルースもどうやら一命はとりとめて
いましたが意識が戻りません
すると雨音がいきなりお蔵入り
されていた八見雲の焼肉排煙作戦
を決行しようとします
ベントはミサイルを撃ち込んで
開ける(富岳で計算したらしいです)
と言っていますが帯刀はブルースから
実はベントの方法について細かく
指示を受けておりその方法とは
異なる雨音のやり方に反対しますが
雨音は強行しようとします
命がけでダムを決壊させたブルースに
指示された通り帯刀はここで
直接怪獣の身体にベントの筒を
撃ち込む危険な作業を始めます
ユキノも雨音を止めようとしますが
そこで雨音は帯刀の正体が
これでわかると意味深に
言い始めます
帯刀はどうも3年前地球に
落ちてくる巨大な光の筋を追いかけ
その光に包まれていなくなってしまい
ユキノは車でそれを追いかけようとした
時に一緒についてきた雨音が事故で
足を失ってしまい罪悪に感じたユキノ
は雨音と結婚したという過去があった
ようです
この映画下らねーギャグに時間
割いてないでこういうとこをもう少し
まじめにやった方が・・まあいいや
っていうかこの時点で何をパロディ
してるかはもうわかる人には
わかりますよね
この映画パロディの元ネタわかる
わからないで全然印象違うと思います
帯刀はなんとかベントをやり終えると
雨音が指示を出したミサイルも命中し
怪獣の身体は大爆発
帯刀も弾き飛ばされ現場にやってきた
ユキノの前で地面にたたきつけられます
ユキノは絶望して帯刀の元へ近づくと
帯刀は普通に起き上がり「近づくな」
と合図して・・まばゆい光とともに
「巨大化」して怪獣を抱えて
地球外へ飛び去って行きました
その一部始終を見ていた首相は
「デウスエクスマキナ」の存在を
確信するのでした
という感じでおしまい
別にストーリーはこうしてあるし
キャスト陣は豪華ですから観れる
作品になっていたと思います
なんでそんなに叩かれてんのか
よくわかりません
昨年130本映画観ましたけど
もっとゴミみたいな映画は
たくさんありましたよ
なんか普段映画行かない勢が
面白がって叩いてる印象です
「令和のデビルマン」はないです
あれは俳優の演技力から何か
すべてにおいでヤバすぎます
デビルマンすら観たのかと
言いたくなります
叩かれてる映画って観に行きたく
なるとこありますが
ひょっとして炎上ステマですか?
この映画のギャグはとりわけ
観客に笑う時間を用意していません
そのままサラッと話を流します
「裸の銃を持つ男」みたいなやつです
演出的にはシリアスな空気に
さえしなければいいやみたいな
感じに受け取れる感じです
下ネタも突然出てきます
し突っ込みどころは多いですが
そういうノリなのでまあいいや的
雰囲気で済んじゃってる点は
狙ってなのかたまたまなのか
確かにどんな層向けに作ったのか
ようわからんところがあり
独特の不穏さがある映画ではあると
思います
政治家たちの滑稽描き方も
ふざけてると思う人も
いるでしょうが
じゃあ現実の政治家って
真面目でしょうか
あれも十分滑稽なこと
やってますよね
どこかしこ風刺的なのです
まあでも一言でいえば「フツー」
だと思います
CGやセットのクオリティも
別にそこまでショボさを感じる
ものでもありませんでした
なんかネットとか見てると高いとか
どうせすぐ配信されるとか映画館に
「いかない理由」ばかり挙げる人が
多いですが映画なんて大きなスクリーンに
集中して向き合って観るだけで
もう意味あると思います
評判通りの面白さかつまらなさか
観に行って確かめてみるだけでも
映画って面白いと思いますよ
評判より面白い映画も
つまんない映画もありますから
自分はあえてこの映画
おすすめしてよいと思います