「くっだらねぇ…(悪い意味で)」大怪獣のあとしまつ 豆腐小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
くっだらねぇ…(悪い意味で)
「くっだらねぇ…」鑑賞後、開口一番に口をついたのが残念ながらこれであった。
大怪獣の死体…このあとどうなってゆくのか、どう処理されるのか、観客が一番興味のあるテーマにもかかわらず、監督は見事にその科学的考証をおざなりにし小学生レベルの都合の良さで作品を仕上げてくれました。
そもそもこの作品には庵野監督のシン・ゴジラ的な仮想のシリアスさはない。かといって福田監督の三国志のような突き抜けたバカバカしさもない。一体どこに向かう作品なのか全くわからないのだ。まるで一級河川に横たわるあの大怪獣の死体のような居心地の悪さだけだった。
やはりテーマを考えれば、前述の通り科学的考証や緻密な設定のリアリティをおざなりにしたのは敗因だろう。数え上げればキリがないが…
カリカルチュアな政治家達が吐くセリフは軽妙・滑稽をあまりにも狙いすぎてすべて笑えない。シリアスな人間関係は描写が解りづらいところに不倫要素までぶっ込んできて収拾つかんわ、これ。政府特務機関の人間が二年も失踪して何事もなく復帰したり、辞めた隊員が委託で爆破作業したり。政府関係者が機密情報をYahoo!ニュース的なサイトにアップしてリーク?いくら日本でもそんなガバナンスがばがば、コンプライアンスゼロなんてないから。おいおい堤体が二重構造のダムなんて存在しないので。おねーちゃんのアイデアでダム決壊させてあの質量の大怪獣を海まで押し流す?できっこないだろ。ましてや03式中距離地対空誘導弾を人がロケットランチャーで撃ち落とすとかどんなファンタジーだよ、ランボーでも無理だわ(苦笑)
三木監督はWeb現代のインタビューで「処理しきれない大きなものに対する人間の右往左往は、原発事故であれコロナであれ近似値を示します…」とか高尚なこと語ってたけど、どうにも語るに落ちた感がある。「インスタント沼」や「俺俺」とか割と好きだっただけに、三木監督のあまりの不勉強さに残念を隠しきれない。これが東映と松竹の共同作品と言うのにも驚いたが、やはり船頭が多かったのだろうかと邪推。
で、オチとしては大怪獣やっつけたんだからお前が後始末しないからみんな迷惑かかってんだろ?というものでした。
「大怪獣のあとしまつ」は「デウス・エクス・マキナの不始末」でしたとさ。