「もういいよ普通は」まともじゃないのは君も一緒 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
もういいよ普通は
作中何回普通と言った?
人生1度目で子供から大人になろうとして、普通を探している香澄と、
そもそも大人になってからも1度も普通にはまれたことがない予備校講師の大野先生と、
大人の世界で大人の付き合いを普通に繰り広げることができる柳と美奈子。
結局その中に普通はない。
最初、すごい物言いの香澄に驚く。
大人びた考えなのは、感じている劣等感疎外感の現れでもあり、大人に憧れがあるから、身近で大人らしくない大野先生に大人ぶった口をきく。
でも、最も本質を突いているのは、変わり者に見える大野先生だった。
普通という基準は、
属している括りの大多数の価値観に寄ってしまうもので、
世の中には全く違う普通も存在している。
複数の普通がある中で、自分の普通はなんなのかは、自分で見つけなければならない。
柳はどう世を良くしていくかの話をしていたが、
それは変わった後の新しい理想世界の話をするだけでなく、
柳含む社会構成員のひとりひとりが、それぞれの基準で考えた善を今すべきと思う時を逃さず積み重ねていくしかない。
その見本を、所作は変わっているが見せてくれる大野先生。
大人としてどうあるべきかを模索している香澄が、よく見てみて、柳より大野先生を好むのは必然だ。
コミュニケーションが苦手だったり、何を考えているのかよくわからないオタク風味の役が成田凌には続いているが、スーツを着るとよく似合う。東出とポジションが若干かぶっていた気がするが、東出自滅のこの数年で、何か不動の役が見つかっているといいな。
清原伽耶がせっかくの朝ドラとかぶせてこのような役をこなしている驚き。
広瀬すずが親のいない生い立ちの役ばかりなのに対して、清原伽耶は大人になろうとする役ばかり。
そんなに当たり役かなぁ?と個人的には思うが、続くなぁ。