劇場公開日 2021年3月19日

  • 予告編を見る

「~「君が言ってる“普通”は、何かを諦めるための口実なのか!?」~」まともじゃないのは君も一緒 門倉カド(映画コーディネーター)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0~「君が言ってる“普通”は、何かを諦めるための口実なのか!?」~

2021年7月25日
PCから投稿

笑える

楽しい

幸せ

【賛否両論チェック】
賛:良くも悪くも“普通じゃない”2人のやりとりを通して、クスッと笑えたり感動させられたりするのがステキ。“普通であること”への問題提起も印象深い。
否:物語自体は結構淡々と進む印象で、展開もご都合主義感がある。終わり方もやや好き嫌いが分かれそうなところか。

 片や知性はあるものの、コミュニケーションをとるのが苦手で、いつも頭でっかちになってしまう草食系数学講師・大野。片や恋愛知識は豊富なものの、経験が一切なくて超毒舌な女子高生・香住。そんな2人が織り成す一風変わった人間ドラマには、思わずクスッて笑ってしまう部分も多いのに、何故か不思議と共感できる部分も多いです。
 また、大野と香住を演じる成田凌さんと清原果耶さんが作り出す雰囲気も、本作の魅力の1つです。温かくもどこか棘がある、でもどこか憎めない兄妹のようなやりとりの数々には、沢山笑わされて少しだけホロっともさせられます。
 そして良い意味でも悪い意味でも、“普通”であることが良しとされる世間にあって、そこへ上手く馴染んでいけない大野と香住が、奇妙な“恋愛の練習”を通してどう変わっていくのか、そして変わらないのか。そうした“普通”というイメージへのささやかな問題提起にも、思わず考えさせられるようです。大野が香住に訴える、
「君が言ってる“普通”は、何かを諦めるための口実なのか!?
『普通はこうだから・・・』
『普通はこうだから・・・』
・・・普通なんてどうっでもいい!!」
っていうセリフが、胸に染みました。
 ストーリーそのものは結構淡々としているのと、ややご都合主義な感があるのが気にはなりますが、それもこのお話ならではといったところ。気になった方は是非。

門倉カド(映画コーディネーター)