劇場公開日 2021年3月19日

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「"普通"なんかどうでもいい!すなおに好き」まともじゃないのは君も一緒 よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0"普通"なんかどうでもいい!すなおに好き

2021年4月1日
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ンッフゥ…面白い。定量的に言うと?成田凌 × 清原果耶 = 比較的長回しの掛け合い・やり取り一生見ていてられそうなくらい。一生?それは現実的じゃないかな、いくら好きなものでも。ほら、飽きだって来るだろうし、他のものも見たくなると思うよ。あ〜うるさい!とにかく!定期的に作ってほしい、けど連ドラにはしてほしくないみたいな複雑な気持ち。噛み合わない波長が合ってる、合ってくみたい。"作戦" 魅力の相乗効果、互いをつなぐ最大公約数が絶妙の距離感で、徐々に上げられ高められていくのを感じる。こんなのずるい、好きになっちゃう。作品全体を包む風通しのよさ。かわいらしくて、すごくチャーミング。喧騒から離れた公園の緑のように。本当に合う人、心開いてる人となら、居酒屋じゃなくって定食屋だって行ける。
すなおに好き。一癖も二癖もあって"普通"じゃないロマコメ?それとも憧れていたもの(歳上への憧れや生き方・考え方の指針)の幻想打ち砕かれてまた一歩大人になるカミング・オブ・エイジ青春モノ(→米インディー系良作に多い)?『婚前特急』監督 × 脚本コンビが贈る本作、これはそのどれもでどれでもないような間口の広さで来る者拒まずな一本。例えば「アホだな〜」と笑って楽しめるエンタメ娯楽作品にも、一方で笑いながらも共感を覚えたり、まるで自分のことみたいに感じられ、人生変える大事な作品にもなるかも。90+α分という、メジャーどころな長編商業映画としては限られた本編尺をムダにしない。「あ〜もっと続いてほしい。見ていたいな」って思ったけど、多分あれくらいの時間だったから丁度よかった、というか最適だったのかも。
《森》自然の調和、その中に身を置き耳を傾ける --- 普通がいちばん…普通って何?しっかりと個性が際立っていた。例えば、大野のある特定のことしか詳しくなくて、食べ物知らなかったり常識ない感じ。秋本さんのハキハキ言っては、敢えて空気読まない感じに、自分を投影できる。感じ?キャリア的に脂乗りきって無敵モードなふたりの好演と抜群の化学反応から目が離せず、思わず笑ってしまう。興味のあること = 数学のことになると早口になったり、デートがまさかの上手くいったときには上ずった声になったりと、成田凌には普段無縁そうな雰囲気を微妙なニュアンスで出している。本人曰くスーパーの2階で70%オフになっていた黄色のアウター着て。特にあの笑い方!最高。
けど、秋本さん18歳と自分で言っている通り高3なのだとしたら、あんな風に連日他人の面倒ばっかり見て、油売っている場合じゃないのは確か。服装的に冬ではない(秋?)から、まだ間に合うかもしれないけど、口では"知識つめこみ型の受験戦争"みたいに言っている割に、少なくとも本作内からはそれを感じ取れなかった。主人公だけでなく友人や周囲もみんな。あと、宮本に関して、あれだけ警戒していたのに、ホテル出るときは素面?…とか。その後、その前、その後、その前。ともあれ見に行って正解。公開前から気になり試写会に応募したものも落ちて拗ねて(?)、見に行かずにいるとあっという間に相次ぐ高評価・話題になっていて今更…と見に行くか迷ったけど、『勝手にふるえてろ』や『カメラを止めるな』のときみたいに天邪鬼にならなくてよかった。不器用でも、その枠組みにはまらない個性を愛そう、当然だけど自分らしく生きよう。

P.S. ファーストデーで映画館の民度下がりがちだからか、両隣の席の人たち割とキツかった(臭い、言動)。"普通"じゃなかった。いや、もはやむしろあっちが普通で、自分が"普通"じゃないのか?

とぽとぽ