劇場公開日 2021年3月19日

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「刻々と変わる二人の関係性がたまらない」まともじゃないのは君も一緒 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0刻々と変わる二人の関係性がたまらない

2021年3月30日
PCから投稿

前田作品はいつも、何気なく始まった会話が生き物のようにうねり、それにあわせて登場人物の内面や関係性が大きくうねる。とりわけ脚本の高田亮と組んだ作品はそういった場面のオンパレード。本作「まともじゃないのは君も一緒」も軽く楽しめるコメディに見えながら、このチームならではのこだわりが緻密かつ大胆にスパークしている。高田の紡ぐ言葉も面白ければ、その一言、一音に生命を吹き込む成田凌と清原果耶は、まるで往年のスクリューボールコメディから飛び出したかのような微笑ましい相棒ぶり。一方の前田監督は長回しを駆使しながら、二人に化学変化が降りてくるまでの過程を息長く、軽やかに写し撮る。そうやって織り成される描写は軽快さを通り越し、スリリングでさえある。”まともじゃない”と銘打つのは自ら難度のハードルをあげるようなもの。だが、本作は見事にそれを超えてきた。丁寧に醸成された空気感、そのクセになる味わいを堪能したい。

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牛津厚信