「断言します。今世紀最高のラブコメディーです。成田凌と清原果耶のダブル主演で、期待をはるかに上回る物凄い演技。シナリオも完璧です。まったくオリジナルのアイディアがきらきら輝き溢れる作品。恐れ入りました。」まともじゃないのは君も一緒 お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
断言します。今世紀最高のラブコメディーです。成田凌と清原果耶のダブル主演で、期待をはるかに上回る物凄い演技。シナリオも完璧です。まったくオリジナルのアイディアがきらきら輝き溢れる作品。恐れ入りました。
発達障碍のために友人もなく、恋をしたこともない予備校講師という、きわめて難しい役柄を、ひょうひょうと演じているのが成田凌です。
まるで、素で演技しているだけ、地を出しているだけではと錯覚しそうな名演技ですが、成田凌は私生活では女性関係の噂が絶えない、役柄とは180度正反対の俳優なんですよね。
彼が演じている役柄は、つまり、完全にこの作品のために作り上げた人物像なんです。
名優という言葉は、もしかしたらこの人のためにある言葉なのかも知れません。
友人はいない。知り合いになっても友人になる前にみんな逃げて行ってしまうから。
これ、普通の役者だったら、悲しさの演技とか寂しさの演技とか、ついついやってしまいがちなシーンでしょ。
でも成田凌の演技はまったく違うんですよ。
たしかに発達障碍の人なら、このように感じるのだな、と、演技の力によって観客を有無を言わさずリアルに得心させてしまうのです。
そして、清原果耶もまた、鳥肌の演技力を魅せてくれます。
彼女は、半径5メートル内で恋人を見つけるようなマネだけはしないぞ、と決意している女子高3年生で、予備校では成田凌が個別指導する生徒です。
彼女が狙っているのは、知性のカリスマ。著書も何冊も出している、小泉孝太郎演じる青年実業家です。
このカリスマが婚約中であることを知って、婚約者の手からカリスマを奪い取るため、婚約相手の女性を成田凌に口説かせるという無謀きわまりない作戦を実施するわけなんですね。
友だちもいない、ましてや女の人とつきあったこともない予備校講師を遠隔コントロールしながら、です。
いったい、どうなってしまうんだろうとハラハラドキドキ、背中がくすぐったくなるようなお話がスピーディーに展開されるのですが、このシナリオには特筆すべき美点があります。
まったくひとつも偶然に頼ることなく、骨太のストーリーを展開しているという点です。
しかも、ほかに似たような映画を、私はかつて、まったく見たこともありませんでした。
まるで孤立峰・富士山のように、何の真似でもなく、何のパクリでもなく、独創的に輝いている。
脱帽するしかありませんでした。
一つ一つのセリフの吟味も素晴らしく、私が「今世紀最高のラブコメディーだ」と言った意味を、きっと誰もが賛成してくれるはずだと信じています。
ほんとにほんとに面白い作品でした。