「親の望み」望み ぴさんの映画レビュー(感想・評価)
親の望み
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ある事件に息子が巻き込まれたと知った時、妻と夫は親としてそれぞれ違う望みを抱く。我が子にはたとえ犯罪者となったとしても生きていて欲しいと願う気持ち、我が子が人を殺めるはずなどないと信じる気持ち、どちらも親なら当然に感じる望みでありこれには正解がない。子育てをしていると、この子は親の言葉を本当に聞いているのか、と言いたくもなる事が多いものだが、この映画には父の言葉がちゃんと息子の心に届いていたのだとわかるシーンが丁寧に描かれていたりと、子育て中の親として最後まで引き込まれる内容だった。
一つ違和感を感じたのが、事件がまだ未解決な段階の市毛良枝演じる祖母があまりにも穏やかだった事だ。実際に孫が事件に巻き込まれていると知ったら、もっと取り乱したり、怒りを露わにするのが自然でないか。まるで仏様の表情でちょっと非現実的な存在だった。
マスコミは変わらずマスゴミとして描かれる中、松田翔太演じる記者が、事件解決後に妻にとった行動は、なかなか実際にはあり得ないであろうが、救われる形となったように思う。
これから三人となった家族、とくに妹には兄の分もしっかりと生きてほしいと願わずにはいられないラストだった。
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