「希望は一体何処にあるんですか…😭 「親」になるということへの覚悟を試される一作。」望み たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
希望は一体何処にあるんですか…😭 「親」になるということへの覚悟を試される一作。
とある暴行殺人事件の渦中に巻き込まれた石川家の人々の、それぞれの「望み」が描き出されたヒューマン・ドラマ。
監督は『20世紀少年』シリーズや『SPEC』シリーズの堤幸彦。
脚本は『時をかける少女』『サマーウォーズ』の奥寺佐渡子。
一級建築士として働く家長、石川一登を演じるのは『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズや『海街diary』の堤真一。
一登の妻、貴代美を演じるのは『もののけ姫』『コクリコ坂から』の石田ゆり子。
一登と貴代美の息子、規士を演じるのは『中学聖日記』『MIU404』の水上恒司。
規士の妹、雅を演じるのは『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『3月のライオン』の清原果耶。
事件の取材をする週刊誌記者、内藤重彦を演じるのは『LIAR GAME』シリーズや『イニシエーション・ゲーム』の松田翔太。
……………。
…よくこんな地獄みたいな映画作れるな😱
どっちに転んでもバッドエンドが待っている、最悪の十字架を背負った家族の物語。
映画の冒頭、クライアントに自宅を紹介するシークエンス。ここでの家族の描き方が非常に巧い。
父親の一登は愛想がよく、仕事熱心な男。家族のことを大事にしている。ただ、どこか「良い父親」を演じている素振りが見受けられる。息子へのアドバイスも、確かに正論ではあるのだが所詮は唯の一般論であり、どことなく空虚な印象を受ける。
母親の貴代美は子供たちを溺愛している様子。ただ、息子の夜遊びへの注意をLINEで行うなど、彼の非行に対して正面から向き合っていない感じもある。
妹の雅は明るいが少々生意気な、至って普通の中学生の女の子。しかし、目標に向かって努力する自分と、挫折した兄を比較して、なんとなく悦に入っているような雰囲気が感じられる。
そんな家族の態度に、苛立ちを募らせている長男の規士。若干グレてはいるようだが、思春期の男の子にとってドカドカと部屋に入り込まれるという行為は最悪なことだし、親からの上から目線なアドバイスが癪に触るということもわかる。
このように、規士はどこにでもいるただの反抗期男子なのだが、しかしやはりどこか思い詰めたような表情を覗かせている、ような気もする。
冒頭で描かれるのは、ごく普通の、というよりはかなりハイソで幸福そうな家族の姿。しかしその裏側に、何か不穏なものが横たわっていることがありありと感じられます。
さりげなく、しかし殊更に一登と貴代美の指にはまっている結婚指輪が映し出されるのが嫌らしくも巧いポイント。
何となく危うさが漂う石川家。その不穏な気配は、″規士が隠し持つナイフ"という形でその姿を現します。彼の両親がナイフのことを知り、それについて問い質す時こそが、この最悪な事態を回避することが出来た最後のターニングポイント。…なんだけど、当然登場人物たちはそんなことは分からない。
そうじゃないだろ一登!そうじゃないだろ貴代美!
何故ナイフを隠し持つことになったのか、その原因を理解しようとすることもなく、一登はただ「良い父親」を演じ、貴代美はただ不安がるだけ。ここにおいて、この一家の行く末が決まってしまった訳であります。
この最悪な物語から我々が学ぶことができる教訓はなんなんだろう?
と考えると、やはり「親」になることへの覚悟を持て!ということなんだと思う。
じぶんの子供が最悪な事件に巻き込まれてしまったら、または最悪な事件を引き起こしてしまったら、あなたは腹を括れますか?子供の苦悩を理解するように努め、それに向き合う事が出来ますか?
「親」になることを選択した以上、たとえ地獄のような苦しみが待っていたとしても、それを受け入れなくてはならない。その事を突きつけてくれる映画だったように思います。この映画を観て覚悟を決められない人は、親になんかならない方が良いのかも。
最後の最後まで物語がどう転ぶのか予想がつかず、あの決定的な瞬間まで祈るような気持ちで鑑賞していました。非常に苦しい作品ですが、ドキドキ度合いは凄まじく、退屈はしません。
ただ石川家は事件の真相を解き明かすことに対してはあくまでも受動的であり、能動的ではありません。そのため、殺人事件の真相こそが作品のコアではありますが、調査や推理などといったミステリー的な面白さは皆無。
これは本作のジャンルがミステリーではなくヒューマンドラマなので致し方無いところではあるのですが、いわゆる「イヤミス」的なジャンルなのかと思って鑑賞していたため、少々肩透かしを食らったことは事実であります。
気になった点を一つ。
加害者家族ものにありがちなんだけど、家の玄関に堂々と落書きされるという展開。
こんなことってある?なんかこういうのを観る度に「グラップラー刃牙」(1991‐)を思い出してしまって、ちょっと冷めてしまう。特に今回は犯人だと確定していないパターンなのだから、こんなに大々的な感じにはならんのではないだろうか。
1998年に発生した「和歌山毒物カレー事件」では、その犯人とされる人物の自宅がひどい落書き被害を受け、遂には放火までされてしまった。その事件を参考にしたのかもしれないが、この映画の場合はもう少し抑えめのトーンで描いた方がそのリアリティは増したように思う。
スーパー重くて辛気臭い、地獄のような2時間の映画体験だった。ご鑑賞は、精神的なゆとりがある時に行うことをお薦め致します。
個人的な好みとはズレるし、もう一度鑑賞しようとはどうしても思えないけど、作品自体はかなりの良作だと思う。「堤幸彦ぉ!?商業主義バリバリのドラマ監督に面白い映画が撮れるわけねぇだろぉ〜!?」とか思っていてスミマセンでしたっ💦
…にしても堤真一って演技上手いなぁ〜…。
そして石田ゆり子は可愛いなぁ…。
勉強になります\( ˆoˆ )/。ただ真意としては「こんなレベルで殺人」「事実も確定しないのに竜雷太の暴力、ペインティングすること」が描かれる安直なことへの危惧です。勿論犯罪予防的にはおっしゃるとおりです。理解いただけなくて残念ですが、基本的に「こんな事件は許されない」というのは・・一意見ですので。😊大目に見てください。🙇♂️
竜雷太の「ハヤトチリの殴打=現実には暴行罪で逮捕。時期的にあり得ないペインティング=現実には逮捕 青臭い殺人の理由。「3つのあり得ない」描写+「思春期の兄妹の部屋を営業に見せる」で、ガッカリ「何も得るもののない」不毛作品、空疎すぎて地獄でした。最初から最後まで全部100%フィクションでした。ひねくれた意見ですみません。イイねありがとうございました😭\( ˆoˆ )/