「それぞれの『望み』が痛く、苦しい。」望み ぴんないさんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの『望み』が痛く、苦しい。
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『息子が生きているならそれでいい』と想う母。
『息子は絶対に殺していない』と信じる父。
兄を想う気持ちと未来が霞む恐怖に苛まれる妹。
どの立場に立っても地獄。
それでもそれぞれが何かを望んだ。
親と子の間にあるリアルな気持ちの交差と
家族という立場でどう考えるのか正解なのか、
こちらも深く考えさせられました。
現代の日本で起こりうるメディアや社会からの罵声や圧迫が、酷い可哀想だと思いながらも、ニュースやネットを見ただけの自分であったら、おなじようにおもてるだろうかと、人間の誰かを想う気持ちの裏返しの醜さを感じた。
映画として見ている私達だからこそ、その事に気付かされる。
ここからネタバレ、、、
加害者かもしれないと悟った時の妹の想いが爆発した瞬間に、胸が締め付けられた。「どうしてお兄ちゃんの犠牲にならなきゃいけないの?」きっと自分もそう思ってしまうのだろうと感じた。
母親のシーンで印象的だったのは、息子かもしれない高校生が捕まったと聞き、弁当を作ろうとする部分。
「あの子の好きなものを食べさせたい」
これだけのセリフでいくつもの想いが乗せられている。
殺してなんかいないと信じた父親。小刀を見つけたあの時、なんと苦しかっただろう。「息子はやっていない」とメディアの前で泣く姿は、序盤で事件の事を受け入れられない父親とは全く違う、二重の地獄だったはず。
岡田健史くんは、シーンが他の人と比べ少ないのに、
存在感があり震えた。
皆さんの演技が素晴らしかった。
自分に子供ができた時、また見たいです。
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