「想像以上に衝撃的で感動的で悲しすぎる展開」望み ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)
想像以上に衝撃的で感動的で悲しすぎる展開
先日「ファーストラヴ」を観に行って、堤監督のサスペンス映画には毎度驚かされますが、今作もかなり衝撃の物語展開で、期待以上の作品でした。家族が一つの事件によって追い込まれ、平穏な日々を失っていく。この映画はそんな家族の崩壊がとても強く出ているように感じました。
ある日突然息子がいなくなり、その日に事件が起きる。その時からずっとハラハラしながら観ていました。息子はどこへ行ってしまったのか。何をしているのだろうか。事件とどう関わっているのか。被害者なのか殺人の犯人なのか。考えれば考えるほど浮かんでくる疑問に悩まされる家族。息子は誰も殺していないと信じたい父親。たとえ犯人だろうと息子に生きていてほしい母親。両親は同じことを考えているようで、全く違うことを考えていることが浮き彫りになっています。今やネットでいくらでも情報が舞い込んでくる時代。息子が犯人だと勝手な憶測をネット上でされている家族がどれほど追い込まれていくか。この家族の立場になってみると、かなり恐ろしいです。観ているだけで辛くて涙が出そうでした。誰もが「殺人犯の家族も殺人犯」と思い込んでいる世の中なので、当然両親や妹まで世間やマスコミや被害者に遺族からも突き放され、誹謗を受けます。事件の裏側は明かそうとしない警察も、その中に加わっているようなものなのかもしれません。痛ましすぎて鑑賞中に感じた胸の中の緊張感、焦り、そして悲しみはとても言葉では表せません。
堤真一と石田ゆり子というベテラン俳優2人に、清原果耶と、出番は少なかったけど暗くて心に深い悩みを抱えた高校生を演じた岡田健史という才能ある新人が家族役を演じています。清原さんは兄を思う優しい妹役で、涙ながらに必死な演技力がとても良かったです。岡田くんも、家を出て行ったあとは恐らく誰よりも出番の少ない役でしたが、悩んでいることは誰にも話さない、でも心優しい高校生でした。この2人の演技力は素晴らしいものだと思います。よくよく見れば、清原さんは「僕は明日、昨日の君とデートする」にも出ていましたね。「僕明日」を初めて観た当時はあまり意識していませんでしたが、もう一度観たらよくわかりますね。岡田くんは「新解釈 三国志」に出演していて今が旬の若手俳優ですね。今後もこの2人の映画には期待したいと思います。