「落ち着けとしか言えない映画」望み Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
落ち着けとしか言えない映画
※公開翌日に書きましたが非公開になってるのに
気が付いてませんでした
今週の目玉作…なのかな〜という感じで観賞
堤幸彦作品はハッキリ苦手です
いつも映画見た気分にならないドラマみたいな演出の
映画ばかりな印象です
テレビ屋的というのかな
今作の感想は
昭和のドラマスペシャルみたいなシナリオ
流れが掴みづらい時間軸
何もヒネリのないサスペンス要素
共感できない家族の心理
今更こういうのを見せられるのかという感じでした
堤真一は好きなんですけどね
建築設計者の旦那一登とホームワークの出版業の妻貴代美
高校生の長男規士(ただし)と中学生の次女雅の石川家
一見幸せそうに見えましたが最近ケガでサッカーが
出来なくなった規士の様子が変でしたがそのまま失踪
当然夫婦は心配しますがテレビで高校生の殺人事件が発生
数人の高校生が現場から逃走と言った報道がなされ
規士の関与が明るみになるとマスコミの取材報道や
世間に殺人犯扱いされ一家の周囲は一変
息子は犯罪にどう関わったのか?加害者か被害者か?
家族はどうであってほしかったのか?がテーマになります
なんかこの一連の流れがツッコミどころ満載でした
まず画面にいちいち日付が出るんですが
事件発生の1/5から全容が判るまで1/9と数日にも
かかわらずマスコミの過熱取材から近所からの糾弾行為
被害者の葬儀まであまりに急展開に進んでいってリアリティが
ありません
また一登は規士をたとえ被害者として生きていなくても
加害者であって欲しくない
貴代美は加害者であってもいいから生きていて欲しい
というそれぞれの望みの違いで対立しますが
なんでその二つしか選択肢がないのかわかりません
被害者でも生きている可能性はあるし
加害者でも死んでいるかもしれないし
確かに貴代美は記者から情報を得たりしましたが
全部仮定の話で作り上げられる「望み」でしかありません
なぜそんなグラッグラな軸でストーリーを進めなければ
いけないのかが最後まで理解できませんでした
だって裏返せば
旦那は仕事上の面子もある息子は被害者であって欲しい
妻は息子は生きていて欲しいから殺人犯でもいい
次女は自身の受験のために兄は被害者であって欲しい
というとんでもない望みが出てきてしまいます
まあ身内の殺人事件関与なぞ経験はありませんが
事件発生から2,3日の段階で考える事って
普通の感覚からすればただ無事で生きていて欲しい
無関係であって欲しいというだけじゃないですかね
ヘンに日付とか出すからこの辺の経時的変化が
おかしくなっちゃってます
でもって事件の描写もなんかうまくない
銃社会でもないのに2人のヤンキー2人殺害する
とは想像がつきづらい
規士が結局死んでしまうなら犠牲者は1人のほうが
考えやすかったはず
あと冒頭から出てくる石川家の自宅ですが
ハッキリ言ってコントのセットにしか見えません
パラサイトの金持ち家の家に比べてあまりにショボすぎます
青梅くらいならもっと大きい住宅でもいいだろと思います…
あと全体的に韓国映画のマネがしたいのかな〜って感じの
カメラワークや演出が多い
流行をやりたいんでしょうが没個性的です
やはり「映画を観た」感覚になれない作品でした