劇場公開日 2020年10月9日

「重く、苦しく、それでも目が離せない」望み おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

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3.5重く、苦しく、それでも目が離せない

2020年10月18日
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鑑賞方法:映画館

怖い

予告で、事件の真相をめぐるサスペンスのおもしろさを感じて、原作未読のまま鑑賞してきました。予想とは異なるテイストでしたが、家族が互いを思う気持ちや、真相が明らかになったときの切なさややるせなさを感じ、なかなかおもしろかったです。

ストーリーは、家を出たきり行方がわからなくなった息子が、殺人事件に関与した疑いがもたれ、残された両親と妹が、事件の真相をめぐって思い悩むというものです。息子は加害者として生還するのか、被害者として殺されてしまっているのか、どちらに転んでも不幸しかないという状況が、わりと早い段階からもたらされます。そんな中、父、母、妹がそれぞれの立場で、規士はこうあってほしいと望むのですが、その思いにはズレがあり、それが家族の関係をギクシャクさせていきます。そのさまが、重く、苦しく、それでもテンポよく描かれ、最後まで目が離せません。

本作の中心となる家族役に、堤真一さん、石田ゆり子さん、清原果耶さんら、演技派俳優がキャスティングされています。中でも清原果耶さんの演技は秀逸です。時間を追うごとに変化する雅の心情が、手に取るように伝わってきます。幸せで平凡な家族がしだいに壊れかけていくさまが、実によく描かれているので、観客は自分に近い立場の人物に共感しながら観ることができるでしょう。

ただ、タイトルにあるような、家族それぞれの望みより、事件の真相がわからぬうちから、騒ぎ立てるマスコミと、誹謗中傷に走る周囲の人物への嫌悪感のほうが、よほど強く心に残りました。平凡で幸せな家族がわずか2.3日のうちの犯罪者扱いされる昨今の風潮は、本当に腹立たしく思います。以前見たリチャード・ジュエルを思い出し、あいかわらずのマスゴミぶりに怒りがわくとともに、もし自分の身に起こったらという恐怖、抗う術のない絶望感を覚えました。

そんな生き地獄のような生活に落とされた家族に、どんな真相がもたらされるのか。結末は、ぜひ自分の目で確かめていただきたいです。

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おじゃる
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