劇場公開日 2020年10月9日

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「いぇ〜」望み Appleさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5いぇ〜

2020年9月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

その人の「望み」は、その人自身を映す鏡だと思う。

怪我をきっかけにサッカーができなくなってしまい塞ぎ込んでしまった少年を中心に繰り広げられる物語。
人はみな、それぞれ違った様々な「望み」を抱えている。自分のためのものであったり、自分以外の何かのためのものであったり。そしてまたある時は「何か」を隠すためのものであったりする。
父がこれからも変わらない生活を送れることを望み、母が息子の無事を望み、妹が自らの生活をしっかり送れることを望んだように。
マスコミも警察も被害者家族も目的、方向性は違えど全員が「望み」を持っている。それら全てを満たし進んでいくことは難しいかもしれないが、皆が協力していけばきっといい方向に向かうのだと思う。己の「望み」だけに従っていては、今作のように良い結果は決して生まれない。

次の「望み」は何だ。そう背中が語っていた。
人生とは「望み」を探し、見つけ、叶え、また探し。
その繰り返しなのかなと思ったりした。

内容に入ろう。
辛すぎた。後半が辛すぎて息ができなかった。過呼吸になるかと思った。そのくらい壮絶だった。ついこの前まで、というか昨日まで何事もないどこにでもあるような家族が一瞬で崩れていく、1人1人の精神が崩壊し関係も壊れていく、そんな様が恐ろしかった。
最後まで生きて帰ってくることを信じ、覚悟を決めているという姿勢を見せ続けた貴代美(石田ゆり子さん)には感服した。女は弱し、されど母は強し。まさにそんな感じだった。

ネタバレしないように書くの意外と難しいな笑

率直に思ったのは、根も葉もないことをどうしてそんな簡単に鵜呑みにできるのだろうか。執拗に迫るマスコミも、噂話を広げる生徒も、規士(岡田健史さん)の何をわかっていたのか。やってない。そう信じることが全てとは言わないが、その人の事をよく知りもしないで外部の者が騒ぎ立てるのはどうなのかと思った。今の世の中を具現化したようなものだった。

善い人が損をする。そんな世の中はもう懲り懲りだ。
そんな風刺をした作品でもあったような気がした。

毎度毎度で申し訳ないけど、これだけは言わせていただきたい。
果耶ちゃんの演技が本当に好き!!笑
あんな闊達だった雅(清原果耶さん)の感情が崩れていく様子をしっかりと表現されていて素晴らしいしか言いようがない。本当に18歳なのでしょうか、、笑

ぜひ色々な方に観て、感じて、考えて頂きたい作品です。

映画館に行こう!

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