「もう子供じゃないのにけして大人じゃない」17歳の瞳に映る世界 ターコイズさんの映画レビュー(感想・評価)
もう子供じゃないのにけして大人じゃない
17歳はもう子供じゃないけどけして大人じゃない。
その年代特有の、寄る辺なさが丁寧に描けていたと思う。
もうちょっと幼い時は自分の世界の中心は家族で、頼れるのは親ってはっきりしてたのに、
成長とともに、親との関係が微妙になっていくことはあるある。
日頃から不機嫌な顔の仮面かぶってたら、ピンチになってもうまく親を頼るやりかたがわからない。頼りたくないって思ってしまう。
頼れるのは自分だけ。でもお金もなくて知識もたいしてない。
オータムには寄り添ってくれる同世代のいとこがいたから、まだましなのかもしれない。
2人でニューヨークの街をさまよう。
世界は自分にひれ伏すなんて勢いで堂々とわたり歩ける17歳なんて、なかなかいない。みんな内心の心細さ、不安を押し殺し、日常を生きてる。
そして非日常のトラブルにぶちあたると、途方にくれる。途方にくれた、無口な彼女の心情はよく伝わってきて、リアルで、そしてちょっと心をかき乱される。なんでもないって顔してても、いざ実際に起きたことと向き合うと、彼女の口からは「never」はほとんどでてこない。まだまだ大人じゃない彼女は、いろんなことを飲み込んでやり過ごしてきたんだろう。17歳だからってだけじゃなくて大人になっても、わたしたちはちゃんと「never」って言えるように、彼女たちも言えるように。そうあってほしいって、そういう世界であってほしいって思う。
そして、傷ついてもよるべなくても不快な時も、つながれた指先が、救いとなるように。そんな絆がどこかにはあることを祈りたい。誰にとっても。
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