劇場公開日 2021年7月16日

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「少女の妊娠、中絶をリアルに描く」17歳の瞳に映る世界 あささんの映画レビュー(感想・評価)

4.0少女の妊娠、中絶をリアルに描く

2021年7月16日
iPhoneアプリから投稿

2人の少女が初めてNYを訪れる。本来であれば初めてのNY、ワクワクするはずの旅路だけど、ある切実な事情により重く、辛く、過酷な旅となる。

望まない妊娠をした17歳のオータムは、親の同意が不要のニューヨークで中絶するために従姉妹のスカイラーとバスでNYへ向かった。
初めてのNY、初めての妊娠、中絶、、、
彼女たちの瞳に映る世界は魑魅魍魎だ。

いくら性教育で避妊についての知識を教えたとて、避妊に対しての十分な理解や知識も、はたまた子を宿すといった事がどれほど神秘的で尊いことかさえも、10代の子にはまだ理解することが難しい(妊娠がわかった直後に、安全ピンで鼻ピアス開けちゃうところとか、オータムの心情をうまく描いている)。

また本作での印象として妊娠、妊娠検査から中絶までを比較的リアルに描いている(クリニックによっては12週以降は中絶できない、それ以降は二日間による比較的大変な手術など)。淡々と辛い現実が描かれる中、とりわけ唯一の光が従姉妹のスカイラーの献身的な姿ではないだろうか。自分にはこれっぽっちも得などないのにオータムの為に文句一つ言わずに寄り添う姿、その上ナンパ男に身体を張ってお金を借りる姿は印象的だ。

望まない妊娠、性行為の強要、暴力、今この瞬間も日本で、世界で、オータムのような少女たちが苦しんでいる。親に相談できるならまだしも、親にも誰にも相談でき無いが故に悲惨な結末を迎えることだってある。
親子で、学校をはじめとする教育機関で積極的に本作が鑑賞できる機会が与えられたらと、望まない妊娠から少女たちを守ることに少しでも繋がるのでは無いかと思う。

マキ