17歳の瞳に映る世界のレビュー・感想・評価
全94件中、1~20件目を表示
語られない従姉妹の物語も気になって仕方がない
田舎の17歳女子が、田舎の17歳という限界を抱えながら、突破口を求めて慣れない大都会NYへ行く。なんとも危なかったしいロードムービーで、自分が16歳の時に、深夜のマンハッタンをうろつき回る機会があり、とにかく不安を押し殺して歩いたことを思い出したりもした。
ただ、自分の体験と完全に異なっているのは、やはり主人公コンビが女性であることで、女性というだけで危険の質も変わるし、寄る辺のなさの深刻度も全然違う。それでもおぼつかないながら、堕胎というミッションのために邁進する主人公オータムから目が離せないのだが、ふと、サポート役に徹してくれる従姉妹のスカイラーのことが気にかかる。
オータムはただ17歳なりに未熟なのだが、一見ふんわりしたスカイラーは、最初から断固として従姉妹を支えようとし、バイト先のカネを盗み、重い荷物を持って、つねに伴奏してくれる。彼女の覚悟を支えているのは何なのか? おそらく、まだオータムが見ていないゴミみたいな女性差別を目の当たりにし、体験してきたからではないか。
表では描かれないスカイラーの物語が常に裏面として存在していることが、作品の奥行きであり、演じた2人の女優が完全に等価なW主演である証拠だと思う。
つらく、やるせなく、美しく、過酷
なかなか届かないだろうとは思うが、未成年で性交渉の可能性がある十代の若者にこそ観てほしい映画だ。避妊の知識が不十分だったり、知識はあっても男性側に押し切られ行為に及んだりして、結果的に望まない妊娠をしてしまったとき、精神的にも肉体的にもダメージを負うのは圧倒的に女性の側なのだということを、本作は主人公オータムと従妹のスカイラーの数日間を通じて訴えかける。
親に隠したまま中絶したいオータムは、保護者の同意が必要な地元ペンシルベニアではなく、同意不要で手術を受けられるニューヨークへ行くことに。つらくやるせない旅だが、スカイラーの並外れた献身が大きな救いであり、珠玉の輝きを放つ。2人がレジ係のバイトをする地元のスーパーで旅費と中絶費用のお金を盗み、旅先で資金が尽きた時に“体を張って”知り合ったばかりのナンパ男ジャスパーから借金するなど、自身へのリスクを顧みずオータムを助ける姿勢に、観客の多くは「自分ならここまで他者のためにできるだろうか」と自問するはず。演じるタリア・ライダーの醒めた目も印象的で、精神的な幼さと脆さを感じさせるオータムを演じたシドニー・フラニガンとのバランスが絶妙だ。
通路の柱の陰からオータムがそっとスカイラーの手をとるシーンが忘れられない。
見終わると妙に優しい気持ちになれる
アメリカのペンシルベニアからニューヨークまで、女子高生が親友の従妹を伴いニューヨークへ。目的はペンシルベニアでは両親の同意なしには許可されない中絶手術を受けること。なぜ、彼女はそうしなければならなかったのか?という、"話の起点"になる疑問は想像の域に止めて、冷え冷えとしていて温かみのない女の子2人の旅に同行するカメラは、最近、あまり見かけなくなったニューヨークの冷たい横顔を捉え続ける。地方からバスでニューヨークを訪れる乗客たちが行き交う"ポート・オーソリティ・バス・ターミナル"の風景が象徴的だ。ニューシネマ世代の筆者は思わず、夢破れて逆にニューヨークからフロリダへと脱出する男たち2人の道行きを描いた『真夜中のカーボーイ』('69)を思い出してしまった。劇中、ニューヨークのカウンセラーから妊娠に至るまでに少女が受けた虐待や強要の頻度を4択(原題の意味)で答えさせられるシーンがある。それまで封印してきた感情が一気に溢れ出るとき、彼女が負った肉体はもちろん、心の傷がいかに深いかがわかるのだ。アメリカに住む女子高生たちの日常をテーマにして、笑いは一切排除し、取り巻く環境の世知辛さに徹底して寄り添った作品。しかし見終わると、妙に優しい気持ちになれるのだ。少女たちの幸せを願って。
何も言わず寄り添ってくれる人の温かさ
重い内容のストーリーでした
17歳で妊娠という大変な事なのに、当事者のオータムも従姉妹のスカイラーも全く取り乱し慌てる事もなく、ずっと淡々と行動している様子に違和感がありました
でもカウンセラーに4コの答えからどれに当てはまるかの質問の途中答えられないオータムの辛そうな様子から、なぜ妊娠したのか、なぜ淡々としているのか、それを想像できるようになりました
その答えは出てこないので結局どうなのかわからないけど多分そうなのだろうと
とても悲しい事だけど、何も言わずずっと隣にいてくれているスカイラーの優しさが救いでした
ほとんど会話がない2人だけど、大切なのは言葉じゃなくて寄り添ってくれる存在
とても良い2人でした
スカイラー役の女の子がとってもきれいでした
よくわからない映画だった
淡々としている。
オータムの心の中ではなにを思っているのかさっぱりわからない
この年頃の女の子は心の中の気持ちとは違う行動をとったり言ったりするから、どうなんだろうと観てる間中考えていた
なんとかなってしまう展開も、なんだかねぇ
少女を取り巻くこの世界。
冒頭で主人公が歌う歌。男に翻弄される自分を嘆いた歌詞。女としてこの世に生まれてきたことへの嘆きともとれる。そんな彼女に浴びせられる心無い罵声。
舞台は閉鎖的なペンシルベニアの田舎町。思わぬ妊娠に一人悩む主人公。彼女は親にもその事実を打ち明けられない。この田舎町で打ち明けようものならどうなるか、彼女はよく知っている。
田舎の病院は検査も不正確で、あげくに市販の検査薬を使う始末。そんなものすでに試した上での来院なのに。
中絶に対しては当然保守的で、物々しいビデオまで見せられる。
本作を通して主人公が感じる女性であることによる様々な重荷。父との確執、職場でのセクハラ、生理のつらさ、性行為での男性側の横暴、妊娠のリスク、そしてその妊娠を実の親にも相談できないこの世界の閉塞感。
やむなく親に内緒で堕胎をするために仲の良い従妹とニューヨークへ。堕胎を行う病院の前ではキリスト教原理主義者たちによる中絶反対デモが行われている。
帰りのバス代のために男に身を許す従妹と主人公の指が辛うじて繋がる。同じ「女」であるという同士としての二人の絆。
主人公は何故に親にも相談できず、むしろ親に内緒で堕胎に至らなければならなかったのか。帰路につくバスの中で柔らかく暖かい陽射しだけが彼女を優しく包み込む。彼女を取り巻く世界とは対照的に。
今のこの世界で女性の生きづらさを説明を極力排した映像のみで見せた監督の手腕にうならされる作品だった。
以前削除されたレビューを再投稿。
この作品は誰しもが身近に起こりうる話
物語を観て、女性から見た男性、
男性から見た女性、どちらもリアルな部分が
描いてある。
17歳本人からすると、選べる選択肢は狭く感じると思う。せめて周囲の大人に相談できたら。
作品の途中、主人公は堪らず母親に
電話をかけていたが途中で辞めてしまった。
もし義父が・・最悪のシナリオではあるが
そう考えると、両親に相談できなかった事も
頷ける。※詳細は分からないので憶測。
1人の親友がいてくれたお陰で
どれほど救われたか。
現実を知ること。、女の子は必見
女子に生まれたと言うだけで幾多の苦悩と危険にさらされる。それでも傷つけられ傷つきながらも生きていくしかない。
アメリカペンシルバニア州は、堕胎できない州のようで、望まぬ妊娠をした高校生、父親は知性も感受性も愛情もなさそうな偉そうにしたがりなしようもない家父長自認ダメ男とみえる。親には言えない。ネットで調べて自然に堕胎しようと何故かビタミンCをがぶ飲みしたり痛々しくおなかを自分で殴ったりする。
近所に無料で検査をしたり相談にのってくれるとのろなあるが、そこはキリスト教団体が赤ちゃん斡旋のためにやってるみたいで堕胎が恐ろし好ことであるビデオをみせて、生まれたら赤ちゃんの里親に探してあげる心配ないと言うところ。ありえない!!しかしそこには医師もカウンセラーもいて出産と里親制度利用を進め利最悪な場所ではあるがどなたも女性である。
女性の医師が診察する、こういうところに女性が配置されているのはさすがね、と思って見ていたらのちにニューヨーク州の施設では、ペンシルバニアでは妊娠週をわざと間違えて教えられていたことが判明(堕胎不可になることを狙っている。間違いではなくわざとであり組織の目的意識に沿う悪意によるもの)
それでもそんな場所があり女医がいて診察してくれるのは、ひどいとは言え日本にはないこと。
その後、同い年のいとこと二人
堕胎可能なニューヨークにバスで出かける。いとこは誰の目にも美少女で、途中ナンパされたり、いとこの方は妊娠したオータムより社会を知ってるようで、美少女であればこその苦労、危険な目に遭ってきたように思われるし、だからこそこれまでの経験値とこれからも続く困難を視野に強く逞しく目的を達成しようと果敢だ。
オータムは望まない妊娠という体験からも、そしてそれ以上に社会の仕組み、差別が必然な現状を知る。
17歳の女の子二人が長距離バスに乗ったりにょーヨークの街をうろついたり野宿したりするのをみているだけで痛々しい。
オータムはニューヨークで嫌がらせや誰のサインや同意が必要などもなく、よく考えた上での自分の決断判断であることさえ確認できたら、きちんと手術をしてくれる。そこでも医師、カウンセリングや受付スタッフは皆女性。これができるだけでも日本もだいぶ楽になると思う。
この映画は多分に教育的な目的も達成している。途方にくれる10台の望まぬ妊娠、10代でなくても途方に暮れる。市販の妊娠判定のキットで陽性ならそれは陽性であること、ジタバタしても自分で堕胎やなかったことにはできないこと、アメリカであれば堕胎容認、堕胎禁止それぞれの州でどんな仕組みや対処方法やサポートがあるかないかを知ることもできる。具体的にどのように診察されるかどのような処置がされるかも強いイメージと、当事者の感情を持って知ることができる。
悲惨な体験、惨めな気持ち、男に騙されたふりしてナンパされても成し遂げねばならなかたし、もっと危険や悲劇になっていたかもしれない。
それでも助けてもらえる場所があることは日本より何百倍もいい、そこでは、一人の人として自立して人として扱われる。
知恵を働かせること、勇気を持つこと、諦めないこと、友達やシステムを頼ること。
みんなにみてほしい。若い子みんなに見て、一応知識として蓄えてほしいし、大人や男子も見てこの現実な加担してること(妊娠させて無責任なことやシステムを変える作る以前に旧態以前の維持やさらなる逆行をしてる、加担してること、存在してるだけで考えおかしいと思わない限り加担してるということを考えてほしい。現実の厳しさ。
二人の俳優さんはとても魅力的で多感でありながら押しつぶされそうななか生きてる様を演じる姿が目に焼きつく、心に刺さる
17歳の女性の前に立ちはだかる世界とは。妊娠中絶がきっかけとなり世...
1.Never2.Rarely3.Sometimes4. Always 女はつらいよ。4択で人生決まる
少女終末旅行を連想する。
しかし、正に現代の現実。この少女達が見たように、現代はもう終末なのかもしれない!
家族が待つペンシルバニアでの出来事をバッサリ切る。凄い演出だと思う。あの『この世界の片隅に』以上に凄い表現。
彼女達の問題は解決されたようで、何一つ解決されていない。それどころか。
僕は傑作だと思う。
もう子供じゃないのにけして大人じゃない
17歳はもう子供じゃないけどけして大人じゃない。
その年代特有の、寄る辺なさが丁寧に描けていたと思う。
もうちょっと幼い時は自分の世界の中心は家族で、頼れるのは親ってはっきりしてたのに、
成長とともに、親との関係が微妙になっていくことはあるある。
日頃から不機嫌な顔の仮面かぶってたら、ピンチになってもうまく親を頼るやりかたがわからない。頼りたくないって思ってしまう。
頼れるのは自分だけ。でもお金もなくて知識もたいしてない。
オータムには寄り添ってくれる同世代のいとこがいたから、まだましなのかもしれない。
2人でニューヨークの街をさまよう。
世界は自分にひれ伏すなんて勢いで堂々とわたり歩ける17歳なんて、なかなかいない。みんな内心の心細さ、不安を押し殺し、日常を生きてる。
そして非日常のトラブルにぶちあたると、途方にくれる。途方にくれた、無口な彼女の心情はよく伝わってきて、リアルで、そしてちょっと心をかき乱される。なんでもないって顔してても、いざ実際に起きたことと向き合うと、彼女の口からは「never」はほとんどでてこない。まだまだ大人じゃない彼女は、いろんなことを飲み込んでやり過ごしてきたんだろう。17歳だからってだけじゃなくて大人になっても、わたしたちはちゃんと「never」って言えるように、彼女たちも言えるように。そうあってほしいって、そういう世界であってほしいって思う。
そして、傷ついてもよるべなくても不快な時も、つながれた指先が、救いとなるように。そんな絆がどこかにはあることを祈りたい。誰にとっても。
女性の権利がまた一つ覆された!!
2022年6月25日。
アメリカの連邦最高裁が人工妊娠中絶を認めた過去の判断を覆した。
この映画は望まぬ妊娠をした17歳のオータム(シドニー・フラナガン)が、
秘密裏で妊娠中絶をするために、親の同意なく中絶できるニューヨーク市を
目指して従姉妹のスカイラー(タリア・ライダー)とペンシルベニアの住む田舎町から、
ニューヨークまで乗合バスを乗り継いで旅するの珍道中を、シリアスに描いた
映画です。
若い女子ふたりのはじめての都会ニューヨークの旅路。
2人に会話はほとんど連絡事項のみの素っ気なさ。
目的が目的ですから、楽しい訳もなく、オータムは不安でいっぱい。
お金だってギリギリ。
そして想定外のことが起こる。
妊娠10週とペンシルベニアのエコー検査で医師に告げられていたのに、
ニューヨークでの再検査では妊娠18週と判明したのです。
そのため危険を回避するため、中絶には2日間が必要と言われる。
費用も健康保険を使うと親に医療費の明細書が送られる。
オータムは、頑なです。
どうしても親に知られたくない。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した本作品は世界中から高い評価を受けています。
2021年(アメリカ)監督:脚本:エリザ・ヒットマン
アメリカの田舎町のどこにでも居そうな17歳の少女ふたり。
感動したのは従姉妹で親友のスカイラーの頼もしさ。
予期せぬ出費がかさみ、オータムに、
「お金どうしよう?」と聞くと、
帰ってきたオータムの言葉は、
「うるさい!!」
(オータムの言葉、ちょっとショックでしたね!!)
でもスカイラーの機転と優しさなしに、このニューヨーク2泊3日(0泊3日かなぁー?)は、
成立しなかった。
友情と思いやりの深さ!!強さ!!
スカイラー本当に頼もしい!!
そしてニューヨーク州の望まぬ妊娠中絶を支える福祉(費用を補助する民間基金やボランティア)
の手厚さ。
そしてカウンセラーのケリーの優しさ。
この映画の原題は、「N ever Rarely S ometime A lways 」なのです。
つまり「一度も!めったに!ときどき!いつでも!」
カウンセラーのケリーの質問票にその4つの言葉で答える様に言われます。
「暴力を振るわれたことが、ありますか?」
…………R arely(滅多にない)
「コンドームは付けてもらえないことがありましたか?」
…………S ometime(ときには)
「相手に脅されてsexしたことはありますか?」
…………オータムの瞳に涙が溢れて、答えられない…………
本当に辛いことは言葉に出せない。
福祉のお世話にはなったけれど、17歳ふたりがチカラを合わせて、
世界中どこにでも起こりうる《女の子たちの危機》に《女の子だけ》で立ち向かった映画です。
闘う価値は立派にあったと思います。
前述の通り、
2022年6月25日。
アメリカの連邦最高裁が人工妊娠中絶を認めた過去の判断を翻す判断を示した。
どうして女性の権利は守られないのか?
中絶は女性の悲しい権利です。
スカイラーがいい子すぎる
バイト先の店長に手を握られたり、客のオッサンにパーティに誘われたり、ナンパしてきた男に連絡先渡しちゃったり、美人だけどワキの甘いスカイラー何かやらかしそうと心配してたけど、ただひたすらオータムを支えてて健気。気の立っているオータムにひどいこと言われても見捨てないし、手術前ナーバスなオータムにはくだらない手品を見せてリラックスさせる。挙句の果てに帰りのバス代まで調達してくれて、もうなんていい子なのこの子は!オータムかなり厳しそうな人生だけど友だちには恵まれたね。手術後の食事で初めてオータムが笑顔を見せてて良かった。未成年が自分の意志で中絶できるこういう施設があるのって成熟した社会だなと思う。中絶禁止の州法を容認する判決が出たばかりのアメリカだけど後退しないよう願っています。
理不尽な社会
監督が女性ならではの視点で丁寧に作られている
望んでいない妊娠を知り、仲の良いいとこと
中絶するのに親の許可が要らないニューヨークに
行き、中絶する17歳の少女の話
淡々とした展開の話
監督が女性ならではの視点で丁寧に作られている
話だと思った
中絶手術を待つオータムにいとこのスカイラーが
ささやかな手品を披露したり
バス男とスカイラーがキスしてる場面で
オータムがスカイラーと小指を絡ませたり
ベタベタせず冷たくもない、ふたりの距離感が
よく出ていると思った
姉妹でも友達でもなく、いとこという所がポイント
中絶の是非を問う話ではないと思うし、
17歳の少女から見える世界もよく描けていると
思うが、バス男からスカイラーに来たメールを
オータムが「削除」して、と言ったくだりから
引っかかっていたけれど
人間として形を成し始めた新たな命を、
望まないからと「削除」したオータムは、
中絶が、不快で疲れるけれど
怖いものではないことを知ったので
また自分が望まない妊娠をしたら、中絶と言う
名の削除をするのだろうと思った
ニューヨークの片隅で
人間らしい人の瞳に映る世界‼️❓
全94件中、1~20件目を表示