ファースト・カウのレビュー・感想・評価
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無限ビーバー、有限ミルク
西部開拓時代のオレゴンで、牛のミルクを盗んでドーナツを売り儲ける料理人と中国移民のコンビの話。
ビーバーの毛皮で儲ける仲買商がこの地に最初に連れてきた牛に目をつけて、夜な夜なこっそり乳搾り。
材料は秘密と言いつつマーケットでドーナツを売ったら大繁盛という流れになって行くけれど…余白の部分がめちゃくちゃ多くて、まった〜りゆった〜りテンポの悪いこと。
そしてことが起こり、猫脱走からの夜が明けた後またしてもまった〜り。
しかもそんな終わり方ですか…話しの流れ自体は嫌いじゃないけど、90分ぐらいでお願いします。
ミルク泥棒のお話
西部開拓時代のオレゴンの山深い土地で仲買人の牛からミルクを盗み追われるアメリカ人のコックと一儲けを企む中国人移民の話。
一度観てみたかった噂のインディペンデントの名匠ケリー・ライカートの作品。
当時の雰囲気と時間の流れにうまく合わせるかのようにお話をゆっくりと進めて行き、多くのカメラを使わず、説明も少なく、登場人物や背景をじっくりと丁寧に描写していく。
今の我々からするとたかがミルク泥棒、ほんのささやかな夢のために行ったことだが、当時のこの土地では富の象徴である最初の牛から採れる貴重な食材、また別の土地で成功する事はそんなに簡単なことではなかったのだろう。
そんな事を考えながら冒頭の人骨を思い出すと、名も知れない多くの普通の人達の上に今の我々の生活があるのだろうとなどと思ってしまう。
あの人骨も彼等のものと明確に言っていないところも良い。
キングはあの後うまく逃げ切り、別の土地で成功しているのかも知れないとか想像する余地を残してくれる巧みさも伺える。
好きな人にはハマるのだろうが、ワールドマーケット向けの誰でも楽しめる作品ではないため、スピーディーな展開や刺激に慣れてしまった人達には受け入れ難い作風だと思う。
そう言う自分も他の方達のような高評価までには至らずで、大人になってからもう一度チャレンジしてみたいそんな(監督の)作品でした。
人々の営みの普遍さたるや。
白人のフロンティアスピリットを賛美してあの頃の熱狂や開拓の夢や苦労を振り返り、白人優位を鑑賞者みんなで再認識するのが、いわゆる西部劇とするならば、この作品で描かれる同じ時代を舞台にした作品は、果たして西部劇と言えるのだろうか。
現代の貧困にも通じるような、この作品が訴える物語を、決して過去のものとして留めてはいけないように思えてしかたがなかった。
ミルクは美味しさにつられて飲み過ぎるとお腹を壊す
初めて観るタイプの西部劇。
足りない部分を補い合うように
出会ったふたりの間にはいつも優しい
時間が流れていて。
もしかしたら違うのかもしれない。
それでもわたしはふたりの間にあったものを
友情と呼びたい。
劇場で売っていた丸いドーナツを食べた。
ドーナツというよりサーターアンダギー。
ふたりのように可愛らしい味だった。
作品の雰囲気を壊さない演出
西部開拓時代のアメリカを舞台として、作中を通してノスタルジックな描写が続く。
やや鈍くさいが誠実で優しい料理人と、器用で目的のためにリスクを取ることを厭わない中国系移民のやりとりには不思議な魅力がある。
序盤のシーンで視聴者に結末を明かした上でその結末を敢えて描かないといった演出は面白いと思う。
ハッピーエンドとはなり得ないストーリー展開であるにも関わらず、この演出のおかげで視聴者は終盤に暴力的なシーンを観ることなく、ノスタルジックに浸った本作を観終えることができる。
ちゃんと並びましょう
開拓時代の米国が舞台だが、騎兵隊の突撃も牛群渡河もなし。しかし登場人物の会話や自然描写がリアリティを感じさせる。ストーリーについてあれこれ書くのは野暮だが、やんわりとドキドキさせてくれる不思議な魅力。
ドーナツの夢
ケリー・ライカート『ファースト・カウ』を観る。西部開拓時代、野郎2人が一攫千金を夢見たのは、銀行強盗ではなく、ドーナツ。表へ出ろと飲み屋で定番の殴り合いのケンカが始まった後、からっぼの店に残った2人の再会シーンが映画史上最もマッチョイズムから離れて、最も優しいこの西部劇を象徴していた。素敵な映画なので、ぜひ2人の悪戦苦闘の行く末を見届けてください。
あと、観ていて、ジャームッシュ『デッドマン』のテイストが随所に感じられたな、川のシーンとか特に。実際、『デッドマン』に出演していたゲイリー・ファーマーが出演していたしね。
もひとつ言うと『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』のリリー・グラッドストーンも出演していました。
アメリカ国内での放映が専ら想定されているとは思うが、おすすめ枠。
今年430本目(合計1,080本目/今月(2023年12月度)31本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
※ その帰りにスパイ・ファミリーを見て帰りましたが、アニメ作品に関しては憲法論的な解釈ができる映画以外はレビュー対象外です。
日本では高校世界史でもあまり扱わない、いわゆる開拓時代を舞台にした映画で、原作小説がありその映画化ということであるようです。よって小説の内容を超えることができないという制限がまず存在します。
結論からいうと、「ストーリーの流れはわかりやすいのだが、日本では扱わない部分が多々あり固有名詞で詰まってしまうところもあるが、おそらくアメリカの先住民族等も含めた、「当時の色々な人々の存在」をテーマにした、国内の教育映画?の趣旨のにおいが結構する映画」です。
ストーリー自体は、そうそう序盤に仲間になった2人が、「ドーナツもどき」から「牛乳」を得て「ドーナツ」(ここでいうドーナツは、日本では沖縄のサーターアンダギーのほうが趣旨的に近い?)、さらに「ドーナツに色々なフレーバー等をかけたもの」等を売り始めて一見成功を収めたに思える2人にかかわってくる災難とは…という趣旨の映画です。
ストーリーの趣旨はこのようにわかりやすいのですが、もっぱら映画は国内(アメリカ国内)を想定されているように思えます。これより少し難しい映画になると、余りに難しい語句については難易度調整のため難易度の高い字幕にセリフがつくなどしますが、それがないからです。このため、一部のセリフが何を言っているのかわからず、そういった固有名詞が続くところがあるので、「×××が×××で、×××だ」みたいな、類推して読むのも限界が来るような字幕が出るところもあります(当然英単語もマニアックなので、聞き取れてもどうしようもない)。
ただこの点は小説通りなのだと思うし、日本で日本の歴史(日本史)について扱う範囲と、海外(アメリカ等)から見たそれが明確に違うのと同じことがこの映画のそれであり、こういうことが日本で見る場合に生じるのは仕方がないというところです。
多少のアクションシーンも「一応」ありますが、いわゆる南北戦争よりも前の開拓時代を描く映画として、作話の範囲ではありますが「先住民族がいる中でどういった暮らしになっていたのか」という点に触れている点で(日本から見ると)良い映画かな、といったところです。
採点に関しては以下を考慮したものです。
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(減点0.3/一部のセリフがわかりにくい、類推にも限界がある)
上記のように、「ドーナツもどき」から「ドーナツ」、さらに「ドーナツに味付けをしたもの」(映画内ではシナモンだったかな)を売るように「売上が拡大する」描写があります。一方で、映画内で描かれる「通貨」として「金」「銀」「貝殻」の3つが出ます。「金」と「銀」とでは(通常は)「金」のほうが高いところ、たとえば1「金」が何銀に相当するのかという「相場」がはっきりしないので(「貝殻」にいたっては「金」「銀」の下の通貨の扱いなのか、あるいは上なのかもよくわからない)、映画内で「銀を金にした」等言っているシーンあたりも「どのあたりのレート相場だったのか」が謎なので(かつ、当時の話なので、ドーナツ1つの価格を現在の日本なりアメリカの一般的な価格から類推しても仕方がない)、ややこの辺混乱させてくるところがあります。
また「クリベッジの相手がいなくなった」(映画の中盤から終盤あたり)は???な方も多いんじゃないかな…といったところです。
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(減点なし/参考/「クリベッジ」について)
イギリス発祥のカードゲーム(トランプを使うゲーム)で、2人以上で遊べますが、通常は2人プレーのカードゲーム(トランプゲーム)です。色々な役を作っていって一定の点数を超えたほうが勝ち、という、いわゆる「役作りで点を稼いで一定点数超えを狙う」というゲームです。点数計算が個々の処理で発生して「点数計算」が面倒なゲームなので「1点」から「121点」まで穴があいていて、点数が増えるとそこにおはじき等を置く「クリベッジボード」というものもありました(現在ではコンピュータとやる場合は勝手に計算してもらえるし、電卓でも何でも計算できるが、当時はそうではなかった。また、121点制が正式ルールだが、それだとゲームが(2人用でも)長くなるため61点制にするルールもあった)。
※ 日本ではマイナーですが、トランプカードさえあればできるゲームなので、ある程度遊ばれているゲームではあるようです。
牛乳を盗む…誰から?
どの映画もファーストシーンにはこだわっていると思うので、そこを語るのは野暮なのですが…それを承知のうえで。
四角い画面(スタンダードかな?)を活かす演出に心を掴まれました!!
ゆっくりと近づいてくる船…
まだ船……まだ船……船デカッ!笑
映画で見えていることは切り取られている一部に過ぎないことを再認識させられると同時に「このサイズ感の驚きと興奮をもたらす映画ですから。」と観客に向かって語りかけてくる。
実際、物語の展開がスリリングで、終始ドキドキハラハラ。
先に結末を知っているにもかかわらず、ラストは祈りながら観ていました。
「どうか、どうかお願いだから!」
お願い?誰に?何を?
ここまで2人にのめり込んでいる自分に驚きました。
悲しくも幸せな、複雑な高揚感に包まれます。
2人が出会ったから夢が描けた。
腕は良いけど優し過ぎる男と
商売っ気はあるけど元手が無い男
1人で完璧な人間を目指すのは大変だけど
2人で補い合えばちょうど良い。
四角い窓から薪割りするキング・ルーの姿が見える…自然に箒を手に取るクッキー。
これをワンショットで納めるセンス!
最高やね。
家族でも恋人でもない、友情ともちょっと違う。でもお互いに必要不可欠な存在。
あらすじにも書かれてある通り、ミルク泥棒の話しです。
でも牝牛は自分の仔牛の為に母乳を蓄えているわけで…そもそも人間はそれを横取りしているのよね。
しかも本人の知らないところで売り買いされて連れてこられて。
クッキーの優しい心に触れて、感謝の気持ちが溢れてきました。
過去から地続きに今がある。
1人でも生きていける世の中ですが、お互い頼り合ったほうが半分で済むこともある。
人間も動物なんだし、みんなの凸と凹を合わせて一人前で良いんじゃない?
牛がかわいい🐮
西部開拓時代の自然豊かなオレゴンを舞台にしているのもあり、ゆったりと時が流れる映画なのだけど、うまく緊張感が保たれていて凄いなと感心!
じっくりと映した人物たちも女性監督らしい優しいまなざしに見守られていたから、ほんわかした心地よい余韻が残った
ライカート監督の映画は初だったので他の作品も観たくなった
やさしい西部劇
Fan's voiceさんオンライン試写会にて
2人のあまりに穏やかな関係性と空気感に西部劇であることを忘れてしまった。みなさんの感想見てそうだこれ西部劇だ…って思い出したくらい。
冒頭のシーンが頭に残ってるので、後半ずっと心臓がギュッッッてなって見てました…生きる時代が違ったら…と考えずにいられない。
穏やかで優しいけど、同じくらい苦しくて切なかった。
2人が作るドーナツ食べたいな…今ドーナツ食べたらちょっと泣いちゃうかも
元祖西部劇とは真逆の西部劇
どんなアメリカンドリームなのかと思って観たら、全然違った。
美しい大自然の中、優しさを持ち寄って仲良くなった二人の間には、始終優しい時間が流れていたのに。
初めの願いはとてもささやかだった気もするけど、もうちょっとだけの欲がその後の展開を決めてしまった。
けどなんだろう。
観終わった後もなせが心が温かい。
初めてキング・ルーの家にあげてもらって、ルーが火を起こす間に、クッキーが気を遣って家の掃除をして花を飾る気遣いになんかやられてしまった。
さすが牛にも気持ちが通じるだけあるわよ。
優しさは生き物全部に通じるのね。
それに反して、有力者の客(の中には先住民もいるのに)扱いがひどい!
先日『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を観たところだから、余計に白人が先住民とどんな風に関わってきたのかを考えてしまう。
全体的に二人がずっとお互いを優しく支え合っているのが続くので、なんか優しい気持ちて観終わることができた。
始まりが想像を越えて衝撃的だったわりに、心穏やかに終わったのが一番印象的だったかも。あまりに想像と違いすぎる始まりで、怖い場面が出てきたらどうしようと結構ドキドキしながら観てしまった。笑
丸いドーナツ
2023年12月2日
映画 #ファースト・カウ (2019年)鑑賞
異色の西部劇
西部開拓時代にこっそり手に入れた牛乳を元にドーナツを作って一儲けする料理人と中国人コンビの結末は
木々の音や風の音など自然の音がはっきり聞こえる魅力的な映画です
@FansVoiceJP さん試写会ありがとうございました
ドーナツに群がる男たち
冒頭で犬が発見したアレにそんな物語が…!
最後おかしくて哀しくて
ケリー・ライカート監督やっぱり大好きだなぁ。
最速試写会ありがとうございました。
先行上映も、一般公開ももちろん行きます。
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