ファースト・カウのレビュー・感想・評価
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マニア向け?
西部開拓時代の話ながら、アンチウェスタンというか静か〜なまったりドラマ。もちろん事件は起こって、それはそれなりにハードなものなんだけど、どちらかというとそうした当時の非カウボーイ的(カウボーイって西部開拓が落ち着いてから?)な暮らしを味わう感じかな…
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」はもっと時代が下ってるはずだけど、仲買商(トビー・ジョーンズ最高!)の奥さんがリリー・グラッドストーンだったり、隊長がスコット・シェパードだったり、共通点も多くて最高。
ただ、夜のシーンも多いのにライティングもイマイチ(ってか自然光のみ?)だったりでとにかく暗い…
悪くはないんだけど、良くも悪くもマニアというか好事家向けという印象を拭えませんでした…
ミルクは秘密の材料
まあ、とりあえず最初の躯が見つかったという時点でどう展開するかと思いきやまさかの西部開拓時代にまで遡り金稼ぎの為にビーバー以外のビジネスはないかと模索する中で、ある牛を見つけたことによりこれはチャンスだとばからに目をつけ夜な夜な乳搾り、ドーナツ🍩の材料にしちゃう。
ドーナツはたちまち大繁盛します。
料理人クッキーが美味しくドーナツ🍩を揚げる様子を傍らに🇨🇳からやってきたキング・ルーは秘密の材料だから言えないと言って牛乳の使用を上手く騙していたが、牛の飼い主に商売している様子がバレると、はじめはまさか自分の自宅の雌牛のミルクを使っているとは思わなかったがために屋敷へ招き入れ、ミルクの出が悪いんだと話す内容を聞き次第に自分達の悪事がバレるのではとクッキーが危惧する中でもキング・ルーはビジネスだと諦めず夜の乳搾りを続けたことによりついに悪事がバレてしまいます。
俺の🥛だ!
貴重な雌牛から搾乳したものが許可なく搾り取られたら普通怒りますよ。エンドは家に帰る事も出来ず二人土の上で寝始めると、恐らくだが絶食で栄養失調になり亡くなったという感じで終わる。
結論、高価なものに目が眩んだ二人の結末は自業自得で終わるというものだった。
"Nobody"
バレるかもしれない、捕まるかもしれない、そんなハラハラする感覚は微塵もなく、ほんの一瞬のチャンスで一攫千金を掴む為に乳を搾る、静けさが漂う星空きれいな真夜中で緊張感よりも仄々とした雰囲気の中で淡々と繰り返される作業が一頭の雌牛と共に和む一時。
本作の時代設定的に例えばイニャリトゥの『レヴゥナント:蘇りし者』で描かれる罠猟師たちが勇ましく先住民と争いディカプリオは瀕死の状態でサヴァイヴする物語を頭に浮かべながら、クッキーとキング・ルーが陥ってしまう顛末に自業自得と悲観的にはなれない、二人の友情を描くにしても深い関係性には到達せず一致団結から生まれた友情と、バッドエンドながらなぜか微笑ましく和める最後に感じられる。
リリー・グラッドストーンが『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で演じたような背景の立ち位置で、彼女の良さが際立った『ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択』はケリー・ライカートの作品としても傑作、日常に於ける生活を細かい作業として描写する演出に『ミークス・カットオフ』を奇妙な男同士の友情を描いた『オールド・ジョイ』も想起させられる本作、もちろんジャームッシュの『デッドマン』が地味に登場するノーボディにテンションは上がりながら。
牛がメインの話じゃない(笑)
牛が主役の話かと思いきや、牛はチョイ役(笑)
静かで眠くなる映画です(笑)
『ショーイング・アップ』を観たばかりですが、
同じケリー・ライカート監督で、静かで眠くなる作風も同じだな…(笑)
『ショーイング・アップ』はメチャクチャ眠くなったけど、それよりは眠くならなかった(笑)
自分の興味ある、アメリカの西部開拓時代で、
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』で、ディカプリオの女を演じたリリー・グラッドストーンが出てたり、
オープニングとエンディングに使われた、アコースティックギターの美しいインスト曲が、良かった。
でも、眠くなる映画です(笑)
かけがえのない友人に出会う奇跡と人生の賭け
2020年。ケリー・ライカート監督。西部開拓時代のオレゴン。料理人としてビーバーの狩りグループに同行してきた男は、そこで、中国人の逃亡者を助ける。やがて再会した二人は一緒に暮らし始め、ある日、地域にやってきた最初の牛を目にしたことから、危険な賭けに出ようとするという話。
周囲に蔑まれ、恵まれているとは言えない人生を送っている2人の男たち。最悪の状態で出会った2人がともに暮らすことで、一発逆転のチャンスを見出すストーリー。二人で横たわるラスト(と冒頭)があまりに切ない。
第三者に見られたり、見つけられたりすることで主要人物が画面に導入される「客観性」のある落ち着いた表現。状況のなかの個人のありようを丁寧に描いている。同じところにいても別の価値観で別の世界を生きている先住民族の描き方もそつがない。冬のオレゴンの寒さが伝わってくる。
フェ“モー”ニスト
『パーフェクト・デイズ』で寝落ちしたあなたは、本作では完落ち間違いないのでよっぽど体調がよろしい時の鑑賞をおすすめする。それぐらい眠気を誘う映画なのだ。基本台詞少な目でヒーリングな劇伴も最小限に押さえられ、かつ、本作に関しては森の中の薄暗いシーンが大変多いため、気がついたら場内が明るくなっていた、なんてことのないように十分な注意が必要な1本だ。
冒頭けたたましいエンジン音をたてながらコロラド川を上っていく一艘の貨物船。本作が『川の研究』(未見)で知られている映画監督ピーター・ハットンに捧げられていることからして、川の“商業物資の運搬”機能に着目した映画であることは何となくわかる。もう一つ、ライカートが三宅唱とのインタビューの中で語っていたのは、“過去と現在”をつなぐ時の流れという意味合も含ませたらしいのである。
犬を連れた女性が掘り起こした、仲良く寝そべったように並んでいる2体の白骨死体。そこから映画は1800年代のアメリカへ時代をいっきにさかのぼるのである。ビーバーの毛皮目当ての狩猟団で👨🍳をつとめるクッキーと、同じ目的のロシア人から命を狙われ森に逃げ込んだ中国人キング・ルーの友情物語。その背景にライカートは、スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』と同じ白人入植者の黒歴史をさりげなく描いているのである。
つまり、英国からもちこんだ血統証つきの🐮からミルクを盗んだクッキーたちと、元々自分達の土地でもない場所でビーバーを大量捕獲して毛皮をフランス貴婦人に売り付ける商人たちを、同列の“こそ泥”として描いているのだ。ビーバーの毛皮だけはいで美味しい?“しっぽ”を廃棄する白人たちに対し、紅茶用にしか使わないミルクから美味しい🍩をこさえて一儲けしたクッキーたちに文句などいえた義理じゃないでしょ、と監督はいいたいのであろう。
前作『ミークス・カットオフ』からの続きで考察するならば、キング・ルーが「まだ歴史が始まっていない」と語るこの森は、おそらく創世記に出てくるエデンのアレゴリー。“イーヴィ”の出すミルクから作り出された🍩は“知恵の実”という位置づけだろう。その知恵の実をおいしそうに食べたアダムたちは、どんな“善悪の知識”を得たのだろうか。ビーバーの毛皮にしても🍩にしても、自然からの恵みに値段をつけるという、ある種神に対する冒涜ともいえる行為をライカートはあまり快く思っていないようなのである。
やがてミルク泥がバレ、権力者たちから追われる羽目になったクッキー&ルーは、🍩や金儲けよりも大切なものに気づくのである。ウィリアム・ブレイクの詩にもうたわれたかけがえのない“友情”こそ、何物にも変えがたいものであることを知るのである。やがて川の流れとともに時が過ぎ去り後世に伝えられたのは、美味しい🍩のレシピやビーバーの毛皮で作った襟巻きなどではなく、2人の友情だけだったのである。
期待した以上の素晴らしさ
この監督の作品は初めて鑑賞したが、素晴らしい内容だった。映像の美しさと照明の暗さにエルマンノ・オルミ「木靴の樹」を思い出した。若い二人の友情の描き方がとてもクールで貧しい環境から抜け出そうとする切実さが胸を打つ。オープニングとエンディングの描き方が何と言っても秀逸であり、詩情溢れる脚本である。次回作品も期待出来そうだ。
家でドーナツ作ると人魂みたいになるよね。
私は知らなかったけどアメリカのインディズ系では有名な監督らしい。
女性らしい精緻な人間描写、汚い開拓地で強かに生きる人間たちを丁寧に優しく描いてます。
話も押し付ける感じがなく、少し眠くなりますが豊かです。
ほぼ自然光のライティング。
汚しのリアルな服や家、凄い造り込みですよ。
ちょっと山っ気のある中国人と、人の良いパン職人の犯罪と友情の話です。派手な映画ではないので万人向けではありません。
ハッピーエンドでもないけど、なぜかじわっと幸せ感ある映画でした。
制作が2020なんでリリーグラッドストンはまだあの仕事する前なんだろうな、、、ちょい役だが美しい存在感がヤバい。
なぞかけだってお手の物
西部開拓時代のオレゴン州にて、アメリカンドリームを夢見る元料理人と中国人移民の危ない賭けと友情を描いた作品。
偶然出逢った2人は、仲買商が保持する"富の象徴"である牛からミルクをこっそり盗み、それで作ったドーナツが大ヒットし金を儲けるが…。
終始、ゆったりとした雰囲気で見せるドラマ作品。
美しくも鬱蒼にも見える深い自然のなかで夢見る2人の生活は、とってもスローだが不思議と見ていて飽きない。そして今更ですがドーナツって何も輪っかじゃなくても良いんですよね笑
慎ましくも、美味しそうにドーナツを食べる人々の顔を見ているとなんだかホッコリしますね♪
とは言え、盗みに変わりはないですから。見つかってからの展開は中々のヒヤヒヤもの。
そしてこう終わりますか〜。結局割り込みされまくってた彼が…といった感じなのかな。どうでも良いが彼をミスドに連れて行ってあげたい。かわいそうですもんw
とにかく、ゆったりで起伏の少ない作品だが、言葉に出来ない魅力がありとても惹き込まれた良作だった。
しかしもうちょっとテンポが良くてもよかったかな…それこそ牛歩のような展開でしたね!
………………。
…こりゃクッキーの方がうまいですね。。
勿論お菓子じゃなく、本作主人公の方です。はい。
かなり地味ですが良心的な友情ドラマでした。
西部開拓時代のオレゴン州が舞台の男同志の友情ドラマです。
村落のような市場で自家製ドーナツを売って一獲千金を狙う二人のストーリーは
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のようなドラマチックな展開はないですが、見ごたえはありました。
前半は淡々と日常を描いているので睡魔に負けそうになりましたが中盤から将来の夢のために雌牛からミルク泥棒を企てビジネスに
打ち込む二人の協力する姿にハラハラ感がありました。
とにかく画面は暗くジメジメとしたロケーションがリアルで作品の世界に入っている気持ちになります。
友情ものとしてよくできてますが地味な作品なので好みは分かれると思います。
SLOW
ビジュアルだったり宣伝文句がかなり良かったので、ちょっと期待して鑑賞。特典はポストカードでした。
ケリー・ライカート監督作品は初鑑賞だったので、どんな作風なのかというのは知らずに観ましたが、オープニングが異常なまでにスローだったので、これはヤバイかも…と思ったら本編もどスローすぎて申し訳ないんですが退屈でした。テンポだけでこんなに合わない作品だと思うのは久々でした。
序盤から置いてけぼりにされるのでどうしたもんかと頭を抱えていたら、その後もグダグダウダウダしながら進んでいき、画面も謎に暗いので観にくく、牛が出てきたら盛り上がるかなと思ったらそこまでで、ドーナツ作りで盛り返したと思ったら、謎な終わり方で締めてしまったので最初から最後までポカン状態でした。
ロケーションとドーナツは良かったです。正直それ以外はテンポが全て台無しにしてしまい、他のところもあまり集中して観ることができなかったのが残念です。「ショーイング・アップ」も似たような感じのテンポだったらマズいなと思ってる次第です。
鑑賞日 12/25
鑑賞時間 11:35〜13:45
座席 D-13
暗い 遅い つまらない
地味でマニアック、現時点で観た人も限定的なので妙に評価が高いですが、普通の人にとっては退屈極まりないことは保証します。
終始画面が暗くて滅入ります。
内容も地味で暗いです。
テンポも遅くてイライラします。
ストーリーも盛り上がりに欠けてドラマチックもダイナミックもありません。
人はパンのみにて生くるにあらず。だからお菓子もちょっと必要🥞
西部開拓時代の映画なのに、野蛮な音はほとんどせず、木々、流れる川、草原、爬虫類や小動物、犬にネコ、雌牛の美しい目、青空と雲がひたすら映る。カメラの位置が低い時は自分が犬になった気がして背の高い草が目の前に広がった。フィルムサイズ(のことは全く知らないけれど)が映画によく合っていた。大きな大きな船が左からゆったりと右方向に川を進む最初のシーン、美しかった。
「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」を見た後にこの映画を見ることができて幸せだった。埃っぽくなく静かで、昔から代々そこに住んでいた人のように自然を知り尽くして歩いた気持ちになった、ドキドキ感と一緒に。
おまけ
リリー・グラッドストーンにまた会えて嬉しかった
秘境の秘湯につかる気持ちよさbyA24
秘境の秘湯につかる気持ちよさbyA24、
泉名は、
ケリー・ライヒャルト、
呼び方改めライカート、
効能は友情、一点張り。
カリフォルニアの土地売買、
パリの流行、
銀貨の枚数等、
時代や場所を探りたくなるのもやめて、ただ温泉に首までつかる、、、のがおすすめ。
A24は攻め過ぎ、、、
と解釈するか、
攻め無さ過ぎ、、、
と観るかは、
観客しだい。
評論家は褒めるであろう作品。
【蛇足】
シナリオ、演出含めた技術の優良可、
または不可の場合の作品の狙いへの探究、言及でもなく、
好き、好きではない、
褒める、褒めないという言葉で濁されるであろう作品。
べつに牛で繋げたわけではないが。
いつも感心するのだが、こういう作品の企画がなされ、お金が集まり、製作され、公開に至るというのは、「映画」という魔物の呪術なのだろうか。それほど『企画』に対して、ビジネス的な夢を見ることが難しい作品なのだ。地味で汚くて、これといったテンションもなく、画角も編集も音楽さえも、主張がほぼ無いように見える。それでいて観る者を惹きつけてやまない。不思議な魅力にあふれた作品だ。イメージフォーラムで観た「ジャッリカットゥ 牛の怒り」以来かな、こんな気分は。
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