なぜ君は総理大臣になれないのかのレビュー・感想・評価
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積極介入ドキュメンタリー
“右手には花束を、左手にはナイフを持つ気持ちで取材対象に挑む”という大島監督が、被写体である小川淳也議員にカメラを向けながら、ことあるごとに自らの思いを率直にぶつけていく。今回の決断は間違っていたんじゃないか、(民進党は)政権とる気あるのか、果ては、あなたは政治家に向いていないんじゃないか…。柔らかい物腰とは裏腹に舌鋒鋭く議員を追い詰める。
そのスタイルは、同じく政治を題材にしたドキュメンタリー映画「選挙」(傑作!)とは真逆だ。“観察映画”を標榜する想田和弘監督は取材対象である山内和彦氏を客観的に観察し、どのシーン・側面を切り取るかで自らの思いを伝えた。一方で大島監督は、自らの意見をダイレクトに伝えることで、小川淳也議員から迷いや苦悩などあらゆる言葉を引き出していく。
白眉は選挙カー車内での雑談シーン。民進党から離党し、希望の党への参加を決めた小川議員に対し、大島監督は“無所属でいくべきだった”と意見する。すると小川議員が重い沈黙を交えながら、徐々に心情を吐露し始める。その嘆きはおよそ政治家が漏らすような言葉ではなく、はっきり失言と言えるレベルの内容だが、理想に燃える品行方正な若手議員の本当の苦悩がもっとも表れた瞬間だった。
その後の小川議員が選んだ道を見れば、大島監督の積極的な介入がその決断に影響を与えているのがよくわかる。その功罪はさておき、監督自身が物語の道標となっていくその過程に、ドキュメンタリー映画の持つ力をあらためて思い知った。
苦悩する民主主義の姿
現職の衆議院議員、小川純也氏の初出馬から現在までの17年を追いかけた力作ドキュメンタリーだ。民主党から出馬し、実直に国の行く末を憂う小川氏が、民主党の政権奪取から解体、第二次安倍政権の長期化と野党の弱体化の流れの中で、悩み続けてきた姿を赤裸々に映し出している。
最大の見どころは、民進党が解体され、小川氏が小池百合子の希望の党に移って臨んだ衆院選選挙だ。その選択が正しかったのか、期間中もずっと悩み続ける。街中では罵声を浴びせられる。たしかに小池新党とは政治信条的に相いれない部分があるわけだが、あの時は清濁併せ吞む気持ちだったのだろう。
その後、国民民主党には入らず、無所属を選んで原点に立ち返ったかに見える小川氏。彼のような政治家が国政で思うような活躍ができないのはなぜか。まっとうな主張よりも党利党略が優先され、理念がないがしろにされる現実に打ちのめされる。タイトルは言い直せば、なぜ我々有権者は彼のような人物を総理大臣にすることができないのかということになる。「苦悩する民主主義」の姿が映されていた。
☆☆☆☆ 鑑賞は2回目 初見の時から1年以上が過ぎ、その後に色々と...
☆☆☆☆
鑑賞は2回目
初見の時から1年以上が過ぎ、その後に色々と政局は変化した為に、その後に起きた事を含めてほんの少しだけの感想を。
初見の時と同様、再び応援演説の場面と若い2人の娘さんの姿に涙する。
ラストの前に奥さんと2人で食事をする場面。
少し前に、この後に控えた総裁選を見据えてだろう。岸田が、夫婦団欒の食事場面の写真をネットに上げていたのは、(かなりの確率で物真似したのだと予想)失笑モノだった。
初見の時も思ってはいたけれど、スシローが小川氏と親しくしているのは。敵対政党の中で私利私欲に走らない彼を、有益な情報召集相手と見ているのだろうとの思いは強い。
更には、盤石ではなかった当時の民主党。
本人曰く、「前原さんほど右じゃないのが、枝野さんほど左じゃない」のを見抜き。泡よくばカッオの一本釣りよろしく、安倍のスカウトマンとして近づいた(現実には大島監督の紹介で)可能性はかなり高いと思う。
地元での地盤が盤石な対立候補。
その相手は、このコロナ禍の間に現職の大臣となった。
前回の選挙が極めて僅差だっただけに、この秋に行われる選挙でもかなりの激戦が予想される。
果たして自民党の党内に於いて、この先を見据えた人事だったのかどうか?
この作品が世に出た後だけに、現職の強みを最大限に活かして立ち向かう気概なのだろう。
2020年 6月29日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
2021年 9月20日 キネマ旬報シアター/スクリーン3
選挙戦で疲弊する政治家・・・理想を語っても票は入らない。
「香川一区」を観始めました。
30分程観てから、これはやはり、
「なぜ君は総理大臣になれないのか」を観てから、
レビューを書くべきだ。
そう思い録画してあった本作を鑑賞しました。
小川淳也さんは、香川一区が選挙区なのが、不運!!
あまりにも同一選挙区の自民党・平井卓也議員が強すぎる。
平井卓也(65歳)・・・四国新聞及び西日本放送のオーナー一族で、
祖父も父親も大臣経験者。
俗に言う、地盤、看板、カバンを持たない小川淳也さん。
東大卒でキャリア官僚だった小川淳也は官僚政治に愛想を尽かし、
32歳で政治家を志し、現在当選6回。
小選挙区では平井に負け続けて、比例で復活当選を繰り返している。
この映画は監督の大島新(大島渚の息子)と縁があり、
小川淳也の人間に惚れ込んだ大島新が17年に及ぶ交遊を、
記録していたことからこのドキュメンタリー映画が誕生した。
小川淳也さんは本当に魅力的な立派な方でした。
誠心誠意、日本の将来を誰よりも憂い、
世界からもかけ離れた日本の古い政治を正そうとする政治家です。
それは実によく伝わってきます。
しかしながらこの映画では選挙戦で常に劣勢。
自転車に《本人》の登りを付けて闘う小川の姿が痛々しい。
政治家は有権者にこんなに「お願いします」と頭を下げなければ
ならないのか?
政策を語り、自分の人となりを知って貰うこと。
こんなに選挙に全勢力を使い果たし疲弊していては、
疲れきつてしまう。
選挙制度を変えなくては!!
そう思う。何かが間違っている。
小川さんはいつも平井さんに小選挙区では負けて、辛勝。
いつも比例の復活当選。
政治家としての発言権は一向に上がらない。
所属する党も、
(民主党→民進党→希望の党
(ここには小池百合子の都知事圧勝後の乱の余波を
もろに被る→無所属→現在は立憲民主党)
民主党政権の際は総務大臣政務官の要職にもつく。
政権がまた代わりにその後の迷走をみると、やはり悲しいけれど、
「君は総理大臣にはなれない」・・・のだなぁ‼️‼️
(これは何も小川淳也さんの責任ではない
(与党が強すぎて、
(野党が弱すぎる故だ)
与党は構造疲弊してるが、野党は数では少な過ぎる。
小川さんのご両親も淳也は政治家より大学教授に向いている・・・
そう語り。
高校の同学年の妻と美しい2人の娘が全面協力する選挙戦は感動もの‼️
赤城ファイルの存在を認めさせた功績は素晴らしい。
映画は余りに《たすき掛けのドブ板選挙戦》にばかり密着している。
やはり有権者の多くは理想より実を取る。
実際に仕事をくれる。
就職の口利きをしてくれる。
町内のみんなが入れていて、とても規律を乱せない・・・などなど。
政治家は本当に辛い!!
地盤、カバン、看板のない
小川淳也さんは本当に頑張っている。
では引き続き「香川一区」を最初から観てレビュー致します。
三度目の鑑賞
選挙に候補者として出馬する人を
僕はまず、基本的に尊敬している。
あんなに大変なことを地を這うような
思いをして、人々に頭を下げ続ける
のはすごいと素直に感じるからだ。
’
父と母はずっと政治的活動(当然ひだり)を
してきた人たちだったので、
僕は絶対にそのあたりには近づかないと
決めた。
’
国鉄職員だったときも、ものの見事に
巧みに労働組合が崩れ、簡単に言葉に
できないくらいの(このころのことは
ひっそりと書いてますし、これからも書きます)、
悲劇を目の当たりにした。
僕が一切の組織に入らず、一生フリーランスで
生きようと決めたのは、このときだった。
’
だから政治からは出来るだけ遠く離れるように
しているが、意識しているからこそ、だとも
いえる(あー、こんな言い方、面倒くさい)。
’
ということで、遅くなったが、本作だ。
主人公は東大を出て総務省の官僚にまで
なったのに、世の中を変えたいと純粋な
正義感で民主党、現立憲民主党の衆議院になった
小川純也。
彼を17年間追い続けたドキュメンタリーだ。
’
数々の賞を取っている映画だからご存じの方も
多いと思うが、まず主役の小川純也のまっすぐさ、
正直さ、でも政治家としての頼りなさ、弱さ、
優しさというキャラがいい。
そして大島渚監氏の子どもである監督の
大島新のストレートな演出、視点がいい。
’
僕は3度目の鑑賞だが、何度見ても面白い。
何度見ても熱くなる。
’
個人的には小川さんは国政より、県知事とか
市長とかが向いてる気がするんだけどなー。
理想の光りで照らすことによって、自分の生き方が良く見えてきたりする・・・・
彼は周りの人たちの賞賛や要望に応えているうちに理想の政治家から降りられなくなり、心の中では、そんなのではないんだよ・・・と言い続けながら、我慢して役目を果たしてきた。しかし、誰も気づいたりしないように思えてくる。そして、その限界において破局が待っている。
人間が過ちや邪悪な行為を犯す可能性と正面から向き合うことができず尚且つ温室育ちの花のように真の論争から保護しなくてはならない愛国心しか持たぬ政治家に戦い臨むその心意気が画面からはみ出し、僕の眠りこけてしまった頭脳を揺さぶってくれたのは確かだった。
彼か自問自答する政治家に必要なもの、"野心"が足りないのじゃないかという疑問があまりにも幼いきがした。
政治家にとって考えなくてはいけない大事なテーマは人間をどういう状態に置いたら一番幸せなのかということだ。それは、つまり人間はどこまでバカかと言うのを読み切らなくてはいけない。
ズルく生きれ!と言わなきゃ行けない日本
日本で一番真面目が報われない職業は政治家だ。
ひとりの生真面目な政治家を長年追い続ける事で、日本の政治家の根本的な問題が見えて、日本は変われないと思った。
真面目にコツコツなんて求められてない。話題性になる発言が人の注目を掻っ攫う。
誰もが「小川淳也は政治家に向いてない」と言う。家族も政治家は辞めて欲しいと願っている。私も向いてないと思った。だって、いい人なんだもの。この国ではいい人は政治家として成功しない。
絶望を感じたけれど、小川さんが「信用出来る議員に〜」と発言してた記憶がある。たった数名でも、本気で日本を考えてる政治家がいるのが救いだった。
この映画を楽しむにはニュースや政治の知識がいる。週刊紙のように、おもしろく書き立ててないので、生々しい冴えない政治家のリアルだ。なので、大衆ウケはしないけど、こんな映画があってよかった。
小川さんを一番素敵だなと思ったのは、「政治は多数の意見を取り入れるが、自分は反対意見も耳を傾けたい」と言っていたところ。
政治家の性格まで把握せずに投票をしてるけど、自分と考えが違っていても小川さんは信じたい、そう思った。
衝撃だったのは、3DKの賃貸アパートに家族で住んでたこと!家族の悔しい気持ちが分かる。
東大卒で将来が約束されてたエリートは、たくさんの人に裏切られ暴言を吐かれても、日本のために歯を食いしばってた。
小川さんが総理になれる日本に、世界になれたらいいなと思った。
パーマ屋の息子の あのできのよかった同級生が…
いつもの映画館で
続編の公開を控えたアンコール上映
チャンスがあれば観たかった作品なので嬉しい
実は続編を観ただいぶ後に思い出しながら
これを記しており
あの快作と比較するとちと霞んでしまうのだが
そうだ希望の党騒動だったか
主人公の真っ直ぐさは当時から一貫している
パーマ屋の息子の あのできのよかった同級生が…
みたいな感覚がリアル
オヤジさんの飄々としたたたずまい
息子にはいいかげんなオヤジとか言われていたが
知的でユーモアがあってオラには超クールに見えた
こういう大人になりたいと思わせる人物だ
政治を知るにはまず政治家から
政治家に密着したドキュメンタリーを初めて見た気がする。
ただ国を良くしたいと実直に葛藤しながらも奮闘する小川さんの姿、支える家族の素直な思いとそれでも支える姿に感心した。
とっつきにくい政治もそれを行う政治家の人柄を知ることで、関心を持つ良い機会になるなぁと思った。
それと、今作は監督の考えを積極的に、時には本人にぶつけているのも珍しい気がして良かった。政治家向いてなくね、その選択合ってんの?とか結構ズバズバ言っていたのが新鮮だった。
【きみはドンキホーテか?】
実は、公開当時、この作品を観ていたのだけれども、何をどう書いて良いのか逡巡したあげく、忘れ去ってしまっていた。
逡巡した理由は、まあ、いろいろフラストレーションがたまる作品だなと思っていたことなだけれども、小川さんの敵(?)は、与党だけじゃなく、野党の一部もそうだしとか、それに、どこか、ドンキホーテに重なるななんて思っていた。
まあ、当時の自民党に対抗する勢力の小池百合子の無茶苦茶さはともかく、前原や細野もかなり無茶苦茶だし😁
前原なんて、日米同盟を基軸に!ってのばっかり印象が強くて、さすが高坂ゼミって感じ😁
あれじゃ、選挙どころじゃないよねって。
でもね、ここからの草の根選挙で変わったんだよね。
「香川1区」はね、なんか、ちょっと胸熱だった。
最初の政策を訴えていた時代から、時代を過ごすに連れて、与党批判をし...
最初の政策を訴えていた時代から、時代を過ごすに連れて、与党批判をし、派閥の話が多くなり、なりたくなかった政治家になっているように感じたのは、編集の問題なのか。
娘です
それをやはりしないといけないのか…それをやらせる側で見ると重たいものだ。全てを投げ出すというか、個人的には到底負いきれぬところ。
民主党政権以降の野党の迷走をよくとらえた記録だと思う。正直なところどう合流して、誰が結局離れたのか記憶できぬところ。悪い印象がない政治家であるが、キャリアを改めて通して見ると、中途半端なのばかりに加担してきたように思える。政治家としてのセンスを問われていたが、見る目はどうなのか。
政策面には論点があまりいかない。地方都市でのリベラル基盤にもフォーカスして欲しかったところ。
真の政治家
2021年6月27日
映画 #なぜ君は総理大臣になれないのか (2020年)鑑賞
立憲民主党議員で、安倍長期政権下でも地道に選挙・政治活動を続けてきた #小川淳也 議員を追ったドキュメンタリー映画
どこまでも信念をもって政治活動を続けている姿は美しいなと思いました
支え続ける家族を見ても人柄がわかる
ファイト!
戦う君の歌を戦わない奴らが笑うだろう。ファイト!
中島みゆきが聞こえてきそうだと思いました。
熱意に満ちた誠実そうな32歳の若者が政治家をめざし、17年でどうなっていくのか。
ドキュメンタリーとしてめちゃくちゃ面白かったです。
こんな誠実な人も政治家にいるんだと、びっくり嬉しくなりました。同時に、誠実さ、正しさでは選挙にも勝てないし出世もしない。世界も変えられない。
強者に作られたガチガチのシステムの中で翻弄されて声も届かず負け続ける。
そこにちょっと絶望感を感じました。が、、
3世で地元新聞社のオーナー一族で、大臣やってて、平井さん強すぎワロタって、感じ。
まぁ、政策の話とかは出ないし、小川さんが政治的にどういった仕事したのかはわからないので、
本当に小川さんが素晴らしい政治家なのかは分かりません。もっと言えば、世襲だろうがクソ野郎だろうが、国益のためになることができるならそれは素晴らしい政治家だとも思うし。
なので、「こんないい人が日の目をみない政界は腐ってる!」ってことでもないかなぁと思いました。
政治はただの多数決ではなく、51:49で勝った51が、49の意見もちゃんと考えることなんだ、との言葉がすごく心に残りました。めっちゃいい事言うなぁ。
応援演説の経済学者さんが演説上手すぎて笑える。
みんな喋るの上手。
政治って面白いなとも思えるし、エンタメとしても観れるしオススメな映画です。
余談ですが、
YouTubeで、小川さん、監督、田崎さん、記者さんのトークを観ました。
そこで小川さんは、国民に選択肢を与えたい、自民以外の選択肢になり破綻しかけてる今の政治システムを健全化させたい的なことを仰ってましたが、同時に、自分が正しい事をできれば、総理大臣になれるかなれないかは関係ないとも仰っている。いや、そこは大望のためには細かいこだわりは捨てて、ギラギラと出世を目指して欲しいけどなぁと思ったり思わなかったり。
正直者は総理大臣になれないのか
正直、政治は良くわからん。
この人は確かに「政治家には向かない」のだろう、本当に学者肌で、教授になったら人気者になるだろう。でも、日本を良くしたいという正直さ、真摯さは本当に伝わった。
ずるい人しか政治家になれないのかな。
題名の答え。
政治即ち選挙か?
選挙時の一家の苦労美談でなく、職業政治家として日々何を頑張って、如何に理想が阻まれたか?頭角を表せないか?を知りたくて見たが。
そのズレが題名の答えだろう。
野党だから比例当選だからで片付けた部分が味噌ではないか。
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