「傑作!面白かったし、気持ちよかった。簡単な予習は必須。」シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! CBさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作!面白かったし、気持ちよかった。簡単な予習は必須。
まず、ここのレビュワーさん達に感謝。「元ネタになっている演劇(戯曲) 『シラノ・ド・ベルジュラック』 を知ってから観ればよかった」 という声が多かった。おかげで、事前にWikipediaで『シラノ・ド・ベルジュラック』のあらすじだけ、頭に入れてから観ることができた。
そしたら、めっちゃ面白いじゃん、これ!! これから観る人で、戯曲 『シラノ・ド・ベルジュラック』 を知らない人がいたら、絶対に、事前調査をお勧めします。Wikipediaでみておくだけで、ほんとに、めちゃくちゃ面白くなります。(この演劇、きっとフランス・ベルギーでは、知らない人がないくらいに有名なんでしょうね。本作はそれを知っている前提で進み、解説等はいっさいありません)
1890~1914の25年、産業革命が各国に定着した頃から第一次大戦が始まるまでの25年を、華やかなベルエポックと呼ぶ(仏語で、よき時代の意味)。その時代に、若き詩人が、詩を中心にした悲劇としての名作戯曲を書き上げる話。
主人公の髭をひとめみた瞬間からエンディングまでずっと、「なんだ、その似合わない髭は?」 と気になっていた。いい映画だが唯一の汚点かと。しかし、観終わってわかった気がした。本作は、とびっきりの喜劇だった! 「歴史に残る悲劇作品ができあがる過程を、喜劇として見せる」 作品だった。その中では、"似合わない髭" は、ちゃんとひとつの喜劇要素を構成しているんだと思った。
加えて、本作は、成功した脚本家の話なんだが、その影で、本作を演じる俳優たちのセリフの素敵なこと。たとえば、
女優 「彼(脚本家)の名前は残るけれど、私たち(俳優)は忘れられてしまうわね」
男優 「役者に明日などないわ! ただ演じ、そして忘れ去られるのみ」
なんとかっこいいやりとりなのでしょう。その瞬間瞬間を生きていく、"俳優" という仕事の矜持がほとばしっている。感動!
是非、みんなにも観てほしいな。ちゃんとした喜劇。
おまけ
名優の息子だが、俳優の才能はなくパン屋が大好きな青年が、ある事をなした後は、生まれ変わったように立派になり、『シラノ・ド・ベルジュラック』 初上演の冒頭で、見事なセリフを披露するシーン、大好きです!