「ノンストップ!」シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)
ノンストップ!
最初からラストまで、ノンストップで駆け抜けていく刺激的な作品だった。
ミシャリク監督が、映画「恋におちたシェイクスピア」にインスピレーションを得て作った、2016年の舞台作品を自ら映画化したようで、どうりで展開が“こなれて”いる。
しかしそれだけではなく、舞台背景が急にモアサックの修道院の実景になったり、CGで“ベルエポック”のパリ風景を再現したり、スピード感のあるカメラワークなど、映画にしかできないことを、ふんだんに利用している。
映画の前半では、ロスタンが現実生活から、「シラノ・ド・ベルジュラック」のストーリーに係わるインスピレーションを、次々に得ていく。
この映画が素晴らしいのは、その現実生活のシーンと、映画の後半の舞台(劇中劇)のシーンとを合わせて、全体として「シラノ・ド・ベルジュラック」という戯曲を再現、そしてロスタン自身を主人公にしたニューバージョンを完成していることである。
その他、サラ・ベルナールがロスタンの“保護者”として現れたり(これは史実らしい)、なぜかチェーホフが登場してロスタンに「死」について示唆したり、「フレンチ・カンカン」が出たり、ラヴェルの「ボレロ」が鳴ったりと、もう盛り沢山の、やりたい放題であって、退屈するヒマがない作品であった。
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