ジョーンの秘密のレビュー・感想・評価
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ジョディ・ディンチ!
ジョディ・ディンチの007での年齢を感じさせない凛とした女性から、疲れた感じ漂う老女まで演じる幅の広さにまず感心。
自分の行動(=スパイ活動)で、世界の均衡が保たれた、という彼女の意見は、実際にこの数十年間核戦争が起きていないにしても、独りよがりでとても危険なもののような気もするし、でもどこかの大統領や首相が決めたらいいのかと言えばそれも最終的には人ひとりが決めた決断に皆が従ったに過ぎないのかも…などと色んなことを考えさせてくれた良い作品でした。
スパイに至る経緯の描き方
1930年代のイギリスを舞台に、スパイに勧誘された女性の物語。
スパイサスペンスと言うよりは、ラブロマンスの様相が強い作品に感じました。
ストーリーは現代と過去の2本柱。
現代では、いきなり逮捕された老女の悔恨と信念。そして息子との関係に苦慮する女性を、ジュディ・デンチが熱演しています。
でも、時間配分で言えば、メインは過去。所謂「ノンポリ」だった彼女が、友人との関係で共産主義者と係りを持ち始め、恋愛も絡めながらスパイの勧誘を受けていきます。
舞台セットもしっかりとして、時代と戦争と恋愛に翻弄されている彼女は見応えがありました。
この映画の私的評価は、厳しめ。理由は、登場人物に共感を持てなかったこと。愛情を食い物にするレオは勿論、それを分かっていながらレオから離れられない主人公に、どうしても共感を持つことが出来ません。
また、彼女がスパイを行う動機に納得感がないのも、共感出来ない理由です。言いたい事は分かりますが、とても短絡的に感じます。「彼女の行為が平和をもたらした」というロジックも理解出来なくはありませんが、賛否両論あるとても大きな問題のはずです。それを、結論付けしているような結末には不満が大きく残ります。
彼女がスパイに至る心理描写をもう少ししっかりと描いていれば、動機の面での納得感は生まれたとは思います。例えば、日本に投下された原爆に悩み苦しむ姿とか・・・均衡がもたらすメリットとデメリットを教授と激論するとか・・・そこらへんの描写が不十分だったことが、映画に対する低評価につながったように思います。
私的評価は2.5にしました。
美人
結構ハラハラしてみました。何でそんなに軽率なのよ!とイライラしちゃいました。いくら何でもそんな事でスパイの道に走っちゃーならんよ。周りの皆さんに迷惑掛けまくりじゃん。そこの所は主人公に共感出来なかったなぁ。息子もそんな母の暴露話聞くのは辛いよね。
基本二人逃げられて良かったね、だったけどやっぱり悪いことは出来ないね。でした。
祖国を裏切っても…
平和を願うために敵国に機密情報を送る。彼女の平和への思いは並々ならぬもの。映画の元ネタ、メリタ・ノーウッドは元々共産主義者であり、少し映画と異なるようだが、ソ連からの報酬は受け取っていないという。映画は恋人から利用されるようにスパイ活動に誘われたり、不倫の末、夫になる科学者が彼女の身代わりで逮捕されたり、息子に弁護を頼んだりと脚色があったが、もう少しドラマチックにした方が面白かったと思う。しかし、原爆の情報をソ連に渡したからこそ、米ソの力関係が均衡し、結果原爆を使った戦争は起きていないというのはなるほどと思ってしまった。ソフィー・クックソンは横山めぐみに似てるとも思った。
堂々たるジュディ・デンチ主演映画
主人公ジョーンがスパイ活動をした理由が独りよがりだとか、その行動が核戦争の抑止力となったのかどうか、とか、本作の主題としては中心にはない領域に言及するレビューが散見され、残念である。
本作のラストシーンを思い出されたい。
老いたジョーンの横に息子が立ち、彼女は息子の手をそっと握る。そして、アップになるジョーンの控えめだが幸せそうな笑顔。
そもそも、本作の早い段階で、ジョーンが息子に対して「自分の弁護を引き受けて欲しい」と頼むシーンが出てきている。
本作の縦糸は、母と子の関係にあるのだ。
では、このモチーフは何につながるのか?
ジョーンは原子爆弾の技術をソ連に渡したわけだが、その行為が許されるかどうかといったことは、どうでもいいことだ。
作中、ジョーン自身も言っている通り、それは歴史が判断することである。
本作のテーマは「そこ」ではなく、ジョーンの愛である。
ただ男と女が愛し合う、それだけでも大変な時代だった。
対比されるのはソ連のスパイだったレオとソニアである。子どもまでいたのに、最後、妻は夫を殺す(または自殺幇助か?)ことにまでなった。時代の悲劇である(レオの死はソニアの嫉妬が原因である、という解釈も成立し得る。そう考えると、本作の本質が、スパイよりもジョーンの愛に置かれているということがより鮮明に見えてくる)。
そのような時代を背景に、ジョーンは夫を愛し、愛され、そして危険を冒しながらも賭けに出て未来をつかみ取った。
だから、亡き夫が遺した息子が、彼女の味方であることが、売国奴と呼ばれることなんかよりもジョーンにとって決定的に大事なのである。
ゆえに本作は、あのラストシーンで幕を下ろすのだ。
もちろん、劇中では過去のシーンに多くの時間を割いている。
しかし、ただ、あの時代のスパイ行為を描く映画であるなら、早々に息子が登場する意味はない。
第二次世界大戦直後の、大国同士の核兵器開発レースというスケールの大きな話を見せながら、実は1人の女性が選んだ愛を巡る話と、愛した夫が残した息子との関係性という、もう1つのテーマを徐々に描いて、ラストに、後者のテーマが前面に現れてくるという鮮やかさには拍手を送りたい。
そして、ここでアップで映し出される年老いた母親としてのジョーンの笑顔。
そう、確かにこれは見事な、そして堂々たるジュディ・デンチの「主演映画」なのである。
いきなり逮捕のシーンから始まるスタート。過去の回想シークエンスも、窓からソニアが入ってくるシーンから始まり、緩急が効いていて飽きさせない。
何より、男性とのあいだで揺れ動く若きジョーン演じるソフィー・クックソンが収穫。ソニアの家に忍び込んだり、海外視察でも活躍する活動的で聡明な女性を魅力的に演じている。
完成度の高い佳作である。
なお、原題はRED JOAN。
ラスト近くでジョーンを囲むマスコミが「RED JOAN !」と叫ぶシーンがあるが、このREDは、もちろん「社会主義者」という意味。しかし、実はREDには「大英帝国」という意味もあるのが面白い。また、「怒れるジョーン」とも解釈可能で奥行きのあるタイトルである。
大国の均衡・・・その危うさ
構成が巧くラスト迄引き込まれました。
若い頃のジョーンを演じたソフィ・クックソンがとても魅力的で、その恋人レオ役のトム・ヒューズを始め、皆さん演技が巧く、イギリスの映画界のレベルの高さに魅せられました。
当時より何もかもが進んでいる今現在、大国の均衡の危うさについて、改めて考えさせられる作品でした。
映像も美しく、余韻の残る作品。
映画館での鑑賞
平和への想い
映画の話ではないが、私は被爆者の孫。
原爆のことは学校の平和学習などで、ほかの都道府県よりも知っているつもりだった。
核兵器が出来るまでのストーリー。
平和を止めたい。原爆を止めたい。
想いは多くの人にあるが、何か行動を取れる人は多くはいない。
止めたいと言う想いの行動が、
反逆者として扱われるかもしれないと分かっていても、
自分は反逆者ではないと言う信念。
平和への想い。
感謝をすべきことであっても、批判される行動ではない。
私は最後にジーンと泣けてきた。
被爆者がこれ以上出ませんように。
主義思想よりもこわいもの
モデルとなったメリタ・ノーウッドは共産主義者だったそうであるが、
この映画の主人公のジョーンはそのように描かれていない。
ジョーンをあえて普通の大学生とすることで、
強烈な共産主義思想を持っていなくとも
仕組まれた友情や恋愛に翻弄されて
誰でも戦争に加担する可能性があるんだと示唆しているように思えた。
周りの共産主義者の空気に飲み込まれていくジョーンを見ていたら、
高野悦子の日記を思い出した。孤独であり未熟である。
ソニアの突然の窓から侵入の出会いから仕組まれていたと思うとぞっとする。
ソニアの大人で少し危険の香りがする妖艶さに
自分が大学1年生だとしたら簡単に魅了されてしまいそうだ。
そしてジョーンを取り巻く男たちよ。
ジョーンが利用される側だったからかもしれないが、
まあとにかく見ていてイライラしてしまうような奴らばかりだ。
「会いたかったって言っておけばいいんだろ」って態度が見えてるぞ!
モントリオール大学のトイレのシーン、
ジョーンからおどろおどろしい恋愛の憎しみが溢れていたね…
最後は強かに逃亡をゲットしたジョーン。
ソニアの家の訪問後あたりだろうか、ジョーンが利用する側に転換した気がした。
ラストに現在のジョーンが見せる不敵な笑みが意味するものはなんだろうか。
こうなることを見越して、子供を弁護士に育て上げたのかと思わせるような含みのある笑いだった。
ジョーンの取った行動について何を思うか、ゆっくり考えよう。
第二次世界大戦前後の最低限の知識が必要
夫に先立たれ、仕事も引退したジョーン・スタンリーは、穏やかな一人暮らしを送っていた。ところが、ジョーンは突然訪ねてきたMI5に逮捕されてしまう。半世紀以上も前に、核開発の機密情報をロシアに流したというスパイ容疑だった。次々と明かされるジョーンの驚くべき真実。仲間や家族を裏切ってまで、彼女は何を守ろうとしたのか、というストーリー。
おばあちゃんの今と、第二次世界大戦前後の昔を行き来する展開で、話自体は面白く観れたが、主人公のジェーンの一貫性のなさには疑問が残る。
就く仕事も彼氏の紹介、その彼氏と宙ぶらりんのまま教授と不倫、散々核兵器の研究をしておいて実際に使われたらビビってソ連に核兵器の情報を流す…など。
息子に責められて信念を持ってスパイ活動をしたと言っても説得力があまり感じられない。
ただ、話の持っていき方や、俳優陣の熱演で実際に観てる最中はそこまで気にならない。
教授のキャラクターが個人的には好きでした。
信念を貫いた女性
男に惑わされて、スパイ行為をした女性の話かと思ったけど、彼女は彼女なりの信念『東西のバランスを取って戦争が引き起こされないように』それを行った。
(ジョーンに拒まれてあの結果なレオよりも、ジョーンの信念は強かったのではないかと)
だからこそ、息子も最後には弁護を引き受けたのかな。
力は人を狂わせる。既に戦争の勝敗はほぼ決まっていたのに、威力を試すため、力を誇示するために必要の無かった原爆を二発も落とす国があるのだがら、彼女が危機を持つのは最もかもしれない。
ロクサーヌ
ソフィークックソンのファンだから画面見てるだけで楽しめた。男優陣が魅力ないなぁ。お色気シーンもあるけどボディダブルな雰囲気。
ロクサーヌ、ミサイルでやられたけど実は生きてて復活してくれないかしら。
【民主主義と共産主義のパワーバランスを保つ為に・・】
-1938年 ケンブリッジ大で物理を学ぶジョーンに、様々な人々が近づいて来る・・。物語は当時と2000年、機密情報漏洩で逮捕された年老いた二人のジョーンを交互に描きながら進む。-
・ユダヤ系ロシア人、ソニア
-美しい女性だが・・。酔っ払ったふりをして、わざわざジョーンの部屋迄登って来たのかな?諜報活動のプロだなあ・・。怖い怖い、一番怖いヒトではないかな?-
・ソニアの恋人レオ
-イケメン、論説が上手い。ジョーン、イチコロ・・・。けれども、結局は"駒"に過ぎない・・。-
・ミッシェル卿
-外務省勤務だが・・・。2000年、全てを知っていた彼の死から、物語は始まる。-
■ジョーンの"若気の至り"
・レオにあっさり惚れたり(気持ちは分かる・・)、1941年核兵器開発機関の事務員として働き始まると、マックス・デイビス教授とカナダに共同研究に赴く船で"アッという間"に結ばれたり、・・
-周囲に"感化"されやすいヒトなんだね・・-
・で、"愚かしき"トルーマンが行った事をテレビで見て、自らが手を染めている事の恐ろしさに気付き・・
・一度は別れたレオに再び翻弄されるし・・
-息子ニックも怒り、呆れるよな・・-
〈ジョーンの行った事に対する考え方はイロイロあると思うが、彼女の"人としてのガードの甘さ"が、根本的な問題だろう。
2000年、記者達に対して"私のお陰で・・"というセリフには、説得力が私には全く感じられず、彼女も只の駒の一つでしかなかったのではないかな、強かな諜報機関にとっては。
ジョーンにとって、救いは弁護士の息子ニックの記者達に対しての言葉だろう・・。
この夏の終戦記念日の前に、苦い気持ちが残った作品。〉
ジュディの演技はさすが
この事件を詳細に知っているわけではないため、どこまでが実話でどこを着想しているのか全く分からないが、全体的にストーリーは淡々としており、大きな展開を繰り広げられるわけではない為見ていてウトウトしてくる。
ジュディの演技はさすが。序盤からどちらとも捉えれることのできる表情を披露し結末がとてもワクワクさせられる。ただストーリーのメイン軸は若かりし頃のジョーンのため、ジュディ以外のパートがなんか見応えがなく個人的には魅力を感じなかった。
予告の段階である程度展開は見えてしまう為、これから見る方はあまり予告を見ないで鑑賞するのがオススメか。
話は少し逸れるがこんな高齢者で何十年も前の話が事細かな証言として信憑性があるのかね。その辺は少し気になった。
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