バルーン 奇蹟の脱出飛行のレビュー・感想・評価
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恐怖と不安でとても疲れる作品
初めから終わりまでドキドキ、ハラハラしっぱなしでとても疲れました。映画の中に完全に入り込み、亡命を企てる家族の一員にでもなったかのように錯覚しちゃうほどよく作られた映画でした。
・いきなり気球で亡命(脱出)するチャンスがやってくる。そのスタートから失敗までの過程がもう恐怖。さらにその失敗での証拠を数々残してしたまったことへの不安がさらに恐怖を倍加。
・シュタージの包囲網への恐怖と同時に「市民」の視線への恐怖がいいリズムで襲ってくる。とてもヒリヒリする感覚。
・と同時に、物語は一気に加速していく。シュタージから逃れるためにも亡命は不可避。シュタージとの見えない競争に恐怖。
もう、ラストまで恐怖と不安が容赦なくやってきます。
事実をもとにコンパクトにまとめてはありますが、これ、現実の中にいたら自分の精神状態が保てるだろうか?というくらいすごい作品でした。
気球は楽しまなけりゃ。
緊張感が全く無い。
この家族たちが東ドイツから逃げなければならない理由が分からない。唯一考えられる事は兵役の事だけだ。勿論、それは西ドイツにもある。
事実の話だろうが、数km浮かんで落ちただけの話。映画にする事自体無理がある。
シュタージの怖さばかり強調されるが、どこの国でも国益のために、こう言った組織はある。なお、元シュタージの人達は現在でもご存命な方が多く色々な分野で活躍している。そう言えば、歌手になったシュタージの人の映画を見た。題名は忘れた。渋谷で二年くらい前に見た。感想は実話だからね〜。って感じかなぁ。
乗っている車はトラバントじゃなかったね。
ハリウッドの『事なかれ映画』の様だと思ったら、そのリメイクの様だ。
それから10年後に世界は動いた
東独から西独へ気球を使って脱出を試みる二つの家族の物語。
事実を基にしたお話のようですね。
設定を読んだ時に「絶対に面白い」と想像ができ、実際に「想像通りの面白さ」だった作品です。
序盤での失敗。しかし、社会主義独裁国家への失望、シュタージの追求の恐れも加わり、改めて脱出を試みます。シュタージの追求だけではなく、兵役の期日から時間的な制約も加わり緊迫感を煽ります。
普通の市井の人々の描き方が秀逸ですね。何気ない視線を監視しているかのごとく描き、当時の東独の特殊性を良く現しています。
また、残して行く家族との感傷も上手に散りばめられていて、物語に深みをもたらします。
クライマックスは上手に緊迫感を煽りますが、それでも「バルーン」。スピードも操舵性もなく、映画のラストとしては少し面白みに欠けているように感じたのは残念なところ。
私的評価は4.5にしました。
空飛ぶ鳥に国境がないように
何年か前、トルコで大枚払ってきゃっきゃしながら乗った気球
こんな命懸けの逃避行に使った家族がいたなんて知りませんでした
彼らも10年後に壁がなくなるなんて知ってたら、こんな危険は冒さなかったでしょうに
ただ、子供や青年にとって監視社会で成長するには10年は長すぎるしとり返しがつかないから親として正しかったと思います
1986年頃、西ドイツに住む友人を訪ね、いわゆる緩衝地帯に連れてってもらった経験があるだけにこの実話に基づく作品には感動しました
つい40年前の…
実話で、バルーンで国境越えを果たすという大胆な発想に驚き。つい先日の五輪でも亡命はあったが、こちらは家族一緒に命懸け。まず手作りでバルーンて作れるんだと。一度失敗しているのに再度短期間で挑戦する、それだけ当時の東ドイツの生活が過酷だったのだろう。北朝鮮もそうだろうが、どこに行くのも、何を話さすのも監視社会で誰もが怪しく見える。所々、子供が幼稚園で父親が何かをミシンで縫ってることを話してしまったり、長男が恋する向かいの家の女子に一緒に西側へ逃げようと言ってしまったり、ハラハラした。一度失敗したバルーンの残骸ほかを手掛かりに、彼らに迫るシュタージも恐ろしい。ラスト、ヘリコプターには勝てないだろうと思ったが、何とか国境越えられて良かった。だから邦題の奇跡の脱出なんだと。既にネタバレしていたが、意識していなくて良かった。
自由を求める人間の力強さ
この脱出劇、実際に行われたって!?
信じられない、いや、信じられない・・・
って思うほど、壮大なスケールの脱出劇。
映画を観ているだけでも、これだけハラハラドキドキ。
それをこの主人公たちは、まさに命がけで行ったって。
見つかれば命がない、気球での飛行に失敗しても命が危うい。
それを小さな子どもも一緒に家族で飛行するなんて。
家族の信頼がなければ出来ません。
自由を求める人間の力強さに感服しました。
命懸け
やはり実話ということが最初から分かってるから結末が見えているけど、この作品はそのおかげでハラハラドキドキのシーンがそこまでイライラせずに見れて良かったと思う。
自分たちだけでなく、子供を連れての越境は本当に苦しい決断だったと思う。
でもそこまでしても決行する動機の描写がもっとあれば、もっと彼らに感情移入できたし西に着いたシーンも感動できたように思う。
いつの時代の話?と思いながら。
一言「スリリングでドキドキ&ハラハラ!」
予備知識全くなく見ました。
話は簡単。「社会主義の東ドイツから、自由の国・西ドイツへ脱出したい」。
そんな親子2組が、どうやって成功させるか否か(邦題ネタバレしてるけど)。
①バルーンを作って出発したけど、準備不足で落下。
②アメリカ大使館に助けを求めようとしたけど(亡命)、うまくいかない。
では登場人物たちの次の手は。
③もう一度、バルーンの精度を上げて出発する。
もう一回やるんかい!。
①で捨てていったバルーンや遺留物があり。
③の巨大バルーンを作るにも、生地が膨大に必要。
やばいよやばいよ!。
周囲の人が秘密警察に思えたり、反逆者の尻尾を捕まえようと軍が躍起になったり。
音楽も重たい低音で、「実現しっこないよ」感満載。心臓に悪い。
クライマックスシーンは、なんか泣けました。
自由が当たり前じゃなかった時代も、あったんだねって。
でもずっと考えてました。これはいつ頃の話なんだ?。
ラストは10年後。ベルリンの壁崩壊のニュースに涙する夫婦。
つまりたった40年前くらいの話。
エンドロールの証拠写真や、明るい音楽が印象的でした。
ベルリンの壁崩壊を知っている世代に。おすすめです。
ヒヤヒヤしましたよ〜
実話を元に…ということでしたが、こういう事実があったことを知らないので、普通に楽しめました。一度目の失敗、二度目の成功、それぞれ、そこに至るまでの過程、ヒヤヒヤしながら観てました。全体的に、会話の少ない映画だったような印象ですが、出演者に何が起きてるか、どんな心情なのか、推し量ることが出来たので、そんなに理解できないことはなかったです。ただ、暗い…。気球のシーンは、夜なので、仕方ないですが、昼のシーンも暗い。その暗さは、閉塞感の現れなのかもしれませんが…。二度目が、成功したから良かったものの、ちょっとだけ、どんよりしました。それにしても、手作りの大きな気球は、素晴らしかったです。
【同一民族間に”出来てしまった壁”を、知恵を絞り、乗り越えた2家族の闘いの日々を尋常でない緊迫感で描き出した作品。ラストのカタルシスと共に、現代社会への強いメッセージ性も感じられる作品。】
ー第二次世界大戦終戦後、ドイツは東西に分断され、ベルリンの壁が築かれた事は周知の事。冒頭のテロップでも流れるが、その壁を乗り越えようとしてシュタージ(国家保安省:秘密警察の機能も持っていた。)に殺された人は100名を優に超える・・。-
■前半パートの尋常でない緊迫感
1.熱気球での最初の突破シーン。
二家族(電気技師ペーター一家と熱気球を設計したギュンター一家)の脱出が重量的に無理と分かり、ペーターの家族4人が乗り込む。
国境まであと僅かまで北風に乗って気球は進むが、燃料装置が水滴の氷結により上手く作動しなくなり(高度1700Mである。)不時着。ペーター達は命からがら逃げ帰る。ペーターの妻は落下地点に薬を落としてしまい・・。
ー2年掛けて準備したのだから、めげるよなあ・・。そして、大きな心配事が・・。-
2.東ドイツの相互監視体制及びシュタージの緊迫感。
一般市民による密告・・。劇中、ペーター達が”幻想で見る”数々のシーンの恐ろしさ。物資も潤っていない状況・・。
ー同じドイツ人なのに、西ドイツとの違いたるや・・。ペーターの隣人はシュタージ勤務だが、彼に”チャーリーズ・エンジェルが見たくて”TV修理を依頼する程である。ー
ギュンターの父の言葉が印象的である。”私はこの生活に満足しているが、未来あるお前は安易に妥協するな・・”
3.二回目の挑戦への過程。ー今作の一番の見どころであろう。ー
挑戦の意欲を無くしかけていた親たちを再び励ます子供たちの言葉。
街の人々に怪しまれないように、気球の布を少しづつ購入したり、燃料の置き方を工夫したり、ペーターの息子と臨家の娘との淡き恋も効果的に描かれる。
街の人々の描かれ方も、彼らの逃亡を薄々感じながら、シュタージに言わないギュンターの幼き息子が通う保育園の女性保育士や、シュタージに協力する人達など様々である。
ペーターの妻が落とした薬や、布地の購入店の情報により彼らを追い詰めるシュタージ達。だが、彼らも失敗をするとどうなるかという場面も効果的に挿入される。
ーまさに当時の東ドイツが、相互監視社会、ミスを許さない不寛容な社会であることが生々しく描かれる。-
そして、彼らは二度目の脱出に臨む・・。ギュンターは二度と会えないかもしれない父の姿を最後に目に焼き付けて、バイクを飛ばす・・。
ーシュタージの包囲網をかいくぐる、緊迫感が凄い・・。ー
<二家族の強く、深い絆により彼らに漸くもたらされた”自由”。
あの、開放感溢れるラストシーンはやはり、心に響く。
又、その後の東西ドイツの行き来の改善がTVで流れる場面を、感慨深げに見入る彼らの姿も印象的である。>
<2020年9月13日 刈谷日劇にて鑑賞>
クライマックスはもう少し何とかならなかったのか
序盤から中々のハイペースで緊迫した展開を見せてくれる。それ一辺倒にはならずに家族関係の描写がアクセントになっているし、音楽もうまく盛り上げていていい。
ただし終盤のギリギリのところはもう少し工夫の余地があったと思う。途中の追うもの追われるもののの見せ方が上手かっただけに余計に。
1979年の自分は?と考えると・・・・・・
1979年の実話を丁寧に再現した映画で、エンドロールで押収された気球や作製に使われたミシンの写真やふた家族の写真が見られます。ミシン古かった。よくあんなので、気球を縫えたなと感心してしまいます。あんなミシンでは男の力ではないと、気球の丈夫な布は縫えませんね。
東ドイツから西に命懸けで家族で脱出しようとする切羽詰まった気持ちになれない自分がいます。いまいち実感出来ない歯痒さも感じます。映画のせいではなく、多分にわたし自身の問題です。勇気と信念、綿密な準備と実行力でしょうか。おそらく1975年には父親二人は決心を固めていたと思われるので、そのころのアホな自分や日本をつい顧みてしまいます。
登場人物で最も自己投影しやすいのはロン毛の長男です。お父さんは電気技術者なのでラジオやステレオからは西側の流行がわかり、とくに音楽が刺激的でたまらんかったでしょうね。あの当時の音楽は思春期の兄ちゃんには魅力的過ぎますもん。髪型もそれを物語ってました。お父さんについて行く動機としては充分だったに違いありません。お向かいのお嬢さんにちょっかい出したり、出されたりもハラハラさせられました。ドジな中学生役良かったですね。とても面白かった。大佐役の役者さんがリアルだったから余計にスリル感ましましでした。
お向かいのお嬢さん、絶対親にすぐ言いますよね。
中学生の駆け落ち気分?
その辺はフィクションでしょうが、なかなか面白い味付けでした。
あのお嬢さんも載せてたら、また失敗でしたよね。多分。
ハラハラドキドキ
映画が始まってから最後までハラハラしっぱなしでした。事実を元にしているので結果は思っていた通りだとはいえ、そこまでに至る脚本、カメラワーク等かなりレベルが高いと思いました。最近、ヨーロッパ近現代史に興味がある自分にどストライクな作品です。
諦めたら試合終了。
ハラハラドキドキの展開。
まず、1回目の飛行。だよね、墜落しちゃうよね(泣)
九死に一生を得る。墜落してもなお、大けが無し。
きっと、悪運が強いのだろう。
そして、母。薬を森の中へ忘れる。
マジかー(ó﹏ò。)
幼稚園の先生、敵かと思われたが、違った。
通りすがりの人でさえ、みんな怪しく思えてしまう。
気球を飛ばすのに、2年も費やしたのにも関わらず、2回目は6週間で作り上げた。
人は、ここぞという時には、己でも驚く程のパワーが出るもの。
2回目の飛行も、前途多難かと思われた。
また、墜落しちゃうんだけど。
諦めなければ、必ず奇蹟はおきる。
良い作品で出会えて幸せです。
文句なしに面白い
文句なしに面白い映画である。ストーリーも映像も音楽も言うことなしだ。暗い夜空に明るく浮かぶバルーンは美しくも危険であり、チェロやコントラバスの低音と打楽器の不気味な相乗効果で否が応でも緊迫感が募る。最初から最後までハラハラし通しだった。
強権が国民を抑圧する東ドイツ。ゲシュタポがシュタージに代わっただけで、監視社会はそのままだ。ジョージ・オーウェルの「1984年」の世界である。おまけに全体主義的なパラダイムが支配的で、人々の中には国のためという大義名分で怪しい人間を通報する者も少なからずいる。密告を誇らしい行為だと思いこんでいるフシもある。
反体制的な言葉は身の危険を招くから、本音は心の奥深くにしまっておくしかない。信頼できるのは家族と、ごく少数の知り合いだけだ。息が詰まるような暮らしの中で、ごく当たり前のまっとうな精神性を持った家族たちが主人公だから、自然に感情移入する。
序盤で家族の置かれた息苦しい環境を紹介し、賭けに出た夫婦の失敗からさらに追い詰められていく場面を見せられ、不安に胸を締め付けられながらの鑑賞となる。一方で監視する側、取り締まる側にも焦点を当て、同じように窮屈な思いをしながら取り締まりをしていることも解る。当時の東ドイツは庶民も役人も抑圧されていたのだ。少数の非人間的な指導者のおかげで、誰もが声を上げられないでいた。
互いに不幸な人々が取り締まる側と取り締まられる側に分かれて、緊迫のチェイスを繰り広げる。家族は逃げ切れるのか。そんな中で家族のドラマあり、小さな恋の物語ありという盛り沢山の内容が無理なく詰め込まれていて、とても濃厚な作品になっている。事実に基づく物語であるところも含めて、リアリティはこの上ない。
映像と音響が非常に優れているので、映画館で観ないと損をする作品である。まだ観ていない人は、上映期間が終わらないうちに観たほうがいい。この大変な傑作映画の上映館が少ないのは、映画ファンにとって不運だと思う。
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