メイキング・オブ・モータウンのレビュー・感想・評価
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思わずほろりです
38歳のわたしにも耳馴染みのあるモータウンのヒット曲。レーベル立ち上げから初期を振り返るドキュメンタリーですが、楽曲の制作エピソードに関わる時代背景も出てきます。
それは人種差別の過激さ。
今なお、アメリカに限らずどこの国や地域でも起こりうる、いや起こっているヘイトや分断。
そして、そうした社会に対しての作り手としての価値観にぐっときました。
深く太い映画でした。
軽口を叩きつつ、めちゃくちゃ仕事できるこのリーダー、素晴らしいと感じました。
また聴いたことがある楽曲でメロディが好きなものこそ、その歌詞を知ることで、より味わいが深まりますね。
ベリーゴーディJr.がしゃべり倒す!モータウンの社歌に感動
「メイキング・オブ・モータウン」(原題:Hitsville:The Making of Motown)。
音楽ファンなら、2020年必見のタイトル。
“モータウン”を解説した書籍・雑誌記事は数え切れず、あるいはラジオ番組では定番といってもいいほどのテーマジャンルでもあるが、この映画はそれらを凌駕する、かつてない“モータウン決定版”である。
モータウンの映画といえば、「永遠のモータウン」(2002年/原題:Standing in the Shadows of Motown)の“ファンク・ブラザース”のドキュメンタリーを思い出す。“ファンク・ブラザース”は、いわゆるスタジオミュージシャンとして活躍し、“ビートルズ、エルヴィス、ローリング・ストーンズ、ビーチ・ボーイズを合わせたよりも第1位獲得曲が多い”と、モータウンの黄金期を支えた彼らを描いた。
対して本作は、モータウンの創設者であり、楽曲制作もしていたベリーゴーディJr.元社長(90歳)ご本人と、ミラクルズのリードシンガーでやはり作詞作曲家のスモーキー・ロビンソン元副社長(80歳)の2人が出てきて、モータウンの事実をものすごい勢いでしゃべり倒すのだ! その暴露話は驚きの連続だ。とてもこの年齢の高齢者には見えない。
スティービー・ワンダー、マービン・ゲイ、ジャクソン5、スプリームスなどを輩出し、全米No.1ヒットを量産しつづけた黄金時代に何が起きていたか。この映画を観ればすべてが分かる。
日本の音楽ファンにとって、ベリーゴーディJr.のイメージはあまり宜しくない。入ってくる情報が少ないというのもある。
ミュージカル「ドリームガールズ」(2006)は、モータウンの“スプリームス”がモデルになっていた。ビヨンセが演じたディーナ・ジョーンズはダイアナ・ロス、またジェイミー・フォックス演じるマネージャーは、まさに嫌なワンマン社長で、それがベリーゴーディJr.のイメージにつながってしまう。
スティービー・ワンダーやダイアナ・ロス、あるいはジャクソンズ等のモータウンのスターとの確執といったマイナスな噂ばかりが耳に入ってくる。
しかし本作「メイキング・オブ・モータウン」では、すべてご本人が語り、当時映像や最近のインタビューで構成されている。そしてやはりモータウンは、ベリーゴーディJr.というクリエイター兼経営者がなくして生まれなかったことがわかる。
2019年にモータウンが創設60周年を迎えたということで企画されたものだが、会社はすでにかつてとは違う系列となっている。ベリー・ゴーディJr.も音楽界から引退宣言している。
エンドロールで、ベリーとスモーキーが歌う、モータウンの歌(会社の歌)が笑える。当時ほんとうにあった社歌である。感動ものだ。
ちなみに本作の字幕翻訳は映画本編では中沢志乃とクレジットされているが、ポスターやパンフレットには石田泰子となっている。どちらかが間違い。
(2020/9/19/角川シネマ有楽町/ビスタ/字幕:石田泰子じゃなくて中沢志乃/翻訳監修:林剛)
とても良い映画
創設者のベリー・ゴーディと副社長?のスモーキー・ロビンソンが、モータウン・レーベルの昔懐かしい蔵出し話を、和気あいあいと楽しげに語ってくれます(もちろん、メインとなる話は、レーベルがどの様に運営され発展していったかなんですが…)。
この作品は、正にそういう2人の和やかなトークが聞けるだけで、もうお宝のような作品なのです。
*知っている話は多かったけど、『悲しいうわさ』は、実はマーヴィン・ゲイの方が、グラディス・ナイト&ザ・ピップスよりも先にレコーディングしていた、という話は初めて知りました(結局そのバージョンは、リリースされなかった?)。ちなみに、マーヴィン・ゲイよりも先にレコーディングしていたのは、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズだったらしい(from wiki)。
モータウン・サウンドって、中学生の頃、mourn town sound だと思っていた
1959年創業のレーベル。社長ベリー・ゴーディ元気すぎ。80ははるかに越えているはず。顔テカテカ。頭ピカピカ。音楽と金と女がエネルギー。結婚三回、離婚も三回。子供はざっと両手。看板女性歌手のダイアナ・ロスにも子供生ませて、やるな。じいさん。
子供のころは新聞売り。
黒人の子供はひとりならキュートだが、ふたりだとキョーイ(笑)
なるほど名言。
プロボクサーやめて、歌手🎤に。
レコード店経営(失敗)を経て、姉さんと作曲家に。
スモーキーと出会って、彼らに背中を押され、姉さんにお金出させて、レコードレーベルを作ることに。スモーキーは特別な恩人だね。その二人が楽しそうに当時を振り返るかたちで進んでゆく。
スモーキーとミラクルズでヒット連発。
その背景には黒人がどんなにいい曲を作っても報酬はすずめの涙。それじゃ、自分たちのレコード会社作るしかない。
ブルースは14小節の単調なコードの繰り返し。歌詞もアレと失恋ばかり。当時のデトロイトの組み立て工たちはそれでもブルースを聞いていた。だが、そんなんで満足するベリー・ゴーディではなかった。黒人にも白人にも受ける曲でないと儲からん。歌詞は当然、恋愛もの中心。
やっぱり、強いリーダーが賢くないと組織はだめ。会社の理念と方針についての理路整然とした映像と説明はとても分かり易かったが、ベリー・ゴーディは実際に自動車工場で働いてはいない。
時々、ジェイミー・フォックスが出てきて、当時の黒人差別などについて後押しする(あまり刺さらなかったけど)。
ニール・ヤングも時々出てきて解説。畑違いだし、レーベルも違うけど、唯一の白人の出演者だった。インディアン(先住民)の味方なのは知っていたが、黒人ミュージシャンからも信頼される音楽界のドンなのだろう。反骨のロッカーだし。まあ、プロレスでいえばベリーに味方してくれるレフェリー役かもね。
あと白人はベリーが雇ったイタリア系の営業部長だけ。マフィアと思わせて、半ば脅しでレコード置かせる話しのくだりが実に愉快。ご本人、ご存命で白髪の老人だった。
その他、スタッフではスプリームスのお作法しつけ役の教育係が印象に残っている。スタッフメインにミュージシャンたちのインタビューや当時の写真、フィルムもたくさん見れて、聴けて大満足。
なかでも、スティービー・ワンダー、マイケル・ジャクソンの少年時代、ジャクソン5でしょう。
マーヴィン・ゲイ、タミー・テレルは早くに亡くなって残念。マーヴィン・ゲイの路線変更のくだりやダイアナ・ロスの社長に対する反抗のくだりも良かった。
メアリー・ウェルズの My Guy に対抗してテンプテーションズの My Girl ができたくだりは二人ともえらく楽しそうでした。うんと儲かったもんね。
デトロイト発のアメリカン・ドリームを堪能。
モータウン・サウンドって、中学生の頃、mourn town sound だと思っていた。年中喪中の町の音楽。ゴスペルがルーツの悲しい黒人の音楽。ちょっと勉強し過ぎだったかな。
モータウンって Motor town (デトロイト)だったんだね。
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