グッバイ、リチャード!のレビュー・感想・評価
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不条理だが完璧
いつ頃の話なのだろうか。携帯電話やスマホが登場しないから20世紀であることは間違いなさそうだ。主人公リチャードの愛車は多分80年代のベンツだから、その頃だと思う。
ジョニー・デップはときどき目を瞠る演技をすることがある。「ツーリスト」や「トランセンデンス」の演技がそれだ。本作品の演技はそれらの作品にも増していい演技だったと思う。デップの魅力は不安定さにある。揺れ動く感情や愛憎、それに世界観。人間とはかくも危なっかしいものなのだなと、彼の演技を見て改めて思う。
本作品は英文学の大学教授リチャードが肺癌で余命半年を宣言されるシーンから始まる。以降は大学教授とは思えないほどFuck!!を連発。作品の中で少なくとも100回は言ったのではないか。そして実際にFuckもしてしまう。それもゼミの最中でしかも店のトイレでしかもその日会ったばかりの店員が相手ときているから、もうぶっ飛んでいる。このあたりのジョニー・デップはとても楽しそうだ。
品行方正の見た目をかなぐり捨て、これまで抑制していたことからすべてのブレーキを取り去って、何にでもチャレンジする。タバコもマリファナも浮気も、時には男色まで。そんなやりたい放題の生活の中で、迫る死を少しずつ受け入れていく。癌に蝕まれて徐々に身体の調子が悪くなっていくが、それも含めて世界は不条理で、しかし完璧だと喝破する。あたかもニーチェがこの世のすべてを肯定したようだ。
英文学の学生たちには、文学は社会にとって大変に重要だと話し、世の中の98パーセントはクソみたいな連中で、文学をやる人間は孤独の道を歩むことになるが、それでも負けないで頑張って欲しいと鼓舞する。自分が鼓舞されたかったように学生を鼓舞するのだ。ジョニー・デップ渾身の演技である。
ラストシーンはT字路だ。右に行くのか左に行くのか。しばし考える。果たしてリチャードの決断はどうだったのだろうか。次のシーンに驚かされる。ここでも世の中のルールを蹴飛ばすあたり、最後の最後まで破天荒を貫いたリチャードの矜持が垣間見える。見事な人生だ。
邦題の「グッバイ、リチャード!」は軽すぎる感があり、原題の「The Professor」は固すぎる。作品の最後に出てきた文字「Richard says Goodby」がいい。邦題にすると「リチャードはさよならを言う」とか「リチャードの別れの言葉」といったことになるのだろうが、当方なら、手塚富雄翻訳のニーチェ「ツァラトゥストラかく語りき」に因んで「リチャードかく語りき」にしたい。またはレイモンド・チャンドラーの「The long goodbye」に因んで「リチャードの長いお別れ」でもいい。本当にずっとリチャードが語りつづけ、それが心地よく聞ける映画だった。
ハズシの美学
ありきたりだが
ジブリン(芸名)がエンドロールに名を連ねてた
タイトルなし
死とともに人生を歩む
この世で唯一絶対的な真実は「ヒトは必ず死ぬ」ということ。ヒトによっては早いか、遅いかの違いだけ。
余命宣告を受けたリチャード教授の残り半年の人生の生き方、終い方には賛同できない人も多いと思う。自分自身が納得できるような終い方ができるかどうか。迫りくる「死」ときちんと向き合えるか。個人個人が解くべき問題で、絶対解などない。
彼の場合は、死を目前に家族や仕事の「束縛」から解放され、本当の「生きる自由」を手にする。
もし周りに早くから告白していたら、早々に入院させられ自由を「剥奪」されてしまったかもしれない。
それは彼が望むことではないし、他方、人によっては一日でも長く生きていたい人もいると思うので本作における彼の選択は「正解」というわけでは決してない。
必ずむかえる自分の「死」。日々の忙しさにかまけているためなのか、きちんと死と向き合おうとしない、いやあきらかに避けている。
この映画はそんな自分とあらためて会話するきっかけになるはず。
ややもすればウサンくさい、三流芝居の世界になりがちな話を、リアリティのあるシンプルな世界観をさらっと表現するJohnny Deppの力量にあらためて脱帽。
彼の最後の「不敵」な笑みには何が隠されていたのか。
泣いてしまった俺の気持ちを返してほしい
ジョニデかっけー
人生とは
教訓
タイトルなし
余命180日と宣告されたとき
残された人生にどう立ち向かうか
どう生きるか
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"Be yourself. Be true to yourself"
存在しているだけでなく
今を生きろ
責任を負って行動し
自分に正直に生きろ
チャンスは一度きり逃すな
大切なのは善く生きること
人生をその手につかめ
そして人生を楽しめ
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コミカルに描かれているが
リチャードの表情からは
痛みその切なさが…
人生の終わり
困難に直面したとき
何が大切かを教えてくれる
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さよならを言うのは
いつでも醜くとても辛いことだ
そんな中
尊厳を保ちつつユーモアを忘れない
究極のさようならを描いてる
─JD
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endcredit
Dedicater to Betty Sue Depp
😢
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死を前に何ができるか…
そう考えるなら まず
生きている今を大切に過ごしたい
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字幕なしBlu-ray鑑賞後
7月31日オンライン試写会にて鑑賞
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