劇場公開日 2020年6月5日

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「駅前留学高校」ルース・エドガー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5駅前留学高校

2020年6月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 昨日『ハリエット』を観たばかりだというのに、高校の教師の名前がハリエットだったことに驚いた。すでにこの名前自体が人種差別問題に一石を投じている気がしてならない。敢えてハリエット・ウィルソン(オクタビア・スペンサー)の目線で考えてみると、黒人の生徒にしろ、アジア系の女生徒にしろ、型にはめながらも彼らを無事に社会の中へと送り出したかっただけなのだと思う。

 ところが、真面目に15年間続けてきた歴史教師なのですが、「箱の中の人間で光が当たるのはごく僅か」という考えを持っているため、優等生ルースを際立たせ、引き立て役には処罰を下してランク付けするという間違いを犯してしまった。その間違いが元で、ルースによって天才的な復讐をされる物語(だと思う(個人の感想であり、正解ではないかもしれない)。

 ハリエットの妹が精神的難病を抱えていることや、突如学校に現れて暴れだす事件もあり、そこでの警察官の対応もドキっとさせられましたが、これもルースの企みの一つだったのでしょうか。彼が遅刻してきたことも引っ掛かります。とにかく、ルースがメールしていた相手の名前“D-runner”が誰なのかわからないのもサスペンスの魅力です(想像ではデショーン)。

 レイシストも出てこないし、人種差別問題というよりも、偏見、固定観念、「愛と信頼」を訴えたいのだと感じました。黒人だから目立たないように、ランク付けし、この子はこういう性格だからと決めつける。内申書に書けばいいだけなのに、他の生徒の前でそれを言う教師。ステレオタイプを嫌う光のルースによって、人を出自や噂や事件だけで判断する教師に対して静かな復讐が行われたのだった。

kossy
高之さんのコメント
2021年4月19日

ステファニーとデショーンは間違いなく例の事件の被害者と加害者でしょうが、ルースには双方とも友人であり、その双方を必要以上に過酷な状況に追い込んだのは(この教師が下手な横槍を入れなければ、ステファニーとデショーンが穏便に仲直り?する結末も十分にあったのに)この教師なのだから、ルースが復讐の対象にしたのはむしろ当然かなと。

高之
グレシャムの法則さんのコメント
2020年6月9日

ハリエットのような強烈な指導者は良し悪しでは語れないですよね。
例えば高校野球で名伯楽と言われるような監督がプロで活躍する名選手を育てた一方で、世の中の誰にもしられないまま、結果的にチャンスを摘まれた選手だっていたはずです。デショーンとさして違わないような理由で。
頑固過ぎる権威側の正義と武器は知恵だけという若者との闘い。私は痺れました。

グレシャムの法則