「箱の中のルースとハリエットの闘い、箱の外からの善意の脆弱さ」ルース・エドガー 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)
箱の中のルースとハリエットの闘い、箱の外からの善意の脆弱さ
努力、敬意、善意、良心、信頼、誇り、名誉…
光をあてれば、素直に輝くはずの、誰にとっても支えとなるものであり、それらに恵まれていることについて胸を張って語ることの許される正の概念の数々です。
そして、ルースはそのすべての象徴……のはずでした。
それにしても。
劇中でルースが行なうスピーチ。
チャンスと努力に対してのフェアネスに溢れたアメリカを讃える言葉がこれほど空々しく聞こえてくる体験は初めてでした。もちろん、このところ毎日のように報道されているアメリカでの差別への怒りのデモの影響も大きいと思います。
・エリートの黒人と〝いわゆる黒人〟というめちゃくちゃ大雑把なのに断固とした決めつけによる括り方。
・いくら光をあてても、箱の中まで届くのはわずかでしかないという諦め。
差別される側からの視点だけでも辛いのに、箱の外から光をあてようとしているナオミ・ワッツの側の人間にとっても、自分のこれほどの善意や愛情は伝わっているはずとの思い込みがいかに脆弱だったかが突き付けられるのは(スクリーンを観ている我々にとっても)意外ときついな、と感じました。
『あなたは人間の本性を見抜けるか』とポスターには書かれていますが、ルースとハリエット、どちらも箱の中の人間として置かれた運命の中で、どうやって生き延びていくか?
その闘い方の必死さ、考え方の違いがあるだけで、人格的な欺瞞やサイコパス的な要素があるわけではないと思います。
レッテル貼りみたいに「お前は不良だ」などと短絡的ではないところがちょいと解せませんでした。東洋人の彼女は単に「被害者だ」としか決めつけてないし、彼女の後々の人生まで影響するものなのか・・・と。
ドラマを簡単に言うと、頭のいい高校生によるちょっとした復讐みたいな感じなので、社会の風刺とまではいかなかった気がします。
母親ナオミ・ワッツに対しては絶対の自信を持ってたんでしょうね~それが白人をコントロールしたぜ!みたいな優越感もあったのかもしれませんが。
琥珀様
こんにちは
お元気でしたか?
相も変わらずの素晴らしい完璧なレビューに唸りました🍀
・・琥珀さんのレビューを読んだら
もう一回観たくなりました
これから観に行きます✨