「【インド、バングラデシュの市井の人々の心を支える”100年前の詩の葉”】」タゴール・ソングス NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【インド、バングラデシュの市井の人々の心を支える”100年前の詩の葉”】
ーラビンドラナート・タゴール:非ヨーロッパ語圏での初のノーベル文学賞受賞者であり、インドを代表する詩人。-
■驚き、印象的だった事。
1.ほぼ、100年前のタゴールの詩と旋律(優しい風合である)の2000曲以上にもなる、曲をこのドキュメンタリー映画に登場する市井の人々が愛し、皆が口にする風景。
ー100年前の牧歌的な曲の数々が、民衆に口伝されていることに驚く。又、”タゴール・ソングス”の柔らかな曲調にも魅了される。-
2.インド、バングラデシュの国歌がタゴールの詩に起因している事。
1)インドの国歌”ジャナ・ガナ・マナ”(インドの朝)は作詞、作曲がラビンドラナート・タゴール。
2)バングラデシュの国歌(我が黄金のベンガルよ)の詩はラビンドラナート・タゴール。曲はベンガル地方の修行者パウル。
ー全く、知らなかった・・。-
3.このドキュメンタリー作品には、多数の”タゴール・ソングス”に魅入られた人々が登場する。
私にとっては、
1)幼いころに両親を失い、ストリート・チルドレンになっていたナイームがバングラディシュの村の美しさを歌った”赤土の道”について語る数シーン。
2)大学一年の女学生オノンナが父と、インドの女性の地位・立場について話をする場面と、オノンナが且つて日本に来たタゴールの足跡を追う中で、日本で一人働く青年と出会い、”ひとりで進め”を歌って欲しいと請われ、歌うシーン。
日本では、話す人がいない・・と語っていた青年が涙していたように見えた・・。
の二人の若者の2シーンが印象的であった。
■残念だった事
・ラビンドラナート・タゴールの生き様を、ナレーションもしくはテロップで流れるだけで表現したのは、致し方ない
が、登場人物が多すぎて、多少焦点がボヤケタ感があったことと、オノンナの唐突に見える日本来日シーンであろうか?
父との話合いが合意に至ったわけではないのに、突然日本に来ている姿には、違和感があった。
又、偶然出会った青年との会話や、タリタとの出会いと別れももう少し掘り下げられなかったかなあ・・と思った。
<このドキュメンタリー作品の監督は、未だ若き佐々木美佳さんという方だそうである。次作が実に楽しみである。
パンフレットは勉強のために購入しました・・。>
<2020年8月16日 刈谷日劇にて鑑賞>