「自我の思想よりも洗脳ありき」SKIN スキン 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
自我の思想よりも洗脳ありき
反ヘイトの活動家でもあるジェンキンスとの対峙や葛藤をする主人公の姿、二人を主軸に置いた物語は疎かに、実話を描いた説得力を盾にした甘えは拭えない。
そりゃ、彼の生い立ちや境遇から出来上がった姿は想像できるが、拾って育ててくれた恩のデカさが洗脳に近いモノに、まるで操り人形の如く。
唐突に女を愛し、何の躊躇もないような人生の方向転換、初めて自分の意志で決めたかにも見えるが、肝っ玉母ちゃんの思いのまま!?
一番の被害者は可愛い娘三人で振り回される展開が続くが、そんな肝っ玉母ちゃんの行動に慣れっこな一面も垣間見れるような、きっと三人とも父親が違うんだろうなぁ?
マルコムXとネーション・オブ・イスラムの緊迫した関係性や「アメリカン・ヒストリーX」でのラストまで考えさせられる問題、それらを思うと本作の描きたい方向性にブレを感じてしまう。
刺青を入れるのは痛いし時間も掛かるが完成した時の喜び、その反面に後悔する時期が来てしまうかもしれない恐れ、全部含めて除去する作業に耐える痛々しい苦しみ、あんなキレイに痕も残らずな医学の進歩??
白人至上主義、人種差別など人格の恐ろしさや集団心理の酷さより、単に洗脳ありきな、善し悪し以前に自分の信念は何処に、、、脳を洗う場所が肝心!?
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