宇宙でいちばんあかるい屋根のレビュー・感想・評価
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清原果耶と桃井かおりの両方良い
清原果耶と桃井かおりの会話がメインの作品。
つばめ役の清原果耶の流す涙は自然で良かった。
星バア役の桃井かおりはさすがの怪演で、一言一言に重みのある素晴らしさだった。
伊藤健太郎はイケメンでいい役だが、あまりパッとしなかったかな。
醍醐虎汰朗はそんなに登場場面は多くなかったが、存在感有った。
全体的にほんわかした良作でした。
清原果耶さんを支える〝相棒〟
星ばあは寅さんである。
・自分のこととなると意気地が無いというか、もどかしいくらいに奥手。
・人の背中を押すことに関しては、最強の御守りのよう。特に、『今、それをしなかったら後悔することになる』タイミングでの一押しはいつも泣かせてくれる。
日本の〝バディもの〟というと、刑事二人とか、刑事と旅館の女将とか、刑事と鑑識官、みたいに、警察絡みのイメージが私には強いのですが、迷える若者とちょっと不良っぽいおじさんおばさん(おじい、おばあ)という組み合わせも悪くないですね。というか、好きです。
それなりに世の中の泳ぎ方を身につけた中高年者や高齢者がいつまでも、自分の利害のためにそういうノウハウを使ってると、社会にとっては摩擦や不快感の元となりかねないけれど、無私の精神でワカモノの役に立てることがあれば、なかなか素敵なことですね。
出る杭を打つ〝世間〟の側に落ち着くよりも、出る杭を出やすくするお手伝いをするほうがなんだか楽しそうです。
清原果耶さんの表情の変幻自在振りを堪能するだけでも十分満足できますが、そんな不思議な後味の残る映画でもありました。
新聞記者の監督作品ってフレコミ、、、
清原果耶を愛でるためだけの作品という印象。
確かにカワイイし演技力も、、、って、それは映画でやる必要はないでしょう?
しかも、あの新聞記者の監督作品という宣伝文句、まぁまぁ豪華な?出演者(出演者の中にはこの監督作品なら、ってことで出てる人もいたと思うが、出来上がった作品に納得できるのかな?)だったが、、、。
ホントに力があるならこう言う作品でもそれなりの形にするのが監督の仕事だが、ちょっとこの内容で2時間座って観るのは正直つらいですよ。
これを作ることによって次回作があるならそちらに期待。
宇宙でいちばん感動する泣き顔!❓
ファンタジーで、いくつかの家族愛が織りなす物語です。
それぞれのエピソードはありきたりな、使い古されたパターンではあります。
でも、清原かやが演じることで、魔法のように輝くのです。
泣きのシーンでは大画面が彼女の顔になります。
彼女が泣くシーンをやり過ぎて、涙で脱水症状になつたとゆう逸話があるのですが、三月のライオンの時ですが。
それが誇張でないことがわかります、それだけでも観る価値ありです。
それと、伊藤健太郎の演技も凄く素晴らしい、それだけでも観る価値ありです。
とゆうことで、演技だけでダブルで観る価値ありです!
不思議な映画
何を訴える訳でなく、淡々と話は進んで行く。星バアは、妖精なのかと思いきや、どうも違うみたいです。
一緒に見た友人は、星バアは妖精だと見た感想を言ってたから、ある意味妖精なのかも知れない。
泣かすぞ!と作り込まれた映画に有りがちなエグさがなく、ふと涙がこぼれる良い映画でした。
見る人に、寄り添うような映画。良かったです。
つばめよ 地上の屋根は
何より、清原果耶ちゃんの才能が光る作品。意外にもこれが初主演とのことだが、自分から発する演技、受ける演技、喜怒哀楽の表情…一つ一つが丁寧に表現されていて素晴らしき。この先、どんどん磨かれていくんだろうなぁ。
主演を支える他キャストの演技もさすが。星ばあの汚さ(いい意味で!)と可愛らしさ(孫を目にしたとき)を見事に演じた桃井かおりさん、爽やか姉思いちょっとボンクラ青年がハマっていた伊藤くん、「青の帰り道」に続いて男運ない女性を巧みな台詞回しで演じた清水くるみちゃん、ワルだけど実はいい奴ちょいおバカっぽい誠くんの醍醐くん…。俳優陣すべてから目も耳も保養させていただいた。
作品に関して…最初はもっとファンタジー感あるのかなと思ったら、次第にそれを忘れてしまうくらいのストーリー展開。これは、星ばあがつばめと親交を深めていったり、家族と再会できたりすることで、人間くささが増した(不思議感はなくなった)ことをあらわしているのかな。描かれている時が何年か前の設定だったり、つばめが遠慮しがちの性格だったり、つばめの友人トリオがデリカシーの欠片もない感じだったりする理由も(裏SNSに書かれていたって皆の前で本人に直接伝えるとは…)、無理なく説明する押し付け感もなく自然に流れていく良さもあった。
藤井監督の作品は、(ヒロインの日本語演技が無理あるので「新聞記者」を除いて)空間的・明暗的にも好きな作品が多いのだが、本作も場面ごとの風景の素晴らしさがよく伝わってきた。(屋上がセットみたいでちょっとチープだったが…)
暖かく、苦く、愛おしい
凄く愛おしい映画です。
デイアンドナイトや新聞記者といった重い社会派を作った藤井道人監督が珍しいくらい心優しい映画を作ってくれました!
野中ともそ原作の映画化で、悩める女子中学生がとある屋上で星ばあという不思議な老婆と出会い、交流を深めることで成長していく青春映画。
青春映画とはいっても、ヒューマンドラマでもありラブストーリーでもありファンタジーでもある作品です。清原果耶演じる女子中学生つばめの周りに起こる出来事を経て一歩大人に近づく作品ですね。
そんなつばめと星ばあとの交流が非常にいとおしいです!
最初は星ばあの奇妙さに鬱陶しさを感じながら、交流していくことによって次第に自分の悩みを自然に話せる仲になっていき、お互いに大切な存在になっていく様が非常に好きです。
お互いに気遣いなく何でも話せる仲って凄く素敵ですよね!
今って人に気を使う事が凄く多いけど、悩みを話したり少し悪態付いたりからかったり、気遣いなく話せる仲は本当に憧れるし、「自分も星ばあのような存在がいたらなぁ」と観てる時に考えたりしてました。
そんなつばめの家族間や好きな人、学校内に関する葛藤や屈折を時に重く描くので時に心苦しい場面もありますが、観た後に心暖まり、希望に溢れてきます。
そのつばめを演じた清原果耶と星ばあ役の桃井かおりが本当に素晴らしいです!
清原果耶はデイアンドナイトでのヒロイン役が素晴らしかったのですが、今回は単に悩める女の子だけでなく、好きな人に目をキラキラして接したり、星ばあやお父さんには仲良い感じを見せつつ少し口悪かったり、思春期にみせる等身大の中学生を見事に熱演していました。
ノーメイクの部分が多いにも関わらず、彼女は劇中全ての場面で輝いていたし、彼女が泣く場面は思わずこちらも貰い泣きしてしまいました。
桃井かおりも本当に素晴らしいです!
桃井かおりはまだ70歳いかない歳のはずですが、それでも80歳近い星ばあを違和感無く熱演していて、「この人マジでこれくらいの歳なんじゃないか」と思ったくらいでした。
今まで邦画もハリウッドも含めて色々と桃井かおりの演技を観てきましたが、恐らくここ最近の映画で一番素晴らしかったと思います。
その他にもつばめの父を演じた吉岡秀隆やつばめの元カレ役の醍醐虎汰朗も映画に良い味を出していて良かったです。
また、藤井道人作品としては珍しくグリーンバックでのCGが使われてます。お世辞にもクオリティが高いとは言えないものの、ファンタジー的要素のある本作に結構合っていて、良い意味で現実離れしていました。
いつも星ばあと交流してる屋上の夜空がCGで使われていますが、日が完全に沈む直前のような少し暖かみのある「青」になっていて、それが映画によく反映されていました。
あとクラゲのメタファも良かったです。
星ばあがよくクラゲのように舞うような躍りをやるのですが、どこか自由で優雅に漂うクラゲを星ばあに例えられていたと思います。
音楽も素晴らしいです!
ミニマルテクノを駆使した少し奇妙で綺麗な本作の世界観に合っていたし、劇中で伊藤健太郎が弾いてるバンジョーの音色も聴いてて心地良いです。
また、清原果耶が映画の主題歌を歌っていましたが、声が綺麗ですね!曲も本作のように暖かみのあるキャラになっていました。
そんな素晴らしい作品ですが、一つだけケチ付けるとしたら、星ばあのファンタジー要素をもう少し入れるべきだったと思います。
星ばあの「空を飛ぶ」能力は劇中で殆ど描写されないし、能力を駆使する場面もそんなに無いので少し物足りなかったです。
思春期の複雑な心情と共に家庭内や学校での悩みがリアルに描写されるため、人によっては心苦しくなるかもしれません。
しかし、心苦しい場面も描きながら大切な人の交流を優しく、どこかノスタルジックに描いていくので観た後に非常に心暖まります。
「新聞記者」が嫌いだった人達でも、この映画ならきっと好きになれる気がします。
全世代に全力でオススメしたい映画です!
海月の宇宙
父親と継母と3人で暮らす14歳の少女の、恋と家族と成長の話。
大学生のお向かいさんに恋心を抱き、勢いでラヴレターを書いちゃった少女が、ある日いつもの書道教室の屋上で、歳をとったら何でも出来るという空飛ぶ婆さん「星ばあ」に出会い、交流する様になっていくストーリー。
仲良く暮らす幸せな家族だけど、継母と父親の間に子供が生まれることから、自分の立ち位置に不安を覚えり、実母への思いを抱えたり。
そして星ばあにも抱える思いがあったり。
後悔にも種類があるということや、家族とは繫がりとはということを教わって、自分を見つめて変化し成長する物語が、優しく温かく、くすぐったく、楽しかった。
そしてそして、清原果耶はハマり役、桃井かおりはやっぱり激ウマ。
清原 果那を愛(め)でる作品です。物語としての内容はあまりないと思う。
清原 果那を愛(め)でる作品です。
NHKドラマの「透明なゆりかご」で初めて見て演技がとても上手な女優さんと印象をうけました。
今作品でも思春期の女の子を上手に演じています。
物語としての内容はあまりないと思う。
ファンタジー風の作品で幽体離脱ものはこれまでにもあったはず。
つっこみどころは一杯あっていちいちあげつらうのも野暮だけど、足を負傷した人を連れまわすのは例えリハビリ兼ねているといっても拷問に近いと思うぞ。
物語としての内容はあまりないと思うけど、「行動してから後悔しろ」という言葉は若い人向けに素晴らしい言葉だと思いました。輝く未来のある若い方向けの作品かと。
殆ど前知識なしに鑑賞。 婆さん役で桃井かおりが出てビックリ‼️ 実...
殆ど前知識なしに鑑賞。
婆さん役で桃井かおりが出てビックリ‼️
実在しているのか分からない、魔女的な存在?
でも、主人公にとっては何でも話せる関係になっていく。
星ばあの言葉で自分で行動ができるようになり、色々な事が変化し始める。
片思いの彼や家族との関係も。
星ばあが主人公以外には見えていない謎は残る。。
家族関係の再構築、星ばあとの最後のダンス、
特に糸電話には泣かされた。
邦画によくある妙なファンタジーものかと思いましたが、見事に嵌ってしまいました。
清原さんの自然な演技にやられた。
これから注目していこうと思います。
癒されます
疲れたサラリーマンのお父さん方、
ぼぉ~と画面を見つめてください。
きっとこの映画が気持ちを癒してくれると思います(余程のへそ曲がりは除きます)。
まず、画が綺麗です。
主人公の女の子、超絶可愛いです。
小さな心の揺れ動きがリアルでいいです。
そして
心が擦れてなければちょっと涙が出ます。
ほっこりとするファンタジー
ほっこりとするファンタジーながら、藤井道人監督の正直でまっとうな世界観が心に響く感動作である。 ファンタジー映画らしく悪い人間は登場しない。 どの場面を切り取っても愛情があり思いやりがある。 特に桃井かおりの星ばあと主人公つばめのシーンがいい。 思わず笑みがこぼれるような楽しさと温かさがある。
清原果耶は同じ藤井監督の「デイアンドナイト」で初めて見て、若いのに存在感のある演技に感心した。役名の大野奈々で歌った「気まぐれ雲」を聞いて歌の上手さに驚かされもした。本作品でも主題歌を担当して伸びやかな歌声を聞かせてくれた。歌の上手い若手女優と言えば上白石萌音だろうが、上白石萌音が愛くるしいタイプなのに比べて清原果耶にはどこかミステリアスなところがある。小松菜奈に似たタイプだと思う。
本作品では主人公つばめを全力で演じているのが伝わってきて、その健気な演技に先ず感動した。つばめは思春期らしい迷いと思春期らしい吸収力で、変化する状況を受け入れ、そして乗り越えていく。決して優しさを失うことはない。主役らしい堂々たる演技だった。
桃井かほりは名人の域に入ったかもしれない。演じた星ばあは、キュートでシャイでシニカルでエスプリに富んでいてどこかアンニュイという稀有なキャラクターである。桃井かほりはこの役がとても気に入ったのだろう、本当に楽しそうに演じていた。
吉岡秀隆と坂井真紀の夫婦は優しさに満ちていて、つばめの優しい性格がこの二人の努力の賜物であることがわかる。いい子はいい親が育てるのだ。
鑑賞中ずっと微笑んで観ていられる映画で、ささくれた心が癒やされた気がする。邦画のファンタジーとしては出色の作品だと思う。
清原果耶ちゃんで星四つ
清原果耶ちゃんの清涼感で最初から最後まで引っ張っていっている。
表現が難しい中学生の心境の表現が素晴らしい。
屋上のシーンはロケで撮影してほしかった。
撮影のコンディションが難しいかもしれないが、逆に季節感を出した方が良い。
共演者は舞台系の俳優を使った方が良いと思う。
見たことのある演技で新鮮味がなかった。
(伊藤くんは除く。)
また一人素敵な女優さん見っけ!
皆さんはすでに見つけられてたんでしょうね?!
清原果耶さん、これまで出演作を観たことがなく(出てたことを知らなかっただけのものもあり)全くノーマークで、来年のNHK朝ドラの主役にっていう報道で名前を知ったくらい。
調べると脇役や子役で結構出てたんですね。勉強不足でした!
『星ばあ(桃井かおりさん)』との結構口の悪いやり取り、でもそんな彼女に背中を押されてひと夏でひとまわりもふたまわりも大きく成長していく少女の転換期。涙をボロボロ流してなくシーンには思わずやられてしまいました。10代でこの演技力、本当にこれからが楽しみです。
脇もいいですね。『星ばあ(桃井かおりさん)』は安定の存在感ですし、亨くん(伊藤健太郎さん)もいい人感満載で、髪ツンツンの人と同じ人とは思えません。またお父さん(吉岡秀隆さん)とお母さん(坂井真紀)の心情がよく伝わってきて、つばめ(清原果耶さん)がこころなく暴言を吐いてしまい、お父さんにたしなめられるシーンでは思わずこちらも涙してしまいました。(寅さんが天国から意見しそうですが)
それから書道の先生(山中崇さん)もとっても重要な役どころで最近の映画やドラマには欠かせない役者さんですね。(JTのCMの猫顔の役者さんとしてくらいしか記憶がなかったんですが)
最近観た『幼な子われらに生まれ』でも再婚家庭で新たに子供ができることの難しさを感じましたし、『あん』の樹木希林さんのごとく『星ばあ』の正体はいったい何だろうか?(「見える人には見える」みたいなセリフもあって。)っていう不思議感もあって(『DESTINY 鎌倉ものがたり』などのファンタジーものとは趣向が異なりますが)いい意味での素敵なファンタジー作品になっています。『新聞記者』の監督(藤井道人さん)作品とは後で知ってびっくりでした。
またエンディング曲のCoccoプロデュース楽曲「今とあの頃の僕ら」を歌い上げる果耶さんの澄んだ歌声も心にしみてきます。余談ですが今日のFM番組でも話されてましたが初めて買ったCD(じゃなくて配信らしいですが)が小学校のころにDLしたPerfumeらしいです!若い)
心温まる素敵な映画でした。幅広い年齢層の方に観てもらいたい作品です。
清原果耶ちゃんが良い。
14歳のつばめが恋や、血の繋がらない母親にもうすぐ子供が生まれることで悩んでいる所に、星ばあっていうおばあちゃんと知り合って打ち解けていく話。
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つばめ役の清原果耶ちゃんがとにかく良い。良い意味で普通の女の子。浜辺美波と同じような部類なんだが、浜辺美波ってすごいアニメ感あるじゃん?.
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浜辺美波が出てくるだけでファンタジー感が凄いというか、そこが良いとこでもあるんだけど。その反面清原果耶ちゃんは等身大のの女の子の等身大の姿が自然で良いなと改めて思った。
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清原果耶ちゃんがやることで、星ばあとの友情も説得力あるし、2人で水族館行くところは普通に女子会みたいで楽しそうだった。
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こういう映画苦手分野だから特にこれ以上語ることは無いんだけど、赤ちゃんのベットの色を水色からピンクに変えたのはこの家族に新しいメンバーが来るっていうことを視覚的に表してたんかな。
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水色は家の壁が元々水色(確か)だし、部屋の基調としてる色が緑でその中にピンク?ってアンバランスっぽいけど、まさに家族に新しいメンバーが入ることで調和が崩れる、でもだんだんと馴染んでいくっていうことなのかな。
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清原果耶ちゃんの"言葉すら不要 目の動き一つ全て伝えてしまう仕事"
この作品には作られた伏線はない。でも、必然がある。SFチックな作り物語のはずなのに、確かに登場人物がこの世界に存在して、この世界でもがき苦しんで、この世界で成長したに違いない。そう思わせてくれる丁寧な脚本と演出、そして何より清原果耶ちゃんの演技に魅了される一本でした。
思春期の中学生が、自分の生き方を模索するという点では、最近「はちどり」といういい作品を見ました。感受性の豊かさや進む道の危うさを経験したからこそ、最近こういう映画に感情移入しがちになってしまいます。本作は、父親と血のつながっていない母親と3人で暮らしていたところに、子供が生まれお姉ちゃんになるということだったり、年上の男の子への恋心だったり、どことなく不安げで、自分の立ち位置を下げて"見上げる"ような毎日を送っていた主人公に、桃井かおりさん演じる星ばあと出会い、心を通わせ、人生の先輩から説教臭く聞こえるようで温かいメッセージを受け取ることで、地に足がついて"対等"な目線、さらに"見下ろす"目線も覚えていくというお話かなと思いました。
この"視線"の演出が、この作品の肝だと思います。映画の冒頭では、見上げるシーン、自転車で転んで空を見るシーン、坂道を上がっていくというシーンが多くあります。その後、星ばあとかかわっていくことで、伊藤健太郎演じる恋する大学生に対し、対等な目線で話せるようになります。その後、とあるシーンをきっかけに、お世話をしてあげる、つまり対等から見下ろす目線になっていきます。その頃には、これから姉になるという自覚が芽生えていたり、星ばあを物理的にも見下ろすシーンで成長を示唆しているのではないかと思いました。見下ろすというのは、見下げるとは違います。相手を良い意味で引っ張るというイメージ、またはあらゆるものを客観的に見れるというイメージです。これはあくまで一つの解釈でしかありませんが、すごい演出だと思います。
星ばあとの直接的に最後にするやり取りも、間接的に最後にするやり取りも、非常に良いシーンで印象的です。直接的に最後にするやり取りでは、星ばあは見下げる、つまり主人公にあらゆる意味で地に足をつけさせる役割を担い終えたことを確かめるように踊り合います。そして、魂を継承するかのように数々の言葉を主人公に授け、今度は自らの未来を悟っていくかのように坂を下っていきます。涙なしでは見られない名シーンですし、清原果耶ちゃんと桃井かおりさんの最高の芝居合戦だったと思います。 間接的に最後にするやり取りですが、いわゆる"感動の押し売り"監督だったら星ばあの言葉を添えると思います。あえて、星ばあに語らせず、でも確かに主人公は星ばあからメッセージを受け取っているだろうというシーンに感動しました。
"感動の押し売り"監督だったら繋がりでいうと(そんな繋がりはありません)、主人公が家族といわゆる言い争いをするシーン。あのシーンでそういう監督なら主人公は父親か母親に叩かれるのがお決まりというところで、本作の監督は父親に主人公の髪をなでながら「謝りなさい」と諭します。本当に素晴らしいと思います。ちなみに、父親から髪をなでられただけで思春期の女子は嫌がるだろうという指摘もあるかもしれませんが、この主人公は父親にも母親にもどこか負い目を感じつつも心底尊敬しているんだろうなと思わせるシーンがそれまでに何か所かあるので、自分は気になりませんでした。
絵本のような美しい映像は本当に映画館で見るのが一番だと思いました。そして、何よりも主演の清原果耶さんの演技が本当に素晴らしいです。レビュータイトルはCreepy Nuts×菅田将暉の「サントラ」から拝借いたしましたが、視線を複雑に使い分け、何種類も涙の出し方を使い分け、何種類も口元のとがらせ方を使い分け、何種類も表情筋を使い分け、とことんリアルな演技をしているのがすごいと思いました。少し気が強いキャラクターなのに、嫌な感じがしない上品さも兼ね備えていました。もっといろいろな作品を見たい女優さんです。
不満点はほとんどないんですけど、強いて言えば主人公はどうしてあの元カレを好きだったんだってことと、その元カレがいろいろなところで関わってくるところがちょっと過剰過ぎたというかご都合主義過ぎたかなと。友達関係について最後にフォローがなかったのは、彼女が覚えた"見下げる"視点で上手くこなしてくれてるんじゃないかなと脳内補完しました。
SFの短編絵本のような設定に乗れさえすれば、どの世代が見ても感動的な作品だと思います。最高でした。何度も見たいです。
これはこれで
まず、無駄なBGMがないのがすごくいい。昨今の作品はこれでもか音楽が多すぎて辟易していたので、ここですでに好感が持てた。
そしてインスタの画像加工にでも出てきそうな、
青緑の色彩が藤井監督の好みなのだろうと思うし、
清原果耶の雰囲気とぴったり合っていたと思う。
そしてキャスティングも適任が多かった気がする今作、
桃井かおりがこんな良い出汁が出た老婆を演じたのも素敵だし、
誠役の醍醐虎太郎も少ない出番で、印象に残すような演技はよかったと思う。
見せ場のない吉岡秀隆も新鮮だったし、
序列を完全に無視した演出にニヤニヤが止まらなかったりもした。
しかし適任は適任でも伊藤健太郎のいいひと役は、そろそろ飽きてきたとも感じた。悪役やらせてあげてよ。
内容はよくある話に現代っぽいものを脚色した感じがしたし、
藤井監督自らがどうしてもと思った作品ではないだろうと思ったし、
大人の事情がたくさん含まれたものだろうと思うけれど、
演者がうまくフォローしているので、これはこれで。
しかし17歳が14歳の役をやっても多少の違和感を感じるのは否めず、
それほどに多感な時期を表現するのは難しいんだなと思った。
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