「家族というものを改めて考えさせてくれる」宇宙でいちばんあかるい屋根 Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
家族というものを改めて考えさせてくれる
コロナ禍の真っ最中に劇場へ。オンライン会議の連チャンで疲れた夜は心洗われるファンタジーで癒そう!? という訳で、こんな作品の選択。野中ともそ著のベストセラー小説の映画化だそうだが、この作品も、さらにはこの作家さんも、寡聞にして知らなかった。昨日、電車の中の吊り広告で見て、清原果耶と桃井かおりが出てるなら見なきゃ…… と思ったのが実際。
清原果耶はドラマ『透明なゆりかご』で注目していたら、あれよあれよとスターダムを駆け上がっていってしまった。この映画の主題歌も彼女によるもので、歌も歌えることを今回初めて知った。上白石萌音ポジションを充分に狙えるんじゃないかな?
物語は2005年。向かいの家に住む大学生の享に淡い恋心を抱く中学3年生のつばめは、父親が再婚した育ての母が妊娠し、少し複雑な気持ちに……。気分転換は通っている書道教室のビルの屋上で一人過ごす夜の時間。ある晩、その屋上で変わった老女「星ばあ」と出会う。
つばめと星ばあのやり取りは罵り合いに近く思わず笑ってしまうものが多いのだが、その中に人生を考えさせることばがサラッと挟み込まれてくる。桃井かおりが樹木希林的ないい味を出している。彼女が20代の頃(いまの清原果耶に近い年齢)から見ているかと思うと感慨深いものがある。
決して派手な作品ではないが、家族というものを改めて考えさせてくれる佳作。
ちなみに、冒頭で出てくるタイトルが The Brightest Roof in the Universe で、キャストやスタッフの名前が全て英語で表示されていて、国際マーケットを意識した作りになっているんだろうな。(日本語タイトルは最後に表示され、エンドロールは日本語。)
