アンダードッグ 前編のレビュー・感想・評価
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噛ませ犬の人生
森山未來演ずるボクサーは、あと一歩で挫折。その後は、噛ませ犬としてリングにあがるが、デリバリー嬢の送迎ドライバーや、妻は逃げてしまう。大物俳優を親に持つお笑い芸人は、イマイチだ。かっては、不良でボクシングのセンスはいいが、暗い過去のある男。出てくる人物が皆、負け犬だ!ボクシングは、孤独な見せ物。
心を潰しながら戦う。竹原慎二が出てるね。
リアルとリアルじゃないシーンが同居するボクシング映画。
タイトル戦で、まさかの逆転負けを喫し落ち目になった
ボクサーの物語を主軸に、売れない芸人と将来有望な若手ボクサーの
話が絡んでいくという構成。前編は、ボクサーと芸人のエキシビジョンマッチ。
後編はボクサー同士の戦いがハイライト。
こういう二部作の場合、中途半端な感じで前編が終わってしまい、
フラストレーションがたまりそうな作品が多いのですが、
アンダードッグは、前編だけで完結する作りになっています。
前後編通して見ると、ストーリーにさらに深みが生まれ、
一番のハイライトであるボクサー同士の戦いへと展開していくという流れ。
なかなか考えられた話だなと思いました。
ボクシングのファイトシーンも、なかなかの迫力なんですが、
ただ、現実のボクシングとして捉えると、全然リアルじゃない。
前編のエキシビジョンマッチも、後編の試合も、ああいう展開には
絶対にならないですよね。
途中でレフリーもしくはセコンドが止めるはず。
「最後まであきらめてはいけない。最後までたたかいぬく姿が美しい」
というようなメッセージを伝えようとしているのでしょうが、
それをボクシングという危険なスポーツで表現するのはダメなんじゃないかな?
試合観戦してる家族の姿もおかしい。「やめてくれ。止めてくれ」というのが
自然なリアクションなのに、感動して拍手を送るシーンは違和感。
ボロボロになった息子を見舞って「感動した」いって去っていく父もおかしい。
全体的におもしろい映画だとは思いましたが、残念な部分も多いですね。
そういえば、テレビ番組のボクサーチャレンジ企画。実際にテレビでやっていた
「ガチンコファイトクラブ」そのままだし、竹原慎二氏が出てたのも驚きでした。
後半を見る前に。
最後の試合が前半の全てです。素晴らしい演出、演技。始まる前はまさかねまさかねと思ってたけど、なるほどそーゆー展開か。すんごい複雑だよなぁ。どっちにも感情移入できるよ。でもやっぱ側から見たら元日本チャンピオンのくせに試合を馬鹿にしてるよなぁ。プロから見たら侮辱だよなぁ。そりゃ素人のくせに果敢に攻め続けたお笑い芸人の方が好感持てるよなぁ。でも、あっという間にボコボコにしてたらどうなったか。それはそれで総スカンだった気もする。3人が今後どう変わるのか、絡むのか楽しみ。
噛ませ犬が負け犬に堕ち…
『百円の恋』の監督・武正晴×脚本・足立紳のコンビで再び闘う、ボクシング映画。
前編131分、後編145分、合計276分の長尺。赤裸々で濃密な人間ドラマ、激しい濡れ場、白熱の試合…傑作『あゝ、荒野』を彷彿。
『百円の恋』はニート女子の拳闘劇だったが、こちらは4時間超えも納得の3人の“負け犬”の拳闘劇。
晃。
かつて日本王座に挑戦するも、惜しくも栄光に届かず。
以来それを引き摺ったままリングに上がり続け、試合は負け続きの“噛ませ犬”。
妻子とは別居中。ボロ平屋で老いた父と同居。
日々の稼ぎはデリヘルの運転手をして。
どん底の人生。
そんな晃に、TV番組の企画としてエキシビションの話が持ち込まれる…。
龍太。
期待の若手ボクサー。
才能に溢れ、連戦連勝。
妻は妊娠もしており、全てが順風満帆。
…が、彼が時折通う児童擁護施設。そこで見せる神妙な面持ち、秘められた暗い過去…。
ボクシングや人生に苦しみや葛藤を抱えていた…。
そして、何かと晃に絡んでくる…。
瞬。
ギャグは滑りまくり、テンションだけウザい全く売れないお笑い芸人。
交友関係は広く、自宅ではよくパーティー。
が、薬物疑惑が…。
大物俳優の父を持ち、確執あり。
薬物がバレたらアウト。父からは辞めろと耳にタコ。
芸人としても一人の人間としても崖っぷち。
そんな彼が挑むガチチャレンジ。
引退を懸けたボクシング。
その対戦相手が、晃…!
3人それぞれ、闘う理由や目的、見てくれる人、応援してくれる人がいる。
晃は今一度、リングの上で輝きたい。噛ませ犬なんて呼ばせない。息子が見ている。
龍太はある暗い過去を断ち切る為に。妻が支えてくれている。施設の子供たちが応援してくれている。
瞬は全てを懸け、人生をやり直す為に。サポートチームのバックアップ。恋人や父が見てくれている。
一人にだけ肩入れする事なんて出来ない。
ファイターそれぞれ闘う理由あってこそ話も試合も盛り上がる。
これこそ、ボクシング映画だ!
とは言っても、やはり主役は晃。
最後は彼に花を持たせるのかと思ったら、この前編でチャンピオンベルトに相応しかったのはまさかの瞬だった。
最初は好きになれなかった。本当におチャラけたただのバカ。
劇中の台詞を借りるなら、「ボクシング舐めるんじゃねーよ!」。
しかし3人の中で誰よりも、背水の陣で挑む。
今は落ちぶれたとは言え、相手はプロ。芸人チャレンジが勝てる見込みなど無い。
…いや、もはやおふざけの芸人チャレンジなどではない。本気の挑戦だ。
正直、怖い。
でも、ここでビビってたら、俺はずっと負け犬のまま。
やってやる!
ボクシング映画の醍醐味の一つは、役者陣の熱演とガチの身体作り、試合シーン。勿論それは本作でもたっぷり堪能出来る。
森山未來、北村匠海、勝地涼の3実力派。
北村はドラマ面で大きな見せ場があるのは後編になってからだとして、森山はさすがの名演。
しかし今回驚かされたのは、勝地。正直これまで映画/TVなどで印象に残るような代表作って無かったように思えるが、断言する。キャリアベスト!
3人は撮影半年前から鍛え上げ、見事なボクシング体型に。
また、同じトレーニング方法ではなく、役柄に沿ったボクシング技術を習得。
何もかも本格的!…いや、本気!
今回クライマックスを飾る試合は、晃vs瞬。
はっきり言って、プロvs芸人風情のアマチュア。勝負なんて分かり切っている。
そこでTV局側から持ち込まれた八百長。試合を面白くする為に、多少苦戦して、後はKOを。勿論それなりの報酬も。
腐ってもプロ。が、生活に困窮する晃は…。
一発二発食らって、ダウン。効いたフリ。場外から野次が飛ぶ。
見てられないかつて日本王座に挑んだ男の姿。
これで一応自分の仕事は終わった。楽々瞬をリングに沈める。
が…
八百長試合を知らぬは、瞬当の本人。
プロの拳をお見舞いされたのに、何度でも立ち上がってくる。挑んでくる。這い上がってくる。
何度もパンチされ、KOも一度や二度ではない。が、それでも、
やめる訳ねーだろ!
さすがに強烈なノックダウン。もう無理…。
人生やり直すんじゃなかったのか!?
立ち上がる!
その姿に、会場は熱狂。興奮。感動。
誰がここまでの試合を予想していただろうか。
単なる見世物が、白熱の試合に!
会場は完全に瞬の味方。
その瞬の姿に、誰よりも圧倒されたのは晃だろう。気迫さに恐れおののいたと言っていい。
瞬は最後まで闘い抜いた。
そんな瞬へ、会場は惜しみない賛辞の嵐。
観覧していた龍太も興奮の眼差し。
主役はもう瞬。
さながら、アポロと闘ったロッキーのよう。
かく言う自分も、そんな瞬の姿に目頭に熱いものが…。
…たった独りを除いては。
会場からは罵詈雑言。ボクシング舐めるんじゃねーよ!
セコンドやかつてのボクシング仲間からは、二度とボクシングするんじゃねーぞ!
噛ませ犬と言われ続けてきても、それでもボクシングにしがみ付いて来た。
が、今日の絶対的な敗北感。プロがアマチュア相手に醜態晒し…。
俺は噛ませ犬なんかじゃない。
俺は、負け犬なのか…?
立て! 立つんだ、晃!
後編予告編では、龍太とのある因縁闘い。
晃、遂に再起…!?
それまでに何が描かれるのか…?
さあ、後編も見るぞ!
やっと観られてよかった
念願のアンダードッグ前編をキネ旬シアターで鑑賞しました。
まず台詞がほとんどない足立脚本に驚いた!
主役の森山さんは台詞が数えるくらいしかない。
咬ませ犬としてリングに上がるボクサーの生き様を台詞なしに表現力で見せてくれる。
さすがに一流ダンサーだと思った。
ボクシングシーンはリアルで手に汗握る。
さすが武正晴監督!
前編では有名俳優を父にもつ二世芸人の悲哀と本気のファイトを見せてくれた勝地涼さんに拍手を送りたい。泣けました。
後編では好青年を打破する北村匠海さんが楽しみ。
すごく面白い
前後編の映画なんて見るのが億劫だったのだけど、前編を見たらものすごく面白くて後編が早く見たくてたまらない。特にクライマックスの芸人との試合、勝ってお通夜みたいな気分になるのに対して、負けた芸人は精一杯やりきって最高の気分を味わっており、なんという皮肉だ。八百長で膝をついた場面はあまりに上手で笑った。結局2回しか打たれてないのではないだろうか。第3ラウンドは腹に一発入れれば3ノックダウンを取れたのではないだろうか。風間杜夫が息子の奮闘に感動している様子に感動してしまう。
ただ主要な登場人物がみんな一様に暗くて感じが悪い性格でもうちょっと色分けしてもいいのではないだろうか。自然にユーモアがある人物がいない。
動き出すのはいつなのか
後編に比べて動きが鈍くやや退屈ではある。
ダメ男が動き出すためのきっかけはいくつも散りばめられていた。芸人との試合、完全になめてた。結果、ボコボコにするはずが出来なかった。
息子に世界チャンピオンになりたいんでしょ、じゃあ頑張らなきゃね。って言われる。
元ライバルのチャンピオンに二度とボクシングやるなと言われる。
全ては動き出すための舞台だけれどこんなにたくさんいるのかなとちょっと思った。ただ、元ライバルの言葉にはグッと来た。信じてた現役ボクサーがしてはいけないことをしたのだから。
やらかした自分に収拾つけられない、さらに逃げ続ける晃。その場凌ぎの言葉は優しいようで相手を傷つけてしまう。この後どうなっていくのか。
後半への期待が膨らむ前編だった。
想像力がいります
リアリティが感じられる作品。
前編は3人の自己紹介みたいなちょっと間延びしている部分がちらほら。
もう少し間引いてもいいと思う。
ボクサーがメインだとは思うんですが、回りの子供達がとてもきになりました。
森山未來が大好きな長男。
森山未來と少しづつ打ち解けていく女の子。
北村匠海が気にしている施設の女の子。
なぜかとても気になりました。
今後どうストーリーと絡んでいくのかな?
演技、ボクシングシーンは申し分ないけど何故そんなことをしたのかわからないことが多々あったので結構疲れました。
前後編続けては見れなかった。
ここ数年で予告編だけで一番観たいと思った映画
主要人物は決して良い奴はいない。
むしろ森山未來と勝地涼にはイライラすらさえする。
それでも勝地は「自分は何者でもない」事を受け入れ、それでも必要としてくれる人の大切さに気付いた時に力じゃなく意地で勝負し、森山未來を圧倒させる。
噛ませ犬にも光と陰が生じてしまうもどかしさと切なさ。
しがみつく果てに何があるのか・・・
後編へ続く
淡々とした前半。まるでボクシングのジャブのよう。
前半は、それぞれのバックグラウンドを語るべく、
カット数も多く淡々と流れていったような気がする。
長丁場の映画だけに、割と飽きさせない作りにしたような感じ。
内容はわかりやすくて、メインとなる3人のボクサーの背景が見えて、
ラストの森山未來演じる末永と勝地涼演じる宮木の試合は、
両役者が巧く演じていた。
特に宮木が次第に自分の芸風に限界を感じながら、最初はテレビの企画に過ぎなかった
ボクシングに、自分の人生をかけるようになる様はなかなか良かった。
そこは勝地涼持ち前のキャラが活きていた。
あと、あまり関係ないかもしれないが、末永とデリヘル嬢のアケミが車内で、情事を重ねるシーンで、サスペンスドラマの殺人現場のような音楽が流れたのだが、あれ何かあえてB級っぽく見せていて面白かった。
あと、末永が行きつけの喫茶店の本棚に『はじめの一歩』全巻置いてあった。
前半で結構面白いな、と思わせてくれたので後半にも期待できた。
前半でグダグダだったら前売り買っている私からしたら最悪だったので。。。
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