劇場公開日 2020年11月27日

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「☆☆☆★★ 真剣勝負ののスポーツには、時としてどんなに力のある脚本...」アンダードッグ 前編 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5☆☆☆★★ 真剣勝負ののスポーツには、時としてどんなに力のある脚本...

2024年3月9日
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☆☆☆★★

真剣勝負ののスポーツには、時としてどんなに力のある脚本家が仕掛けた物語よりも凄いドラマが生まれる。

足立紳脚本の本作品。ボクシングを題材としているだけに、近年で公開されたボクシング映画として。どうしても、日本映画では『あゝ荒野』(寺山修司の原作には、明らかに『あしたのジョー』を意識して書いたらしい)
外国映画としては『負け犬の美学』との類似性を考えずにはいられない。

とりわけ、主人公がボクシングのリングに立ち続ける意味は(本人は寡黙な性格だけに)黙して語らないものの、『負け犬の美学』により近いモノを感じてしまう。

最初に凄いドラマが生まれる…と記したが。バラエティー番組「Qさま」(今ではクイズ番組になってしまいましたが)でのボクシング企画。ロバート山本のKO勝ち等はその最たるもの。
お互いにデビュー戦だったとは言え、負けた相手はその後に連戦連勝。東日本の新人王にまで上り詰めている。

そんなご本人であるロバート山本は、この前編での相手ボクサー役の勝地涼のトレーナー役で出演。
このジムの会長役には、「ガチンコファイトクラブ」竹原慎二であるし。勝地はある1つのパンチに巧妙を見いだす辺りは。どうしたって、あの「あしたのジョー」の力石徹の影がチラホラする。
更に言うと、デリヘルの店長にはタコ八郎の姿を見る事も出来る。

明らかに主人公は、過去に元世界チャンピョンと激闘を経験したボクサーでありながら。今は、、、って言うところも、ジャンルは違えど『レスラー』じゃないのか?…と。

その様に、多くの部分で類似性が見て取れる為に。どうしてもこの脚本からは、オリジナリティーが少し希薄に感じられてしまったのが正直なところ。

寧ろ、面白さを感じたのは。中盤から関わって来る冴えないお笑い芸人役の勝地涼が、親の七光りとゆう重い鎖を背負い。芸能界でもおちゃらけて、おちゃらけて。もう1つオマケにおちゃらけて、おちゃらけて、、、自分の居場所を探し続け。踠き苦しむ姿に、少し熱いモノを感じたくらいで…。

後半になると、ようやく北村匠海との対戦が待っているのだろうが。『あゝ荒野』の時の様に、後半に持ち越された菅田VSヤン・イクチョンの高揚感までには至らなかったのが残念でした。
北村匠海サイドの(身重の奥さんが居る)ドラマが今ひとつ見えて来ず、勝地涼のドラマを重視した弊害と言えるでしょうか。

2020年12月12日 丸ノ内TOEI 2

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松井の天井直撃ホームラン