「確かな熱量…けど言いたいことも?」アンダードッグ 前編 よしさんの映画レビュー(感想・評価)
確かな熱量…けど言いたいことも?
あゝ、負け犬人生?目指せ和製ロッキー!ボクシングは人生。やれるか?やめるか?監督 × 脚本 =『百円の恋』のコンビが再び贈るボクシング映画。特に原作脚本の足立さんにとっては、複数の主人公という点でも、そのキャラクター達の仕事や背景などにおいても、自身の集大成的な意味合いが強そう。故にこの熱量。だけど、そうした細かく広がる部分の詳細がとにかく見えにくい。恐らく書いた本人や、武監督また演じ手の中にはきっと色々あったのかもしれないし、後半見たらより繋がったりそれぞれのキャラクター達に共感覚えたりできるのかもしれないけど、それらが(少なくとも前半だけでは)全く回収しきれず様々な要素だけが散らかっている印象を受けてしまった。
にしても本編中劇伴とか基本使わない方針なのかと思っていたのに、終盤の試合シーンでそれっぽい曲流れ出したとき一気に白けてしまった。役者が頑張っているのは嫌というほど伝わったけど、宮木瞬パートにそんな感情移入しなかったり揺さぶられなかったの僕だけですか?元々軽い感じのイメージがあった勝地涼が遂に本家オリラジ藤森にと思ったけど、芸人としてこれはつまらない。意図的だからか、芸人じゃなく脚本家が書いたものだからか、とにかくつまらなさすぎる。作中でもネタにして保険かけているのかというほど周囲に"つまらない"と指摘・述べられているけど、実際虫唾が走るほどつまらないのだ。しかもクソみたいな下ネタ。新手の拷問か何かか。
そう、日本の金かかった話題作はとにかく性を搾取しがち。と、最近『今際の国のアリス』とかいうドラマを見てイライラしたところだからより一層思った。本作のそれには(ぼくが見えていないだけで)もう少し作品のテーマとして意味があったのかもしれないが。あと、芸人はじめ実際のボクシングの人など多種多様なキャスティング。現代日本を代表する濡れ場女優(?)瀧内公美さんは良い。