「ボクシング映画を堪能」アンダードッグ 前編 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
ボクシング映画を堪能
かって日本1位まで昇りつめ、日本チャンピオンをかけて、ライバルカイトウとの、今でもボクシングファンの話題に上る名勝負を闘って負けた主人公アキラ。カイトウは、世界チャンピオンになり、現在は名門ボクシングジムの会長をしているが、主人公は今日もリングで闘い続けている。いっぽう、プロテストを受ける若者リュウタ、大物俳優の二世タレントだが、崖っぷち芸人をしているミヤギ。このふたりが主人公とからむ話が、前編。
武監督、足立脚本(「百円の恋」 といっしょ) だけに、上記したような試合はしたものの、ヒエラルキーでいえば底の方で暮らすボクサーの姿は徹底的に描かれる。毎日酒を飲みTVを眺めている父親とふたりで長屋のような自宅で暮らし、仕事は中学の同級生がやっているデリヘルの運転手(兼用心棒?)。ボクシング映画をみているのか、底辺の方の映画を観ているのかわからないくらい、その生活は克明に描かれる。
カイトウとの日本チャンピオンをかけた試合は、観ている俺に、勝った方の喜びと、それと同じ量の負けた方の(本人および応援していた周囲)残念感と徒労感を伝えてくる。その重さは、これまでいくつものボクシングのTV中継を観てきたが気づいていなかった。やっぱ、映画、凄いわ。
そんな生活をしながら、かって父と思い描いた世界チャンピオンの夢を、今でもあきらめきれずに、今日もリングに上がり続けているのだが、主人公を息子のように思ってきたジムの会長に言わせれば、「あの試合が、お前のピークだったんだ。なのにお前は・・・」
そんなアキラが、崖っぷち芸人の企画でボクシングのライセンスをとったミヤギと、世界戦の前座試合で4ラウンドのエキシビションマッチを戦うことになる。プロライセンスを取ったとは言え、素人の芸人との対戦には釈然としないアキラだったが、「これで金をもらって、父親の借金を返して、引退して静かに暮らせ」 と言う会長の言葉には逆らわない。
そして迎える試合の日。プロライセンスをあっさり獲得したリュウタの初試合も、偶然同じ日の前座試合に組み込まれた。さてこの2試合、どんな結末になるのか、というのが前編の話。
前編のエンディングで、俺が思ったことは 「早く、後編も観たい!!」 だった。前編の前半は、上に書いたようにこれでもかと底辺に近い所にいるアキラの描写で、何が起きるわけでもなく、重苦しいと言うか、何も変わらない様子が続いたというのに。
やっぱり、ボクシングは、面白い! そう思わせるような体と演技にまでしあげてきた、主役2人の森山さん、北村さんに感謝だ。
CBさま!
たくさんの共感と、そしてコメントありがとうございます。
(勇気をもらいました)
「百円の恋」も安藤サクラさんのボクシングシーン、凄かったですね。
それとたしか2週間位で撮影したと聞きましたが、サクラさんが激やせしてて、2週間で、まさか!!と驚きました。
森山未來は、普段はヘラヘラ〜っとした感じなのにボクシングシーンは、
眼の色が違って、ボクサーってスイッチが入ったらトランス状態で、
打つ、よける、打つ!!
ともかく感動でした。
ボクシング映画は好きで、「ロッキー」も「クリード」も好きです。
自分は弱虫なのに、「カリフォルニア・ドールズ」とか、
フローレンス・ピューの「ファイティング・ファミリー」とかも好きです。
「ヒノマルソウル」の西方のように勝ち負けを超越はしないと思いますけれど、
負けにも理由と言うか、価値があると思いたいですね。