「万感の佐々木コールが頭から離れなくなる作品です。」佐々木、イン、マイマイン 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
万感の佐々木コールが頭から離れなくなる作品です。
新宿武蔵野館で予告編を観てから結構気になってた作品で、武蔵野館の館内にある作品のディスプレイから流れる佐々木コールが頭から離れないw
結構期待して観賞しました。
で、感想はと言うと、面白い!好きな作品!!
学生時代の甘酸っぱくも懐かしく、馬鹿な思い出。でもそれが愛おしいんですよね。
教室の机の上に全裸で上がり、万感の佐々木コールが全てを物語っている。
これはかなり当たりの作品でど真ん中の青春映画です。
とにもかくにも佐々木が良い!
ノリが良くて、お調子者でさびしんぼう。でも自分の不幸な境遇を言い訳にしない。肩肘張って強く振る舞う。
何処か自分を達観しているが、他人に優しい。愛すべき人物。それが佐々木。
そしてビジュアルが良い。アフロが似合う♪
佐々木語録的な言葉のチョイスも話し方もなんか良いんですよね〜。
一目惚れした女の子のきっかけが、名曲「プカプカ」と言うのも良い。佐々木の恋模様を諸手を挙げて応援したくなります。
ポスターのキャッチコピーにある「佐々木、青春に似た男」と言うのはまさしくそれ。
青春時代を体現した様な男が佐々木なんですよね〜。
主人公は佐々木ではなく、藤原季節さん演じる石井なんですが、石井の葛藤も切ないんですよね。山梨から東京に出てきて、役者を目指すが、ダメではないけどなんとなく上手くいかない日々。バイト先で同級生の多田と出会った際に自身の仕事を「箱食品」と揶揄する言い方も切ない。
山梨と東京の距離は関西出身の自分からすると全然遠くない。でも山梨と言う土地柄の風景や距離が夢を叶えきれないと言うのも分かる。
と言うよりかは夢を叶える地方出身者にはやっぱり何がなんでも「東京」なんですよね。
藤原季節さん、細川岳さんの他に萩原みのりさん、遊屋慎太郎さん、森優作さん、小西桜子さん、河合優実さん、「King Gnu」の井口理さん、鈴木卓爾さん、村上虹郎さんが出演されていますが、小西桜子さんの活躍が個人的には嬉しい。
「初恋」でデビューされた時は80年代のアイドルみたいな感じでしたが、いろんな作品に出られていて、綺麗になってる♪
テアトルシネマグループの劇場で上映前に流れる「新所沢レッツシネパーク」のCMにも出演されていますしね♪
石井の青春の様々な挫折と役者としての苦悩は決して他人事ではない。
夢を追う事や現状に悩む事。皆何処かで折り合いをつけながら、前に進むけど、「こうじゃなかった」と思う事がある。これがもっと歳を重ねると、そのきっかけや小さな綻びが遠い昔になるけど、20代なら全然遠い昔にならないし、今でも取り戻せるし、取り戻そうとする。石井の気持ちや行動はまさしく青春の代弁者。そして佐々木は青春の象徴。
その対比とバランスが良いんですよね。
佐々木の高校卒業後が何処か諦めムードで切ないけど、カラオケボックスで一目惚れしてナンパしたあんまり良い事が無かった様に見える佐々木に明るい兆しみたいに見えて嬉しい。
周りのいろんな人が悩んで泣いているけど、佐々木は泣いてないんですよね。
それが胸にグッと来る。
そんな佐々木が癌で亡くなるのはビックリですが、何処か佐々木らしい幕の閉じ方。
ラストの方がビックリしたw
でも、それも佐々木らしいw それを皆で泣きながら全力の佐々木コールをする。
このラストが個人的にも好き。馬鹿馬鹿しいと言えば馬鹿馬鹿しい。でも青春映画っぽい。
佐々木コールにノセられて全裸になる。それを先生に咎められても気にしない。それどころか走って逃げる。
チャリンコで2ケツして線路沿いの道を全力疾走。それを全力で追いかけて、全力で走る。
友達の部屋でダベりながらレトロなサッカーゲームが楽しい。
カップラーメンを皆で食べる。ちょっと手間暇をかけて佐々木スペシャルを作ってくれる気持ちが嬉しい(でも美味しいとかどうかは不明w)
「好きな事をやれよ」と言ってくれて、そんな自分を応援してくれる事を知った時が泣ける。
何処までの佐々木の行動が懐かしくて、キラキラしていて愛おしい。
学生時代にバカやってクラスの中心的だった奴って、一人や二人はいるんですが、“あいつ、今どうしてんのかな〜”って言うぐらい会わなくなっているのがいる人には絶対共感出来て、全力の佐々木コールが頭から離れなくなる作品ですw
好みはありますが、個人的にはめっちゃくちゃお勧めの作品で、「リンダリンダリンダ」とかが好きな人ならハマります
機会があれば、是非観て欲しい作品です!