劇場公開日 2020年10月16日

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「中国映画でこんなに見事なエンターテインメント映画を観たことがなかった」薬の神じゃない! shoheiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0中国映画でこんなに見事なエンターテインメント映画を観たことがなかった

2020年10月18日
PCから投稿

中国はアート系の映画に何人か逸材の映画作家がいて、そうしたアート系映画の水準は間違いなく高いのだけれど、これまでエンターテインメント作品で面白いと思った映画はなかった。この映画は私が初めて観た水準の高い中国のエンターテインメント作品だと思う。内容から言って、張芸謀作品かなかなか公開されなかった頃のような一昔前だったら、公開されなかった作品なのではないかな? 時代をわざと古くしたことでその検閲を回避できたのかもしれない。実話に基づいているので、その実話に対する人民の支持もあったのかもしれない。この映画本当によくできている。キャラの立たせ方、物語の展開、泣かせどころがちゃんと決まっている。当初は妻との離婚調停や介護でやさぐれていた主人公が、だんだん凛々しくなっていく変化は、役者さんの力量だろう。韓国映画のソン・ガンホ的な主人公の変化なんだよな。観る前は当初はもっと「犯罪」の映画だと思っていたのだけれど、いや、まったく正反対の「正義」の映画だった。法の形式的な遵守ではなく、自分の信念を貫いて、利他的に行動する話に、スカッとしたものを感じた。ハリウッドでもリメイクしないかなとも思ったけれど、実は「ダラス・バイヤース・クラブ」って映画があったね。でも「ダラス・ハイヤーズ・クラブ」より面白かった。

shohei1484