「【”正規薬品と非正規薬品(不認可ジェネリック薬品)と何が違うのか!” 怠惰な男が、あるきっかけで難病に苦しむ人々のために真人間になって行く姿を描いた作品。前半はコミカルだが、後半は心に沁みます・・。】」薬の神じゃない! NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”正規薬品と非正規薬品(不認可ジェネリック薬品)と何が違うのか!” 怠惰な男が、あるきっかけで難病に苦しむ人々のために真人間になって行く姿を描いた作品。前半はコミカルだが、後半は心に沁みます・・。】
ー冒頭、中国映画らしからぬインド映画の風合が色濃く漂う作品であるなあ、と思っていたら、矢張りインドがしっかりとストーリーに絡んでいた・・。-
◆強壮剤を売るチョンは、妻からは離縁状を申し渡され、離婚調停中。愛する息子は懐いているが、万事が上手く行かない。だが、ある日、白血病に苦しむ謎の男リュに誘われ、インド製の白血病に効く薬を密輸するところから、彼の運命は大きく変化していく・・。
■感想
・チョンの最初は”息子を手元に置きたい、病気の父を何とかしたい”という思いから、金もうけのため、インドに渡り白血病のジェネリック薬品を密輸入する辺りまではコメディ要素が強く、ストーリー展開もやや粗い。
・白血病の娘を持つスーフェイ(夜は健気に怪しげな上海のダンスバーで踊り子をしている)の白血病患者のネットワークを駆使し、一儲けした後、チョンは当時は非合法だった薬品密輸から手を引き、リュ、スーフェイ、”黄髪”(彼の存在が良い)、神父たちとのチームが解散してしまう辺りから物語は面白くなる。
・大金を得たチョンは縫製工場を経営するようになるが・・・。リュの妻からある事実を告げられ・・。
ーチョンの悩みながらも、ある決断をする辺りから顔つきが”漢”になる。離れて言った仲間も徐々に戻り・・。特に”黄髪”や、別れた妻の弟の刑事との関係性が良い。-
・最後に流れるテロップを観れば、この映画がある意味、中国の”今ではちゃんとやっていますよ・・”と言うメッセージ(人によっては、プロパガンダとまで言うかもしれない)が気になった事は事実である。
が、逆に考えれば、"かつてはこの様な国だったのだ"と私達は知ったのであるし、ジェネリック薬品と、正規薬品との値段の違いと、"その背後にある事"は日本でも厳然として、存在する。
テーマ性としても非常に面白いので、私はこの作品を”是”とする。
<惰性で生きてきた男チョンが、あるきっかけで多くの白血病患者を”命懸けで救った行為”は崇高であると思うし、彼が護送車で送られるシーンの道の両側に立つ多くの白血病の患者たちが、マスクを外し、感謝の意を示すシーン(その中には、亡きリュ、”黄髪”も穏やかに笑っている姿も・・)には、グッと来てしまった作品。>