「安楽死がテーマ」ドクター・デスの遺産 BLACK FILE 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
安楽死がテーマ
2020年。深川栄洋監督。原作・中山七里。
「お父さんが悪いお医者さんに殺された」
小学生の一本の通報から、安楽死請負人「ドクターデス」の存在が浮かびあがる。
謎の医師と看護師の2人が防犯カメラに映っていた。
犯人のモンタージュ作りの過程で、依頼主はドクターデスをかばい嘘の証言をするので、
顔が判明しなかったが、高千穂刑事(北川景子)の機転で似顔絵が完成する。
警察のローラー作戦で、医師を語る男が逮捕される。
しかし黒幕はその男ではなくて別の人物だった。
(容疑者2人の名前が公開前には秘密にされたそうです。)
犬養刑事(綾野剛)の娘が難病(重い腎臓病)で、その10歳の娘がドクターデスに死の依頼をしてしまうあたりで、安楽死問題は、快楽殺人にすり替わるのが、残念でした。
10歳の娘の命と、末期癌で助かる見込みのない患者の命は比較のしようがない。
子供の命は親にとって、命に代えても守りたいもの。
一方で、私の親友の夫が2ヶ月前から、悪性リンパ腫の末期で危篤と言われてから、
2ヶ月も意識不明です。
親友は葬式の手配も済ませて、面会の度にPCR検査を受けて2時間待って入室。
意識のない夫と5分間の面会・・・5年間の入退院で疲れ果てて、死を待っている・・・
と、話しています。
高栄養点滴のために血糖値が上がるとインシュリンを打ち、本当に手厚い看護ですが、
虚しさを感じると言います。
一時、尿が出なくなり人工透析も行われていました。
寝たきりでは退院もままならず、家に帰れば癌の入院給付金もおりません。
現実とはこんなものです。
まあ、この映画は単なるエンタメ刑事アクション。
綾野剛の熱血刑事と北川景子の気の強い理性派刑事のバディぶりを、
けっこう退屈せずに楽しく観ました。
木村佳乃の怪演も気合を感じました。
安楽死は日本の刑法では無理ですね。
「死」が忌み嫌われタブーの社会では、建設的議論は出来ませんから・・・。