「普通のドラマ(ドクターデスの正体には裏切られた!)」ドクター・デスの遺産 BLACK FILE panpan00さんの映画レビュー(感想・評価)
普通のドラマ(ドクターデスの正体には裏切られた!)
本作のテーマは安楽死。俺自身が難病ではないから分からないけど、もしも家族が安楽死を受け入れたのであれば、安楽死してもいいんじゃないかな?と思ってしまう。日本では当然禁止なんだけど、アメリカで安楽死を執行したニュースを聞いたことがある。当事者でないと分からないが、自身が難病で生きることに辛さを感じた場合、それでも生き続けなくてはいけないのか?難しいテーマだなと思った。家族としては長生きして欲しいと願うだろうが、本人が生きたくないわけだから。
皆が酷評している通りで、凄く面白い映画かと言うと違うと思った。映画と言うよりドラマの作りだった、CMの入らない2時間ドラマでした。作品の作り(カメラワークとか)は昭和の刑事ドラマみたいで、余りリアリティーを感じなかった。敢えてなのかもしれないけどカットが古く感じた。それに音楽の入れ方もなんか古い。
脚本(原作が良いのだと思う)は素晴らしいと思う。ドクターデスの正体には裏切られた。目の肥えた方なら、フラグが立ってたとか、ありがちな展開かもしれないけど、俺からしたらビックリだった。ドクターデスの正体が明かされるのは映画の最後ではなく、真ん中辺りなので、割と早い。
木村佳乃と柄本明については、悪役なのでシークレットとされているのだが、二人の演技は素晴らしかった。ドクターデスの正体は雛森めぐみ(木村佳乃)だったんだけど、最初、木村佳乃に気付かなかった。かなり汚い容姿であった。フィフィに似てた。
柄本明は浮浪者なんだけど、かなり汚いジジィになってた。小さいおっさんという感じで、シン・ゴジラで首相を演じてたとは思えない。
主演の綾野剛は良かった。彼の作品は余り観たことが無かったけど、ちゃんとした俳優だった。綾野剛演じる犬養隼人は正義感が強いんだけど、何故か走るのが苦手。映画冒頭で子供を追いかけて転んでしまうし、柄本明を追いかける時も脇腹を抑えて走っていた。今回のテーマである安楽死について犬養隼人は反対の立場である。犬飼隼人は腎臓の病気で人工透析を受け続ける娘を持っているが、娘の事を愛しているし、健康になって欲しいと願っている。俺が父親でもそう思う。腎臓だと移植したら治るみたいだけど、もしも、もっと難病だったら?と思うとどうなんだろう?
北川景子の作品も余り観ないんだけど、ちゃんと役者をやってた。顔は綺麗だなと思った。演じた高千穂明日香は似顔絵を描けるし、格闘も出来て優秀だ。舞台挨拶をライブビューイングで拝見したんだけど、犬飼隼人と高千穂明日香のペアは警察の中で最強のペアと呼ばれている設定だそう。
※舞台挨拶の内容は下記。
舞台挨拶は30分。綾野剛、北川景子、監督の3人が登壇。
北川景子は綾野剛より速く走ることが大変だったそう。綾野剛は30%で走っていたらしいけど。
シークレットである柄本明と木村佳乃の事が言えてスッキリ。公開前のインタビューでウッカリ名前を出してしまったそうだけど、収録だったからばっさりカットした。
寺町亘輝(柄本明)を追いかける綾野剛は、わき腹を抑えて辛そう。寺町亘輝を捕まえた後は吐くところまで演じていたそうだが、監督は最強ペア設定だと聞かされてそのシーンはカットした。
木村佳乃は直前までおしゃべりしてたりして明るいのだが、撮影に入るといきなり役に切り替わって凄いと感じたそう。
撮影中に北川景子の夫、DAIGOが差し入れでシュークリームを持ってきた。シュークリームは冷えていて、夏の撮影だこらあっという間になくなった。DAIGOは監督に自分を売っていて、俳優を狙ってるとか。
※ここまで
犬養隼人が取り調べてドクターデスの話が出た時に真顔だったけど、俺なら笑ってしまうだろう。
最後に高千穂明日香がバイクで犬飼隼人の居場所に辿り着くのだが、どうやって居場所が分かったんだろうと不思議だ。
ストーリーざっくり。
男の子(馬籠大地)が父(馬籠健一)が殺されたと警察に電話で話した。事情を聞くため、刑事の犬飼隼人と高千穂明日香は馬籠家を訪れる。男の子から父が亡くなった日に別の医師が自宅を訪れた話を聞く。葬儀の日、馬籠健一の火葬直前に犬飼隼人と高千穂明日香は遺体を鑑識に回すことを決断し火葬を防いだ。
鑑識の結果、血液中のカリウム濃度が異常に高く、塩化カリウムによる殺害が疑われた。
犬飼隼人と高千穂明日香は大地の母、馬籠小夜子を取り調べると、馬籠小夜子はドクターデスに安楽死を依頼したことを告白した。
ドクターデスのキーワードからウェブサイト『ドクターデスの往診室』の存在が発覚した。サイトの情報から?過去に安楽死を依頼したと思われる人物が洗い出される。(正確には覚えてません。)
犬飼隼人と高千穂明日香は安楽死を依頼した北条正宗(お金持ち)の家を訪れる。北条の息子は音楽家だった。北条の息子が撮影したビデオデータを犬飼隼人は何度も鑑賞し、ふとこの動画を撮ったのは誰だ?車椅子を押すのは誰だ?と考えた。動画の中で北条の息子が乗る車椅子を押している人物がグラスのようなものに反射して映っているので、その画像を画像解析したところ、女性であることが判明する。
また、安楽死に関わった遺族から、医師の似顔絵を複数枚作成するが、顔が一致しなかった。
養鶏場で働く雛森めぐみの取調べを行う。(なぜ特定出来たか覚えてません。)
雛森めぐみは元看護師であったが5年前に病院が潰れ、それからは別の仕事に携わっている。養鶏場で働くようになったのは2年前からである。取調べの中で、雛森めぐみは関与を認めたが、自身はタナカイチロウに雇われた、痛み止めだと思っていたと主張する。似顔絵を見せるも、医師の顔に似た似顔絵は無いようだ。(タナカイチロウと言ってたと思うが、wiki見ると寺町亘輝)
この事件に関わる刑事らはタナカイチロウを調べるも特定出来なかった。
高千穂明日香は以前、犯人の似顔絵を描く仕事に携わったことがある。犯人の顔を正確に描かせないようにするために、嘘の特徴を供述する人がいるが、顔が似ていないと安心するようで後半は本当の特徴を述べると学んでいた。そこで、タナカイチロウの似顔絵を作成した警察官らに後半に聞いた特徴を聞いて、似顔絵を再作成した。
高千穂明日香が描いた似顔絵を北条正宗に見せると、この男で間違いないと認めた。
刑事らは似顔絵の男を探す。男が現れた場所には特徴的な砂があり、それに含まれる藻から、3箇所の河川敷に絞られている。
犬飼の後輩刑事の沢田圭が休憩中のタクシードライバーに聞き込みすると、似顔絵に似た人物を見たことがあると応える。
沢田は本部に連絡し、犬飼隼人と高千穂明日香が現場に到着する。沢田はあそこだと示すのは河川敷内に建てられた浮浪者の小屋。犬飼と沢田は小屋を挟むように近付く。沢田が寺町亘輝に声をかけると、寺町亘輝は逃走する。遠くから監視していた高千穂明日香は寺町亘輝を待ち伏せて捕まえる。
寺町亘輝を取り調べるも、証拠が無いだろうと応える。
養鶏場で働く雛森めぐみを監視していた刑事らが、雛森めぐみが消えたと犬飼に一報が入る。犬飼隼人と高千穂明日香は雛森めぐみの自宅を訪れる。雛森めぐみの住むアパートは区画整理で立ち退きが進められていて、雛森めぐみ以外の住居者はいない。
雛森めぐみの隣の部屋のドアノブが新しいことに違和感を持った犬飼隼人は、ドアを蹴破ると部屋の中に安楽死した人達の写真が飾られていた。ドクターデスの正体が雛森めぐみであったことが判明する。
雛森めぐみはカウンセラーとして犬飼隼人の娘、沙耶香が入院する病院に現れる。沙耶香は腎臓病を患っており、移植するしか回復の方法がない。雛森めぐみは沙耶香にお茶を飲ましながら、父、犬飼隼人が沙耶香のせいで苦しんでいると伝えると、沙耶香は気を失ってしまう。
沙耶香は目を覚ますと、机の上のタブレットに『ドクターデスの往診室』が表示されているので、アクセスしてしまう。沙耶香はサイトから自身の安楽死を依頼する。ドクターデスが最後の場所として希望の場所があるかを聞くと、沙耶香は父といて一番楽しかった場所と回答する。
雛森めぐみは病院の屋上から犬飼隼人に電話する。刑事らが音声を解析すると建物の屋上らしいことは分かったが場所の特定は出来なかった。
沙耶香はドクターデス(雛森めぐみ)が待つ病院の地下駐車場に向かうと、父に電話をする。電話の内容はほとんど無く、『ごめんなさい』を繰り返す。
犬飼隼人と高千穂明日香は病院に向かったが、沙耶香の姿は無かった。再び沙耶香から電話が入るが、電話をかけたのは雛森めぐみであった。雛森めぐみはこれから沙耶香を安楽死することを犬飼隼人に伝える。そのため、沙耶香の一番楽しかった場所に一人で来るように要求される。
犬飼隼人は高千穂明日香の腹を殴り、一人で雛森めぐみの場所へと向かった。高千穂明日香は回復後、直ぐに犬飼隼人の後を追った。
犬飼隼人が雛森めぐみと沙耶香の居場所に到着すると沙耶香はベッドの上で眠っていた。沙耶香には点滴の針が刺してある。犬飼隼人は沙耶香の所に近づこうとすると、雛森めぐみから電話があり沙耶香に近付くとスイッチを押して、塩化カリウムを注入すると脅す。雛森めぐみは犬飼隼人を脅したものの、スイッチを押して塩化カリウムを注入しようとする。犬飼隼人は沙耶香から点滴の管を抜き塩化カリウムの注入を防ぐが、後ろから現われた雛森めぐみに首に注射される。(塩化カリウムによる殺害において、塩化カリウムの注入前に注入する溶液。具体的に何かは不明。)
犬飼隼人は弱ってしまい危機的な状況となる。そこに高千穂明日香が駆けつける。雛森めぐみが今にも犬飼隼人に塩化カリウムを注入する所で、雛森めぐみを蹴り飛ばす。雛森めぐみは気を失う。犬飼隼人も高千穂明日香が駆けつけた時には気を失っていた。
雛森めぐみは独房の中で安楽死を望んだ者を殺害してきたこと感謝の言葉を思い出し、満足そうである。