チィファの手紙のレビュー・感想・評価
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離れるほどに輝きを増す
ラストシーン、カメラがゆっくりとズームアウトする。このまま映画が終わらないでほしいと願う私の希望も虚しく、スクリーンは暗転し、エンドクレジットが流れる。次の瞬間、涙が止めどもなく溢れ出した。やがて劇場内に照明が灯る。夢のような映画の時間がいつしか終わってしまうように、無限に思えた青春時代もいつの間にか終わりを告げる。
中学時代の学生たちの未来には無限の可能性が広がっていた。夢や目標がなくても、何者にもなれる可能性を秘めていた。それから30年が経ち、思い描いた未来を手に入れられただろうか?あの時の輝きや希望は残っているのだろうか?この作品には根っからの悪人は出てこない。けれども、追い求めていたものと違う人生を歩んでいる時に、人はどう折り合いを見出していくのか?誰もが持つその人生の不器用さが終始心に突き刺さる。
青春時代という言葉があるが、その意味を知るのはその時代を過ぎてからではないだろうか。学校を卒業し、大人になり、ふと自分の過去を振り返り、あれが青春だったのだと気づく。初恋が成就しようとしまいと、その想いは記憶の中で美化され、永遠となってその輝きを増す。その輝きは時に現在の自分の足元に大きな影を生み出し、時に希望となって闇を照らす光と化す。
物語の後半、登場人物たちが人生の答え合わせかのような行動をするが、それは単なる自己満足の辻褄合わせなのかもしれない。それがどちらであっても構わない。その行為こそが彼らの人生の次なる一歩を踏み出すために必要なプロセスであると理解できる。封筒に残された最後の手紙の意味を、それぞれの登場人物たちがどのように受け止めたのかは観る者に解釈を委ねるところだろう。だが、少なくとも私には眩い過去に囚われた人々が、その眩い過去に背中を押されて進み始めたように見えた。それでも、時々はまた振り返ってしまうのだろう。たとえ背を向けたとしても、視界に入り込んでくるほどの輝きがその過去にはある。年齢を重ねて、その年代から離れれば、離れるほど、青春時代はその輝きを増すばかりだ。
比べる自分
個人評価:3.4
ラストレターの物語に、情報を変換し見てしまう自分が本作に入り込む邪魔をしてしまう。ラストレターファンなら、そこも楽しめる部分だが、また比べる自分が妨げにもなってしまった。
ただあの物語を別の土地、別の人種の角度で見れ、またあのコトバを聞けてよかった。
中国の30年の方がノスタルジック
日本語版のラストレターもとても良かったです。
岩井俊二監督好きです。
こんなに早く中国版出すのか、、、イメージ壊されたら嫌だなと思って鑑賞しました。
結果、とても良かったです。
日本語版と基本的には同じストーリー。イメージ通り。
30年前の希望に満ちた中学生時代と、40代になった現在の明暗。ただ、昔を懐かしむだけではなく、「それでも良いのだ」という肯定もあるので、後味がとてもいい。
日本語版と違うのは、季節と都市かな?
日本語版は夏、田舎というイメージだったけど、中国版は冬の都会というイメージ。
あと、役者を知らないので、先入観がが無くて良かったです。これが福山の中国版?と思ってしまうのは、日本人だからでしょう。
2人の少女役も澄んでいて良かったです。
また、中国の30年と日本の30年は違うものだと思いました。中国の30年は、こんなに差があるのか。と。
また、、高層マンションのような最近の都市と、土壁とレンガと古い団地のような一昔前の雰囲気のギャップもいい。
街を見るだけで、ノスタルジーやワクワク感があるのは、私にとっては中国は外国だからかと。
この点は日本語版よりいい。
映像も、光と空気感みたいなものが良い。
音楽も良かった。サントラ欲しい。
日本語版も良いけど、中国版もとても満足。
いい映画、、、観たなぁ、と余韻が素晴らしい。
一点だけ、大人のインチャン役の方。福山のイメージに引っ張られてちょっとイメージが違った。
どうしても「マツモトクラブ」に見える、、、汗
素晴らしかった。
なんとも素晴らしい作品だった。
胸いっぱい。そして切なくて、やりきれなくて、あたたかくて、ほっこりもする。
おっちょこちょいな妹のヨコシマなようにも見える純真な手紙から始まるストーリー。
少女時代の妹役の子。なんともかわいくて、そして素晴らしい。
息子を叔父叔母が追いかける夜道のシーン、泣いてしまった。強くなれよ、と思わずにいられない名シーンだった。
娘役の少女の笑顔、泣き顔、横顔も切なくて美しくて、深津絵里に見えるほどだった。
肉親のお別れを卒業に例えたのも、素晴らしかった。余計に悲しみは増すかもしれないが、ひとつの季節が終わるとまだ見ぬ新しい季節が始まる、という普遍的な人間の時間に戻っていくというシンプルで骨太な人生観を見せつけられた。
素晴らしい作品だった。
短く評価/観て下さい
人は生きて喜び悲しみ
ときめき悲しみ そして
後悔して 前へ
男の子も泣いていいんだよ
字幕 岩井俊二
ラストレターとくらべてしまい
違いも探してしまいますが、
ストーリーが好きです
私のラストレターのレビューを
ご覧下さい
もうひとつのラストレター。
岩井俊二監督が松たか子、福山雅治で描いた「ラストレター」と同じ原作で中国で製作した「ラストレター」。アリババがお金を出している。
僕は日本版のラストレターを高評価しているが、こちら中国版もなかなか良い。特に、中国の「近代化」のスピードが背景にあることで、後進国的な過去と、発展した現在のギャップが、時間軸をより深く感じさせて心に訴えてくる。日本版は過去も現在も、あまり変わらない風景だったので、岩井監督のイメージとしては中国版のほうがマッチしているかもしれない。
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