「【はじめのラストレター】」チィファの手紙 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【はじめのラストレター】
こちらの作品が、ラストレターより先だと知ったのは、映画のキャプチャーを読んだからだった。
映画ラストレターは、日本ではお馴染みの俳優さんばかりで、ちょっと出来過ぎ感は強くて、実はこちらの方が、あらすじは知ってて先入観はあったが、心に染みる感じがした。
何故だろうか?
曇天の重苦しい空。
思い出の風景も、埃っぽく、少し重苦しい。
しかし、登場人物の若者達は、どこか迷いながらも前向きで明るく、力強い。
そして、今。
曇天は変わらないが、中国の街並みが近代化されたことが伺える。
しかし、大人になった昔の若者達は、どこかに閉塞感を抱えて、日々追われてる気がする。
しかし、姉妹の子供達は明るく、映画に描かれる昔を思い出させる。
前向きに生きようとする決意を見ると、若者は希望に満ち溢れ、変わることはないのだと改めて思う。
好きだった人。
思い出。
僕達にもそれぞれ、心にしまってある様々な思い出のシーンがあるのではないのか。
残された手紙や、小説に残された物語も同じだ。
キラキラした思い出は、自分自身が前向きになることによって、きっと、さらにキラキラするのだ。
だから、この曇天の中国を舞台にし、皆が前向きに生きようとする設定に、共感するところが大きいのかもしれない。
僕はやっぱり、岩井俊二作品が好きだ。
今晩は。
そして、お帰りなさい。
リリカルな、心に響く散文詩のような文章。
"僕達は・・"というフレーズで語りかけるように、呟かれるメッセージ。
この映画サイトには、多数の素晴らしきレヴュアーの方々がいらっしゃいますが、私にとってはレヴューの品性、該博な知識に、いつも刺激を受けていた素晴らしきレヴュアーの方の復活を心から嬉しく思います。
では、又。