はちどり(2018)のレビュー・感想・評価
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ノスタルジーだけじゃない思春期映画
とても好きな作品だった。
時代は94年のソウル、主人公は中2の女の子ウニ、出てくる場面は家、学校、塾、実家でやってるお餅屋さん、カラオケ、背伸びしてクラブ、そんなもの。
すごく狭い世界なんだけど、ただ思春期のノスタルジックな話でもなくて、1人の女の子の生活にある違和感や不安が、確実に外の世界と繋がっている。
家父長制とか学歴主義とかそういう言葉、中学生の主人公は知ったこっちゃないんだろうけど、偉そうな男兄弟に反発するし、受験や学歴の事ばかり大人に言われるのはついて行けない。当時世の中を騒がせたニュースは中学生の日常にもちゃんとしっかり衝撃を与える。気持ちはいつも揺らいでいて、男の子を好きになってみたり女の子とキスしてみたりする。
あの頃ただ納得出来なかったこと、不安だったこと、今なら分かるよね。それぞれ闘おうね。そう言われてるような気がして、ラストが心地よかった。
どこかかったるくて透明感のある映像も揺らぐような音楽も美しかった。
少女の心を描いた興味深い作品
終始少女観点で物語が進んでいく。貧困、恋愛、家族への思い、そしてそれに関わる彼氏、友達、先生といった人が絡んでいく興味深い映画でした。
最後事故に遭遇するという衝撃的な最期と、それに伴う少女と先生のつながりは感動的にも思えました。
ただちょっと作品における強弱がないので、少し退屈する感があります。
もう少し強弱があると、もっと感動的に思えるなあといった感想でした。
新しい韓国映画
今まで知ってる韓国映画ではなく、台湾映画や日本映画、それらの源流になるフランス映画に似たゆるやかな描写の連続する韓国映画だった。
ドラマツルギーでぐいぐい押してくるストーリーの映画でなく、絶えず光と風で物を語るというか、キャスティングに至るまでかなり統一された趣味で捉えなおされた韓国の片隅の人生を観た気がする。
ソファの下に見つけた破片ひとつで伝わる時間、感情に言葉はいらない。そういう映画表現の韓国映画を観れてよこった。
タイトルなし
キム・ボラ監督、彼女の長編デビュー作品。作品が醸し出すうっすらした雰囲気、
多くを語ること無くこちらの想像力に
任せてくれるような余白の取り方、
それでいてしっかりとした密度で訴えてくる、静かに心に沁みるとても素敵な作品でした。
多分、誰もが経験したことのある
10代前半の不安定だけれども、
目に映るもの全てを全身で受け止めることの出来る柔らかな感受性を持ち合わせた時期。
そんな思春期の少女ウニ、ウニと家族、
親友、女性教師との関わりと1990年代の韓国社会をも作品の中に投影してゆく。
少女ウニの透明感、
ウニを優しく見守る、
空気のような存在のヨンジ先生
二人のやりとりを
観ているだけで心が安らぐ
ヨンジ先生の煎れるお茶は
何故だか落ち着く
家父長制の強い韓国社会のなかで
父と兄がある時見せる表情や感情は、
彼らを支配しているものから
一瞬だけでも解放されたのかもしれない
作品を観てから1週間しか経たないけど
ウニとヨンジ先生にまた会いたくなって
しまった。
なので今日、もう一度会いに行きます。
彼女に世界はどう映っているのか…
地味だけどとても良い映画だと思う。最近の映画は狙い過ぎている作品が多くてちょっと疲れていたが、これはそういう奇異をてらった所が無くて心に染みる。でも目に見えにくい確実なテクニックがあると思うし、何よりも登場人物一人一人の心情に寄り添っている演出がとても好ましい。あの少女がこれから世界をどう見てゆくのか?そう考えながら帰路に着いた。
ちなみにコレが監督のキム・ボラにとって長篇デビュー作とのこと。今後がとても楽しみだ。
そこまで良かったのか?感性が鈍いのかな?
各方面で絶賛されてますね。何がそんなにか良かったのでしょう?何も起きないのですが、なんか不穏な?不機嫌な?雰囲気に溢れてほとんど劇伴もなく、あの頃の少女の、韓国の一瞬を切り取った作品です。
ある程度韓国の闇は知っていたし特に驚きもなかったので何が皆さんを魅了したのかわかりません。ただ主役の女の子はすごく可愛い。往年の林寛子みたい。あれが可愛くないとは韓国は美的感覚が違うのか?そしてあの程度は韓国では闇ではないのか?いずれにせよ今作は僕にはちょっと物足りない1本でした。ただパラサイトと比較してる人がよくいますが何の意味があるのかな?と思ってしまいます。あれはあれで監督なりの韓国を描いたいい作品なのに。
それにしても韓国映画は韓国の闇と慟哭を描いた傑作が沢山あるけど、国民はその闇を消そうとは思わないみたいですね。人ごと、エンタメだと思って、ただ見て帰るだけなんですかね。
心にチクチク気持ちい映画です。
ウニは伯父さんに「何歳になった?」と訊かれ、「中2です」と答える。
そう、あの年頃って、「何歳か」よりも「何年生か」の方が決定的な位置付けだった。
そして魔の中2。立派なオバサンの私にも、「もちろん不器用な中2を生きた!」ことをウエットに思い出させてくれる。引き込まれる。団地の室内だって、当時の我が家と同じような照明器具、観葉植物が設えてあるではないか。
結婚なんてクローゼット?、どうでもよくなる?って親が言ってた?
面白いやりとりだなあ。中2にとってはそもそも家族なんて空気だ。あの時代にどんな友だちを持つかって、そちらの方が運命。というにはあまりにも運命的すぎるのだ。
学校は軍隊、家庭は儒教的、運命の友だちは、しかしあまりにも幼く、時にすぐ裏切る。
そんな中、素敵な塾の先生に巡り会えたウニはいいなあ。出会いがあれば別れもある、と言ってしまうには悲しすぎる運命のお別れもあったけど、映画的には韓国ソウルに起こった当時の事件を「巧く」使った。そして今日も明日もそんな事件はいつ起こることの知れなさも思い起こさせてくれる。
30代の女性監督のこれからが楽しみだ。
傑作。少女が世界を気にし始める。
すげえな…。
いつまでも物語に寄り添っていたい、と思いながら最後は観ていた。
少女が大人の世界を気にし始める。唾棄すべき大人の身勝手さがおかしいと思い始める。許せない。でも、大人たちの不器用ででも純粋な愛や思いやりを知る。
少女が広い世界を気にし始める。美しくやさしい人間に出会う。当たり前のように理不尽が非合理が繰り広げられる現実も知る。
まったくもって最高級の思春期映画。
1994年は僕も思春期真っ只中だった。
あの頃に比べて、今の時代は生きやすくなったのだろうか。
ふんわりピリリと現代風刺も効いている。
かなりの名作にして、あの『パラサイト』に勝るとも劣らない。
素晴らしい作品でした。
90年代の朝鮮半島
学歴至上主義、経済成長、グローバル化の加速など、90年代の韓国のムードを背景に
淡くほのかな百合恋愛、家族関係に苦悩し未来への夢と絶望が交錯する思春期の少女の心象風景が静かに流れていく。
たぶん韓国民には刺さるコンテンツなんだと思う。
そこに暮らし、そこで生きていなければ
感じられない部分があるのが外国映画。
モヤモヤを解決するべくいろいろ調べて
今後の交流に活かしたい。
シガーロスみたいな音楽がよかった。
が、安っぽい歌謡曲で踊りまくるシーンは
ドン引き。
あのシーンにあの曲をはめた意図を
知りたい。
ベネトン姐さん
1994年ソウルの団地で暮らす餅屋夫婦の末っ子で、中2女子の主人公の心情をみせる物語。
過剰な程に学歴社会の韓国にあって、更に親父や兄の威張り散らし方が強烈で、日本人からしたら、むか~しの家族の形と最近の社会性を合わせた様な価値観。
両親から特に気に掛けて貰えなかったり、彼氏や友達のこととか、中学生らしい悩みや生き辛さだったり、流されてしまう弱さや、話を聞いてくれる優しい人への依存だったりというストーリーを、当時の出来事を絡めてみせていて、ちょっと長いしテンポももう少しながら、なかなか良かった。
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