「キム・ウニ14歳(君は私だよ)」はちどり(2018) bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
キム・ウニ14歳(君は私だよ)
あんりゃーー、こぉりゃ良いわーーー。
欧州的、東欧的。例えばポーランドとか旧東ドイツとか。
フランスじゃないし、絶対に英国でもないし。
ここんとこ、毎週韓国映画を見てる気がしますけど、これがダントツに良かった。
ハチドリは、色んなものの象徴として扱われる存在ですが、それは地域・時代により全く異なるという珍しい存在です。
戦神。メッセンジャー。儚いもの。
映画タイトルに込められた意味は「儚きもの」かなぁ。
この世界は、しょせん「儚いもの達の仮の住まい」に過ぎない。何が正しい生き方か、間違った生き方なのかに答えなどない、移ろう儚い世界。だから、どう生きるかは、あなたが決める事。そうして生きて行く日々が、愛おしく、素晴らしい。的な。
初めてのボーイフレンド。してみたかっただけのキス。親友との不良遊び。裏切り。別れ。家庭不和。垣間見る両親と言う名の大人の世界。女子高あるある。ちょっとした病気。残るかもしれない傷跡。大人たちが騒いでいるけど良くわからないニュース。年上の女性への憧れ。大きな事故。二つの死。背伸びと成長。
14歳の少女の120日余りの日々を通して描かれたものは、そんなものたちで、誰もが経験して来たこと。大人たちがここまで来るときに経験して来たこと。14歳の少女が特別な行動を起こさないところがリアルでした。
君は俺だよ。私だよ。私達だよ。
って言う映画でした。
主演ののパク・ジフは2003年生まれの16歳。先生役のキム・セビョクは、ホン・サンス監督作でお馴染みのベテラン女優。監督・脚本のキム・ボラはコロンビア大学院で映画を学んだエリート。
14歳の少女を軸に描かれた静かなリアリズムは、あまりにも韓国離れしています。喜怒哀楽の4要素のデフォルメを排除した、本当に欧州的な世界観が新鮮。だけど。長いってw
とにかく、長い。これが難点ですかねぇ。飽きるよねぇ。要らんエピソード、幾つかあるよねぇ。って思いました。
いずれにしても、キム・ボラ監督とパク・ジフには、今後も注目ですです。
良かった。とっても。
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7/30 追記
ラスト。社会見学だか何だかわからないけど、集合場所に集まった同級生たちを見つめるウニの場面。ルイ・アームストロングの "What a woderful world" の世界だよねぇ。
で、グレタ・カーウィグの "Ladybird" の中で、進学が決まり、街を離れることになったシアーシャ・ローナンが、街の景色を心に刻み込むためにサクラメントの市街をクルマで走り回る、あの場面を連想してしまいました。
同じだよなぁ。
女性監督が奇しくも。
この時代に、What a woderful world" の世界をテーマに選ぶんだ。
Positiveで良いですよね。とにかく、Positiveなテーマが良かった。
今晩は。
”欧州的な・・” 成程。
私は、小津監督の世界を何となく想起しながら観ていました。
ヨンジ先生が贈ったスケッチブックの件も成程、ですね。有難うございます。勉強になります。(美術は少し苦手なんです・・)
スタンダールの作品の件は、私も少し考えたのですが、中学生のウニが”インテリの先生”に読ませるなら・・という事で選んだ作品だろうという事で、それ以上の深読みは止めました。
ウニが「赤と黒」を読んでいる可能性は皆無だろうし、これだけ秀逸な脚本を書くキム・ボラ監督がそのような瑕疵は犯さないだろうという、勝手な推論です。
私は、新たなる、韓国映画を観れた事が嬉しかったですね。
では、又。
ベイビー・ドライバーはドルビーシネマで再上映してました。4回も観てしまった私です。明日からはダンケルク。お近くにドルビーシネマありませんか?チェックしてね。音も色も素晴らしいです。
Bloodtrailさん、すみません、この映画見てません。が、韓国映画いいなと最近思っています。そのきっかけはBloodtrailさんからのアドバイスです。激しいタランティーノ含めて、多分、色々見過ぎて頭がごちゃごちゃなので、今、休んでます。いずれにしても、ありがとうございます。