「心のひだに寄り添う様な作品です。」はちどり(2018) 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
心のひだに寄り添う様な作品です。
映画好きに密かに話題の作品で都内では渋谷の「ユーロスペース」のみの上映と謂うなかなか観賞するにはタイトな感じで、コロナ対策で入場制限もされていて、予約も取り難かったんですが、なんとか観賞しました。
で、感想はと言うと、とても繊細でキラキラとした感じで心のひだに寄り添う様な作品です。
今から約25年前の韓国を舞台に主人公のウニの多感な年頃と当時の韓国の情勢を踏まえた作品で、日本と違う文化にいろいろと驚き。
学歴が重要視されるのは日本でも変わらないけど、ここまで極端では無い。
頭脳明晰な感じではあるが実はそうでもないw、兄に強いたげられ、いろいろと我慢もするが、ウニの心の中は鬱屈といろんな不満が積もっていく。
多感な年頃であるが、割りとヤンチャw
彼氏もいるし、悪い事を一緒にする悪友もいる。
自分を好いてくれる後輩もいる。
でも、皆自分勝手。
ウニ自身も勝手なんだけど、だからこそ余計に周りにイライラする。
「目は口ほどに物を言う」と言う言葉があるけど、まさしくソレ。
目がクリッと大きいウニの不満さ加減がもの凄く伝わってくる。
そんな時に新しく着任した塾のヨンジ先生の振る舞いや行動が気になり、またヨンジ先生もウニを気にかける。
とにかくウニの世界と周りで起こる出来事がなんとなく気になる。
多感な年頃と言う言葉だけ片付けられないぐらいに、ウニに目に映る身の回りの世界が新鮮かつ何処か淀んでいて、何処かそわそわしている。
問題だって、大したことが起こる訳ではない。
普通の日常を切り取った断片的な物ばかり。
でも、大きい小さいに関わらず、悲劇はいつも突然にやってくる。
大きなネタバレになるので、あえて書かないけど、それにどう対処するか。
そんなウニのいろんな思う事や日常の出来事がホント普通の事でたぶん自分にも同じ事があった筈。
でも、思い出せないくらいに普通の事なんですよね。
ウニを演じるパク・ジフの飾らない微笑ましい♪
また、なんとなくイライラしていて、時折感情を爆発させる表情が可愛らしいw
大人になったら美人さんになるであろうけど、その時に今の魅力が失われないかと言えば、たぶん失われている気がする。素に近い多感な年頃をさりげなく醸し出す雰囲気がある程度歳を重ねるとキラキラと眩しいんですよねw
ヨンジ先生の飾らない大人っぽさも良い♪
ウニの彼氏のイモダサイ感じもウニと釣り合いが取れてない感じでなんか素敵w
友達とのいざこざも親や分かってくれなさも塾の先生の雑さも皆イライラする。
そんな時でも神様はあんまり優しくない。
好きな先生との別れは急にあるし、韓国社会の情勢や事故は突然やってくる。全部が理不尽。
でも青春の1ページみたいな感じに映って、観る側になんか静かに訴えかけてくるんですよね。
そんなウニが魅力的な作品です。
都内では渋谷しかやってないのが残念だけど、多分これから全国でも上映されていくと思うので、機会があれば是非。
女性には共感多数。男性(特にオジサン)には眩し過ぎて困っちゃう感じかと思いますw