「老いをに向き合う」精神0 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
老いをに向き合う
誰にでも老いはやってくる。仕事も辞めなければいけない。精神科医として患者に信頼されていた山本昌知氏の引退は、多くの人にとって心の支えを失うに等しいかもしれない。それぞれの患者との最後の診察は患者の不安と今までの感謝の気持ちが溢れている。本作は精神科医としての最後の日々をおくる山本氏と、妻の芳子さんとの静かな生活をメインに作られている。芳子さんは認知症をわずらっている。山本氏はそんな妻を優しく支え続ける。ただ、来客をもてなすだけ、お弁当を食べるだけのシーンもとても美しく感じられる。長年連れ添った2人の呼吸が美しいのだ。ラストのお墓参りのシーンは不思議と涙が溢れる。
老いとはどういうことか、人生の幕引きをどのように過ごすのか。それはいつか誰もが直面する問題だ。最後の時をこのように穏やかに過ごせる人生はきっと素晴らしいものに違いない。
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