「長澤まさみさんの新境地的な感じで違う意味で凄い作品ですが…な作品です。」MOTHER マザー 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
長澤まさみさんの新境地的な感じで違う意味で凄い作品ですが…な作品です。
かなりの問題作と観賞前から聞いてましたが実力派の長澤まさみさんが主演とあって、どうにも気になって観賞しました。
で、感想はと言うと…重い。
すんごい重い。全然救いが無い。言葉が悪いけど胸糞悪い。
実際に起こった事件を元にされているとの事ですが、あまりにもリアルに描き過ぎではないか?と思うくらい。
また、こんな事が本当に起こったのか?と信じられないくらい。事実は小説より奇なりとはよく言ったものです。
これに実力派の長澤まさみさんの迫真の演技とコメディ作品で真価を発揮(そんなイメージです)しながらもマジな演技でもさすがの阿部サダヲさんの熱演に周平役の奥平大兼くんの新人らしからぬ演技が拍車を掛け、めっちゃくちゃリアルでズンと凹むぐらいに仕上がってます。
是枝監督の「万引き家族」や「誰も知らない」の様で、でもそれらよりも重たい。
どちらかと言うと「許された子供たち」や「存在のない子供たち」を思い出しました。
面白いと言うよりかは見応えがありますが、とにかく凹んで疲れた。暗い。
観た後に"ちゃんと頑張ろう"と思ったぐらいw
こんなに救いの無いお話はアカンやろ?もうちょい希望の光を見せても良いんちゃう?と思いますw
結構好きな作品の「日日是好日」の大森立嗣監督がこんな真逆な作品を描くとはちょっとビックリ。
長澤まさみさん演じる秋子はどうしょうも無いダメダメ。母親としても女性としても人間としてもダメ。ここまで徹底していて、こんなに共感の出来ない長澤まさみさんが凄すぎて怖い。
長澤まさみさんと言えば、笑顔が素敵で可愛らしい感じで好感度が高い。
上映前に「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の予告編が流れてましたけど、"同じ役者さんか?"と思えるぐらいのギャップがありすぎて、長澤まさみさんの演技の幅の広さを感じました。
その好感度を部分をバッサリ削ぎ落として、一切の共感が得られないのがある意味凄いんですよね。
新たな演技の新境地を開拓と言えば聞こえが良いけど、ここまでこの作品の為に強いるか?と思うぐらいです。
阿部サダヲさんの笑顔のダメダメなクズっぷりの演技も凄い。
何よりも周平役の奥平大兼さんが凄いです。
この作品からブレイクしていく雰囲気があって、今後が期待出来ます。
難点で言えば、阿部サダヲさん演じる遼が市役所役員の宇治田を階段から転げ落ちた時に刃物で刺した後がおざなりになり過ぎ。
児童相談所の職員が用意した仮の宿泊施設に遼が簡単に転がり込むのもなんか解せない。
そんなに施設のサポートってそんなにザルなのか?って思ってしまいます。
また、長澤まさみさんが綺麗過ぎるんですよね。
全てになげやりな感じで疲れた感じはあるんですが、どうにも綺麗過ぎ。
特にホームレス同様に野宿していた時ですら、まだまだ綺麗。
ポスター画像ではかなり疲れた30代後半から40代に見えますが、作中ではそうは見えない。
目でやさぐれた感じを醸し出しているのは流石なんですが綺麗過ぎるから、魅惑の悪女的にいろんな男性をたぶらかすんですが、どうにもそこには引っ掛かるんですよね。
そんなゲスっぷりの振り切りが凄い作品ですが、秋子を見ていて思うのは
どうしてこんなに他人に依存するんだろう?
どうして母親として子供をきちんと育てられないんだろう?
どうして掴みかけた立ち直る切っ掛けを簡単に捨ててしまうんだろう?
どうしてこんなに人として駄目なんだろう?
と言う事。
共依存と言う言葉が劇中にもありますが、それだけなんだろうか?
また単にネグレクトと言う言葉だけでは片付けられないんですよね。
子供が母親に依存するのは当たり前で母親が子供を思う事も当たり前だけど秋子は周平と冬華の事を思っているとは思えない。
単に自分の物と認識している子供を手放したくないだけ。
根本的に駄目で、自分ではどうすることも出来ない。
だから、周平も母が望んだ事ではあるけど、祖父母を殺害する事で自身が全ての罪を被り、そうする事で今の現状を打開し、母親と離れられる事を望んだのではないか?
正直このラスト辺りからは"こうならないで欲しかった"の連続で、祖父母を殺害する事を強要する事も、周平が祖父母を殺害する事も、周平に殺害を強要した事を否定する事もこうならないで欲しかった。
ラストの終わり方も"えっ?これで終わり??"と言うぐらいにあっさり。
…報われなさ過ぎ…
作品の煽り文で「感動の衝撃作」と書かれてましたが、正直全く感動はありません。
それどころか胸糞悪過ぎて、こんな母親がいるのか?とショックにぐらいのクズっぷり。
深読みをするとすれば、祖父母を殺害する事で、周平を自身から解き放つ事が出来るとも読めなくはないんですが、その方法を選んだのならもう人では無いんですよね。
どう考えても、秋子が周平と冬華の為を思ってやった事とは思えないし、そう解釈するにはあまりにも無理があり過ぎるんですよね。
何度も同じ言葉の繰り返しをする感想になりましたが、ここまで問題作とは思わなかった。
もう少しなにか希望の光が見えると思ってたんですが、違いましたね。
まぁいろんな意味で凄い作品でした。
作品の評価は長澤まさみさんの熱演と徹底した非道っぷりの振り切りで評価しました。
結構ガツンと来るので、正直あんまりお勧め出来ない感じではあります。
興味があられましたら、その辺りの心構えは持って観賞される事をお勧めします。
悠々同盟さん
コメント有難うございます。
重いですよね。
ここまでの重さが現実に起こった事と考えてると、やっぱりキツいんですよね。
でも、明るい作品ばかりではなく、こういった事を映像化する事でいろいろと問いかける事の大切さはあると思いますが、なかなかヘビーな作品です。
また、お暇がありました、覗きに来て下さいね。
NOBUさん
コメント有難うございます。
長澤まさみさんの熱演とここまで振り切った振り切った凄い作品ですが、どうにも救われない話に納得が出来ないと言うか、共感が出来にくいんですよね。
大森監督作品は「日日是好日」が好きですが、「タロウのバカ」もちょっと乗れなかったんですが、ここまで人間の本質の非情な面を描いたのは凄いです。
でも、凄過ぎてキツい…と言うのがやっぱり感想ですね。
また、お暇がありましたら覗きに来て下さいね。
コメント失礼いたします。
確かに重いです。
私も見終わりのあと、二週間は引きずりました。
そしてだれも僕を見ていない原作読んで更に重たさが抱えきれないぐらいです。
今晩は。
大森立嗣監督は私が知る限り”振れ幅”が凄い監督だと思います。
近作では「光」「タロウのバカ」の2作が暴力衝動を表すシーンが印象的な作品でした。特に、「タロウのバカ」の序盤は流石に席を蹴り上げて退場しようかと思った位でした。(お客さんが結構いたミニシアターだったので、自重しました・・)
けれども、観終わった際及び数年経っても記憶に残る2作品でした。
監督自身のインタビューでも暴力衝動を描きたいと語っていた記憶があります。それが、人間の本質ではないかと。
多分、お気に召さない作品群かと思いますが、そのような作品をメインで制作される監督さんです。勝手な予想ですが、監督の父にも似たようなモノがあるので、その気性を引き継いでいるのかと思います。
長くなりました。
では、又。